昭和シェル、出光と合併する理由とは? 石油業界の再編促す市場環境を分析

昭和シェル、出光と合併する理由とは? 石油業界の再編促す市場環境を分析

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赤字が続き業界再編が進む石油業界

出光興産株式会社(以下、出光)との合併の混迷で話題の、昭和シェル石油株式会社(以下、昭和シェル)。黄色いシェルマークのガソリンスタンドとして私たち消費者にとっても身近な企業の一つです。

 

しかし、昭和シェルなどの石油企業は近年赤字の業績を発表することが多いことはご存知でしょうか?

 

そして近年、石油業界内での合併が盛んです。ここでは昭和シェルを取り上げながら石油業界の動向を分析します。

昭和シェル、出光との合併混迷で株価は乱高下

参考までに昭和シェルの直近1年の株価データを載せました。昭和シェルの株価は出光との合併が取り上げられた2016年4月頃は高値でしたが、その後合併が混迷して2016年8月頃まで株価は下がり続けました。

Chart 1 昭和シェルの株価推移

 

昭和シェルの事業、石油元売りを主力に太陽光やバイオも

昭和シェルはサービスステーション(ガソリンスタンド)など石油の元売りを主力事業とし、太陽光発電所の建設・運営やサトウキビなどの植物からCO2の排出の少ない燃料を生み出すバイオ事業などを手がけています。バイオ事業に関しては、2016年12月6日の日本経済新聞で昭和シェルによる人工光合成技術の開発が取り上げられており、CO2からメタンなどの燃料を直接作ることに成功したと報じられました。

 

昭和シェル、業績悪化で赤字

しかし昭和シェルの2014年度、 2015年度の業績は決して良くなく、営業利益、純利益ともに赤字となりました。これは昭和シェルのみではなく、石油業界でシェアがNo.1のJXホールディングス株式会社(以下、JXHD)でも同じく2014年度の営業利益は2,189億円の赤字、2015年度では622億円の赤字 となりました。赤字が続く近年の石油業界では一体何が起こっているのでしょうか?

 

Table 1 昭和シェルの財務情報 (出展 : 決算短信)

 

国内需要低下と原油価格下落に喘ぐ石油業界

人口減や低燃費自動車による石油の国内需要低下

Chart 2に日本の石油の需要量と輸入金額を示しました。日本国内の石油の需要量は1994年から20年間で約30%も減少しています。これは少子高齢化に伴う消費世代の人口減や、燃費の良い機械や自動車が開発されたことが原因です。

 

Chart 2 日本の石油の需要量と輸入金額の推移 (出典 : 資源エネルギー)

 

シェール革命による供給過剰で原油価格が下落

しかし、2014年にシェール革命が起きました。これにより石油の採掘技術が進歩し、今まで採掘できなかった石油が採掘可能になりました。そのためChart 3に示すように原油価格が2014年に大幅に下落したのです。原油価格が2014年に大幅に下落したことにより、昭和シェルではそれまで在庫として抱えていた石油の評価額が一気に落ちる結果となりました。そのため2014年から2015年に在庫の評価損が多額に計上され、営業利益が赤字となったのです。

 

Chart 3 WTI原油価格の推移 (単位:USドル/バレル)(出典 :世界経済のネタ帳)

 

市場縮小で進む石油業界の再編

また、先ほども述べた通り国内での石油の需要が減少しているため、石油業界は縮小傾向にあり大手企業間では合併が進んでいます。2016年9月に業界1位のJXHDと東燃ゼネラル石油株式会社が合併に向けて最終合意をし、業界2位の出光と昭和シェルが合併に向けて協議を重ねています。しかし出光と昭和シェルの合併に関しては出光の創業家の反対により、昭和シェルの合併は延期が続いています。

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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