現在、注目されている「アクティビストファンド」とは一体何か?

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最近注目されているアクティビスト

近年、アクティビストファンド(以下、アクティビスト)の活動が活発化してきています。ここ最近では、旧村上ファンド系投資会社レノと電子部品商社の黒田電気との騒動が話題となりました。アクティビストは物言う株主やハゲタカなどのように表現され、批判的な文脈で新聞やニュースにおいて取り上げられることが少なくありません。今回は、このアクティビストとは一体どんな存在なのか、実際に批判の目を向けるべき対象なのか解説していこうと思います。

 

(参考)日本経済新聞「黒田電気、『物言う株主』提案議案を可決 旧村上ファンド系」

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL29HDK_Z20C17A6000000/

 

アクティビストとは?

アクティビストとは、ある会社の株式を一定以上取得し、経営陣に対して積極的に提言を行うことで企業価値の向上を狙う投資家のことです。

 

アクティビストの戦略

続いて、アクティビストが取る戦略について、3つのテーマに分類して説明したいと思います。アクティビストは基本的に次の3つのテーマの内、1つまたは複数の戦略を取ることが多いです

 

アクティビストの戦略①「資本構成」

1つ目は、資本構成に対するアプローチです。PBR(株価純資産倍率)が1を割っている、または必要以上にキャッシュを保有する資本効率の悪い企業に対して、配当の引き上げや自社株買いを行うように要求するアプローチが挙げられます。

 

米サード・ポイント、ネスレに自社株買いを要求したケース

アクティビストが企業に対して資本構成の改善を要求した事例を紹介します。
食品会社ネスレは、2020年までに最大で200億スイスフラン(約2兆3400億円)の自社株買いを行うと発表しました。ネスレに対して、米国のヘッジファンドであるサード・ポイントが「ネスレは消費者向けパッケージ品業界で恐らく最良のポジションのポートフォリオを持つにもかかわらず、株価パフォーマンスは欧米消費財関連株の大部分に大きく及ばない」と指摘しました。結果、サード・ポイントの意向に従う形でネスレは自社株買いを発表しました。

 

(参考)

 

アクティビストの戦略②「ガバナンス」

2つ目は、コーポレートガバナンスが機能していないと判断する企業に対して、ガバナンスの改善や取締役会または経営陣の交代を要求することです。

 

香港オアシス、パナソニックにパナホームの買収価格引き上げを要求したケース

アクティビストが企業のガバナンスについて言及した事例を紹介します。
香港に拠点をおくヘッジファンドのオアシスは、パナソニックによるパナホームの完全子会社化に対して、買収価格の見直しをするように要求しました。親子上場の解消の際には、親会社は取得価格を低く抑えたい一方で、その他の少数株主はできるだけ高く売りたいという利益相反が起こります。この場合、株式の保有率が高い親子会社が有利な状況にあるので少数株主の利益が損なわれてしまうという問題が起こります。これに目を付けたオアシスはパナソニックに対して買収価格の引き上げを要求しました。結果、買収価格は当初のものと比べて約10%以上上昇しています。

 

(参考)

 

アクティビストの戦略③「事業戦略」

3つ目は、業績が低迷している企業や非効率な経営を行う企業に対して、戦略の見直し、事業の分社化、合併など事業戦略に関する提言を行うものです。

 

米サードポイント、ソニーに分社化を要求したケース

アクティビストが企業に対して事業の分社化を要求した事例を紹介します。
2013年5月、米国のヘッジファンドであるサード・ポイントはソニーに対して、映画・音楽事業などのエンターテインメント部門を分社化し、米国での株式公開を提案しました。当時、ソニーはエンターテインメント部門の業績が好調であった一方で、主力事業である液晶テレビやパソコンなどのエレクトロニクス部門での赤字が続いていました。サード・ポイントはこの不均衡な経営状態に注目し、ソニーに対してエンターテインメント部門を分社化して米国市場に上場するように要求しました。
結果、ソニーはサード・ポイントの提案を受け入れませんでしたが自社の戦略を見直す機会となりました。事実、その後、ソニーの株価は上昇し、保有株を売却したサードポイントは売却益として「20%近い利益を得られた」としています。

 

(参考)

 

日本におけるアクティビストの動向

日本におけるアクティビストの活動に関するデータが限定的なので、定量的な内容をお話しすることはできませんが、日本にはアクティビストの活動を助長する要素があり、今後件数が増加すると考えられます。
その要因として挙げられるのが、アベノミクスの一環として導入されたコーポレートガバナンス・コードスチュワードシップ・コードの2つの枠組みです。
コーポレートガバナンス・コードとは、会社が株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みです。
スチュワードシップ・コードとは企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い機関投資家が企業との建設的な対話を行い、適切に受託者責任を果たすための原則のことです。
この二つの枠組みにより、株の相互持合いの解消やROEに経営の焦点があてられるなど、日本の株式市場はアクティビストにとって活動しやすい環境へと変化しています。

 

アクティビストは悪か?

日本においてアクティビストは物言う株主やハゲタカと表現され、批判的な文脈で取り上げられることが多いです。アクティビストがこのように呼ばれるようになったのは、2005年のライブドアによるニッポン放送の敵対的買収や、村上ファンドによる阪神電鉄の買収がメディアによってセンセーショナルに報道されたことが原因として考えられます。
それまでは、日本で株主は経営に関してあまり口を出さない存在として認識されていました。したがって、ライブドアや村上ファンドのように、敵対的に企業を買収する方法や、積極的に経営に関与していくスタイルが、日本の人々の目には攻撃的に映ったのでしょう。
では、実際にアクティビストは物言う株主やハゲタカというような批判的な目を向けられるべき対象なのでしょうか。この問いに答えるためには、まず会社は誰のものかという問題を考える必要があります。

 

会社は誰のものか?

株主のもの、経営者のもの、そこで働く従業員のもの、お客さんのもの等、会社は誰のものかという議論には様々な考え方が混在しています。結論から述べると、会社は株主のものです。一定金額以上の出資が集まらなければ、会社を設立することはできません。ある人に能力やアイデアがどんなにあっても、出資がない限り会社を設立することはできないのです。

 

もう一度、アクティビストについて考える

では、会社は株主のものであるということを前提に、アクティビストについて考えてみたいと思います。株主が会社の経営に関して意見する、これは会社の所有者である株主にとって当然の権利です。また法律でも株主総会での議決権等、会社の経営に参加する権利として明記されています。
よって、株主として会社の経営に積極的に提言を出すアクティビストを、物言う株主、ハゲタカといって表現し、その語感が持つ雰囲気だけで非難すべきではないことがわかるはずです。
ただし、考慮すべき点が1つあります。それは、株主はアクティビストだけではないという点です。アクティビストの他にも創業者、機関投資家、金融機関、一般株主など様々な株主が存在します。その中には、中長期的な企業の成長を望む者もいれば、短期で利ザヤを稼ごうと考える者もいます。もし、アクティビストが短期的な利益の獲得を目指しており、それが中長期的な企業の成長と相反するならば、アクティビストに対して批判の目を向けることは妥当です。
まとめると、感情論や印象だけでアクティビストに批判の目を向けるのではなく、アクティビストの存在が本当に企業の成長にとってプラスなのか冷静に判断することが大切です。

 

アクティビストは企業の成長に貢献するか 感情論ではなく冷静な判断を

現在、日本の株式市場は、アクティビストにとって活動しやすい環境へと変化してきています。今後、アクティビストの活動を新聞やニュースで目にすることも増えるでしょう。アクティビストの活動が報道された際には、感情論だけでアクティビストに批判の目を向けるのではなく、アクティビストの提言が本当に企業の成長にプラスの影響を与えるのか冷静な目で見る必要があります。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 

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