「事業再生」とは? 「法的整理と私的整理の違い」や「私的整理の流れ」を分かりやすく解説!

「事業再生」とは? 「法的整理と私的整理の違い」や「私的整理の流れ」を分かりやすく解説!

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事業再生の実務を解説

2017年2月20日の日本経済新聞に「民事再生法を使いやすく、多比羅弁護士に聞く」という記事が掲載されました。

 

その中で「民事再生」や「事業再生」というキーワードがございましたが、実際はどのようなことが当事者間で行われているのでしょうか?

 

本記事では「事業再生」について解説していきたいと思います。

 

事業再生とは?

事業再生とは、経営不振に直面している企業の活動を再生し、活性化することを言います。つまり事業再生とは、経営状況が不振で実質的に破綻状態にあったり、あるいは債務超過の状況にあったりする企業を、必要な策を講じることによって立ち直らせることを指します。

 

事業生の手法とは?

事業再生の具体的な手法には、法的整理大規模リストラM&Aなどを活用して不採算事業を切り離し、魅力ある事業のみで存続させるといった手法があります。

 

事業再生の「法的整理」と「私的整理」の違いとは?

事業再生の手続きは、まず法律上の制度に基づくか否かで大きく2つに分かれます。

 

法律上の制度に基づき裁判所の関与の下に行われる「法的整理手続き」と、法律に基づかず裁判所の関与もなく「私的整理手続き」があります。

 

Table 法的整理と私的整理の比較

 

私的整理の流れとは?

一般的な私的整理の流れ

上記の図にある通り、私的整理はメリットが多いので、実際には私的整理となるパターンが多くなっています。

 

私的整理の流れは、「①現状分析→②再生計画策定→③金融調整→④再生計画実行」という流れが一般的です。

 

私的整理の流れ①「現状分析」

財務状態の分析

現状分析とは、企業の財務状態・収益力を分析する工程となります。

 

財務状態の分析を、外部の専門家が実施することが多く、それを「財務デューデリジェンス」と呼びます。財務デューデリジェンスでは、要再生企業のB/S(貸借対照表)の純資産額が本当はいくらあるのかを調査します。

 

財務デューデリジェンスでは、不動産を中心に時価評価を実施するなど、各科目別に正しい残高を算定し、帳簿価額としての純資産額を時価としての純資産額に修正します。

 

この調査により、帳簿上プラスである純資産がマイナス、つまり債務超過となる会社は多くあります。中小企業で簿価純資産が1億円程度の会社は、調査実施後マイナスの債務超過になることが多いようです。

 

収益力の分析

続いて、収益力を分析する工程となります。

 

これは、様々なやり方が考えられますが、共通するのは、企業を取り巻く外部環境を把握し、一方で企業内部の状況である内部環境を調査し、要再生企業の現在の収益力がどの程度であるのかを試算することです。

 

これにより、現状の収益力に基づいて、現在の有利子負債である借入金がどの程度の年数で返済できるかを測ることができ、今後の再生計画策定に向けて、一定の目途を与えることができます。

 

この現状分析は、要再生企業が、今後どのような方向に進むべきか、どのような金融支援が必要かなどを検討し、再生の方向性を決定するために必要なステップです。

 

この現状分析に基づいて、いよいよ再生計画の策定に取り掛かります。

 

私的整理の流れ②「再生計画策定」

再生計画は、現状分析結果に基づき、主に次のような事項を決定していきます。

 

  1. 経営理念・ミッション再検討
  2. 再生方針の決定
  3. 経営者責任・株主責任・保証責任
  4. 新経営体制
  5. 窮境原因、再生への接続、再生施策(アクションプラン)
  6. 各施策の効果算出、計画実施後の期待収益力
  7. 金融支援依頼
  8. 財務3表(損益計算書計画・貸借対照表計画・キャッシュフロー計画)
  9. 弁済計画

 

要再生企業が再生できるかどうかは、抜本的な再生計画を策定し、実行に移せるかにかかっています。したがって、基礎となる再生計画作りが非常に重要なポイントであることは言うまでもありません。

 

特に、要再生企業に至ったプロセスを詳細に分析し、会社の置かれている環境を把握し、窮地の状況に至った原因を網羅的に把握することが、まず重要となります。

 

その窮境原因に基づいて、それを解決する為に、どのような方向に再生を進めるべきかを検討する、再生への接続、そして最終的な再生施策(アクションプラン)として、具体的な行動レベルの計画まで策定する必要があります。

 

このように、アクションレベルまで詳細に計画を策定し、その効果を含めて算出した収益力を持ってもなお返済が困難である有利子負債について、私的整理の次のステップである③金融調整の依頼で支援の依頼事項として、金融機関にお願いをすることとなります。

 

私的整理の流れ③「金融調整」

金融調整の手法①「 元金返済の停止」

私的整理の三番目のステップである金融調整の手法には、主に4種類があります。

 

まず、金融調整の手法の一つ目「元金返済の停止」とは、弁済(約定弁済・一括弁済)を一定期間停止することを債権者の銀行へお願いすることです。

 

金融調整の手法②「 リスケジュール」

続いて、金融調整の手法の二つ目「リスケジュール」とは、現在の約定(元のスケジュール)に関わらず、有利子負債を毎期・毎月返済可能なレベルの返済額にスケジューリングし直すことを銀行へお願いすることです。

 

金融調整の手法③ 「債務免除」

そして、金融調整の手法の三つ目「債務の免除」とは、現在の有利子負債の一部を、今後の収益力から検討して過剰であるとして、債務の弁済を銀行に免除してもらうことです。

 

事業再生の手法④「デット・デット・スワップ」

最後に、金融調整の手法の四つ目「デッド・デッド・スワップ」とは、債務免除に近い形ではあるものの、永久に弁済を免除されるものではなく、正常に返済できる金額以上の過剰部分(過剰借入金)を、正常に返済できる金額部分(正常借入金)に対して、劣後させることを言います。そうすることで、正常借入金の弁済が終わるまで、過剰借入金の弁済を免除してもらうことができます。金利も正常借入金と比較し、過剰借入金は低くなります。

 

事業再生はCFOの必須科目

CFOになれば、事業再生を任される機会も出てくると思います。

 

上記を見れば分かるとおり、事業再生の手続きは特殊な手法を取るものが多いので、CFOを目指される方はこの機会に事業再生について勉強されてみるのもよいかと思います。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 
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