TUNE-UP by another life. 「第13回:就職人気ランキング上位常連、公務員。ルーティンだけのイメージは本当?」

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これからの時代を、自分が生きたいように生き抜くためのコラム「TUNE-UP」。人生経験のシェアリングサービス「another life.」が提供する様々な人生のパーツを組み立て、自分らしいキャリアや働き方を考えるキッカケを提供します。

 

第13回のテーマは、「就職人気ランキング上位常連、公務員。ルーティンだけのイメージは本当?」。

 

リストラもなく安定している点が魅力で、就職人気ランキングでも上位に入っている公務員。現在、日本には国家公務員・地方公務員合わせて300万人ほどいます。一方で、公務員には、ルーティンだけやっていればいい職業、というイメージを持つ方も多いかもしれません。

 

国で、自治体で、制度の根幹を変えられる公務員。はたしてルーティンの仕事ばかりというイメージは本当なのでしょうか。another life.の人生インタビューを参考に見ていきます。

 

様々な思いで公務員に。感じたギャップとは

「愕然とした成果物との距離」
脇雅昭さん(国家公務員)

 

大学4年の時、国家公務員の説明会で「一緒に日本を良くしていこう」と話す総務省の人を目にして、公務員に憧れを抱いた脇さん。一度は弁護士を目指すも、カッコいい公務員にワクワクした思いが蘇り、総務省に内定をもらいます。

 

入省後、研修を終えて8月に熊本県庁に出向し、3ヶ月後に財政課へ移動になりました。一番忙しい時期の配属で、すぐに警察予算の査定を担当します。朝4時まで仕事をして、朝8時半に出勤、週末も勤務。職員一同命を削って議論をし、2月にやっと完成を迎えました。

 

しかし、そこに書かれているのは費用名と費用の数値のみだったんです。それを見て愕然としました。自分たちがした議論は最終的には数字でしか現れないんだな、うわ、やばって。本当に大切なのは、その数字の先にいる人、そこで働いている人が何をモチベーションにしているのか、どう保っていけばいいのかなんじゃないのか。命削ったのに何してんだろうと悔しい気持ちでした。
(another life.記事より)

 

3年目に本省に戻って採用担当になり、自分が総務省の志望理由を話す機会が増えたことで原点回帰することができました。

 

「ド素人ゆえに感じる違和感」
高野誠鮮さん(石川県羽咋市公務員・日蓮宗僧侶)

 

父が僧侶を務める寺が世襲制でないからと、自分の興味に沿って理系を専攻し、東京の大学に進んだ高野さん。航空宇宙にはまり、大学を中退して科学系雑誌のライターやUFOを扱うテレビ番組の放送作家などの仕事を始め、フリーランスとして活動の幅を広げていました。

 

しかし、30歳を間近に控えた時、実家を継ぐ意思がないか最終の確認の連絡が来ます。別の人が継ぐと寺に戻れなくないため、高野さんが継ぐことが決定します。大学に入りなおして仏教について学んだ後、僧侶だけでは食べていけないため、羽咋市役所の臨時職員としても働くようになります。どちらの仕事も生産性がないように思い、気乗りのしない嫌な仕事で、先は真っ暗な状況でした。

 

職員になってみて、勉強会ばかりを開き、実行に移さない役所の慣習を不思議に感じていた高野さん。自ら羽咋市のまちづくりを始めます。地元の人に話を聞いて回る中で、町の悪い点はすぐ出て来るのに、良い点がなかなか出てきません。「町を批評するために帰ってきたわけではない」と羽咋市の一番を集めたギネスブックを作り、8000部を自腹で住民に配ります。

 

ギネスブックを作る過程で、麦わら帽子のような物体が羽咋市の空中を飛んでいたと書かれた古文書を見つけたんです。そこで、その古文書一つを論拠に、「石川県羽咋市はUFOでまちづくりをします」と他県に広めて回ったんです。次第に、情報が逆流し、「おたくってUFOの町なんですね」と市民自体が聞かされて認識するようになり、認知が浸透していきました。

 

臨時職員ということもあり、月6万8千円という薄給でしたが、毎日仕事に行きたくて仕方が無かったですね。やはり、楽しみになること・嬉しいこと・面白いことは長続きするんです。
(another life.記事より)

 

その後UFOについての国際シンポジウムを仕掛けるなど、さらなるブランディングを進めていきました。そして33歳で始めて役所の公務員として正式に採用されたのです。

 

公務員だからこそできたこと

「理屈は自分を動かすために必要なわけじゃない」
脇雅昭さん(国家公務員)

 

脇さんは本省に戻った後に父を亡くしました。死を目の当たりにして、どう生きるかについて考えるようになります。そんな折、民間と交流を深め、人生をかけて公が解決しなければならない課題にリスクを背負って取り組む社会起業家の方たちと出会う機会が増えました。彼らのように人生をかけるものが欲しいと思いながらも、どこに向かいたいかわからない日々が続きます。

 

何かを探し続けて2年が経ってて。気づいたら、頭のなかで気持ちよくなってただけで、何も世の中に生み出してない。この想いをプラスにできてねえじゃんって思って。だから、そっからもう「やめよう」って思ったんです。頭のなかで考えてても何も変わらないって。それを受け入れたって感じです。

 

受け入れたら、むっちゃ開けてきたんですよね。たぶん、一生懸命理屈を整理しようとしてたんです。でも、理屈は誰かを説得して動いてもらうために必要でも、自分を動かすために必要なわけじゃないなっていうのに気づいて。だったら、動かせる自分を、自分が思いつくままにやってみようと。そうしたら次にやりたいことが出てくるんですよ。さらに次ってどんどん生まれていって。
(another life.記事より)

 

若手公務員と働く中で、彼らに必要なのは、課題をわがこととしてとらえて、どういう人たちを解決していくべきかを考えること、いろいろな人との繋がりを作ることだと感じていた脇さん。飲み会を開くことだったら自分でもできると考え、公務員を中心とした大規模な交流会を開催するようになりました。

 

「ローマ法王献上米」
高野誠鮮さん(石川県羽咋市公務員・日蓮宗僧侶)

 

農業の分野に移動となった高野さん。米農家が役所と農協なしでは自活自立できない状況に違和感を抱き、抜本的な解決に取り組もうとしました。しかし、現場の農家の反発が予想以上に大きく「あんたが米を売れたなら言うことを聞く」とまで言われてしまいます。

 

米のブランド化を目指し始めて、消費者は影響力を持っている人が利用しているものに憧れを感じることに気付きます。そこでその地域の米の「神子原米」という名前にちなんで天皇皇后・ローマ法王・米国大統領に献上できないかと考えるようになりました。しかし、宮内庁やホワイトハウスには拒否されてしまいます。

 

そんな最中、東京のローマ法王庁大使館から、「大使が待っています、ご都合よろしければいらっしゃいませんか?」と連絡をいただいたんです。

 

45キロの米を担いで大使館を訪れると、「あなた方の神子原は500人の小さな村ですね。私たちバチカンは800人の世界で一番小さな国です。その架け橋を私たちで作りましょう。」という言葉をいただき、ローマ法王へ神子原米を献上できることになったんです。まるで、映画の1シーンの台詞のような、本当に素敵な言葉でした。

 

そして、反響はすぐに成果につながり、一気に高値での受注が始まりました。また、あえて品切れであると伝え、「お近くの百貨店に在庫が無いか聞いてみてください」と対応することで、多数の問い合わせを受けた百貨店から連絡を受け、そこに米を卸すことにも決まりました。
(another life.記事より)

 

こうして成果を出した2年後、農家を説得して直売所をオープンすることができました。無事に直売所は軌道に乗り、他県から移住して農業に携わる若者も増えたのです。

 

勤めた先に見えてくる公務員ならではの魅力

国と市、場所は違えど、日本で暮らす私たちをを支えてくれているおふたり。熱い思いを持って公務員という仕事に向き合っています。

 

公務員は日本に暮らす人の生活を良くしていくために、日本の制度の根本を変えられる唯一の職業です。全国の公務員を巻き込んだ交流会の実施など、暮らしに寄り添った制度改革をするために変化していこうとしていることがわかります。目的のためにはルーティンではない動き方も選択できます。

 

また、安定した仕事だからこそ、余裕をもって仕事以外の場でも自分のやりたいことを実現できていると言えるかもしれません。

 

さらに、高野さんのケースのように、公務員も転職先の一つの選択肢としてありえます。暮らしを良くしたい、身近に住む人のために働きたい、仕事以外の場でも何かしたいという思いを持つ方は一考してみても良いのではないでしょうか。

 

関連記事
脇雅昭さん
https://an-life.jp/article/872
高野誠鮮さん
https://an-life.jp/article/609

 

執筆者:another life.編集部

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