介護保険制度の課題、さらに深刻化か 制度の仕組みから解説
目次
進む高齢化で介護保険制度に課題
日本の全人口に占める高齢者の割合が25%を超え、ますます高齢化社会が進む日本では介護保険制度の課題も深刻化してきています。
ここでは、誰もがいずれ関わるであろう、日本の介護保険制度について分かりやすく解説していきます。
介護保険とは?
介護保険とは、国民健康保険同様、40歳になった月に国民全員が加入する制度(支払い義務がある)であり、加入することにより、介護を必要な人が適切な介護サービスを受けられる仕組みです。
以前(1990年代)では、「家族の問題」という意識が強かった介護にかかる家族の負担を軽減させるものでもあります。
介護保険で受けられるサービス
介護保険で受けられるサービスは以下の3つです。
在宅サービス
利用者が希望した場合、在宅サービスが提供されます。
支援サービス
利用者の依頼を受けたケアマネージャーや保健師などがケアプランを立てたり調整したりします。
施設サービス
利用者が施設入所を希望した場合に、施設サービスが提供されます。
介護保険の財源、半分は「税金」から支出
介護保険制度の財源は、保険料が50%、公費が50%で運営されています。つまり、介護保険制度の財源の半分は「税金」から支払われています。
この介護保険制度の財源の半分を占める公費を細分化すると、国が25%、都道府県が12.5%、市区町村が12.5%の負担割合を負っています。介護保険制度の財源の50%を税金で担っているため、高齢化により介護保険の利用者が増加すると、それに比例して財政を圧迫してきます。
介護保険制度の改正で財政悪化防止
介護保険制度改正2005年
介護保険制度は、2005年に大きな制度改正が実施されました。この介護保険制度改革では、軽度者に対しては介護サービスではなく、重症化予防サービスを提供するという方針の下、実質的に給付の抑制を進める方向に進みました。
介護保険制度改正2014年
また、2014年の介護保険制度の改正では軽度者向けサービスの一部を全国一律の介護保険サービスから市町村の独自サービスに切り替えることになりました。
軽度介護者への支出抑制に
こうして介護保険制度における、軽度の介護者への支出が抑えられ、財政の悪化を防ぐ結果に繋がりました。
要介護認定の仕組みとは?
要介護認定とは?
要介護認定とは、どのくらい介護サービスを行う必要があるか、ということを検証することを言います。
要介護認定の検証の流れ
要介護認定の検証方法は以下の流れで行われます。
①訪問調査
利用者の心身状況をチェックする訪問調査
②一次判定
コンピューターで介護の必要度をチェックする
③二次判定
学識経験者による検討
④認定
利用者に結果が通知される。不服申立てをする事も出来る。
以上、要介護認定の検証は、この様な流れで行われます。
要介護認定の区分は7段階
また、要介護認定における区分は以下の7段階でランク付けが行われています。
Table 要介護認定における区分
それぞれの要介護の区分レベルによって、受けられる介護サービスの限度額が異なります。
介護保険の問題は深刻化か
これから、日本では高齢化が進むと言われています。高齢化が進むにつれて介護保険制度の矛盾(財政問題)がますます表面化してくることが予想されます。
また、両親等の介護のために離職を余儀なくされる「介護離職」も問題となっています。さらに、介護需要に対する介護人材の不足も、介護サービスの供給量の低下をもたらしており、介護保険にはこうした多くの問題が絡んでいます。
介護、介護保険の問題はいよいよ深刻化することでしょう。これを機会に、介護保険は身近な問題として、皆さんも高い関心を持たれることをお勧めいたします。
執筆者:パイルズガレージ編集部
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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