競争激化の化粧品業界 市場環境を分析

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異業種参入で競争激しい化粧品業界分析シリーズ2

元々多くの競争プレーヤーがひしめく化粧品市場はB to Cビジネスの中でも特にレッドオーシャンです。その分市場の競争要因も多いのでただでさえ経営戦略立案に際して複雑さを極めるわけですが、近年は異業種の参入で化粧品市場はいよいよ混沌としてきました。今回はそんな化粧品市場の分析に迫ります。

 

化粧品の市場規模・推移

化粧品業界の市場規模はどのように推移しているのでしょうか。以下の年次推移のグラフをご覧ください。

 

(出所)経済産業省「生産動態統計」を基に筆者作成  http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/index.html

 

化粧品の出荷額は1986年の1.14兆円から1997年の1.52兆円までほぼ右肩上がりで推移しています。
バブルの崩壊とされるのは1991年頃ですので、グラフを見る限り影響はあまり見られません。梅本博史氏によると、その当時高額化粧品は、不調となりましたが、業界全体では、”安定的に”伸びてきたそうです。
2000年から2004年は1.43兆円あたりで推移していましたが、経済が好調になってくると2005年を境に1.51兆円まで上がってます。出荷額は生産量によるので、売上が伸びて品薄になってから増えるものと思われますので、景気動向と若干遅れて影響してくるのかもしれません。
2008年はリーマンショックのあった年で、2009年の出荷額は1.39兆円に低下しました。
2013年ごろからの伸びはインバウンドによる需要増加と、円安の追い風もあり輸出が好調ということでしょう。
2016年の化粧品輸出額は2,676億円であり、初めて輸入を上回りました。内閣府によると香港、中国向けの化粧品輸出が特に伸びているとのことです。国内市場は家計の化粧品支出額にここ数年あまり変化はなく伸び悩んでいますので、今後の化粧品市場の動向は海外、特に香港や中国をはじめとしたアジア諸国の人々の購買力やそれを促進する円安等に影響されるでしょう。

 

(出所)経済産業省「生産動態統計」を基に筆者作成  http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/index.html

 

一方、キロ当たり出荷額については年々下がってきています。これは、消費者の低価格志向に合わせて、メーカーが低価格化粧品に力を入れてきたからと思われます。
しかし、日本国内の消費者は品質の劣る商品は、低価格でも購入しないとされているので、品質は常に求められます。当然のことながら、日本の化粧品は激しい競争を経てきたものであり、又それゆえ、海外での競争力は高いとされています。

 

(出典)

日本経済新聞「化粧品、海渡る『訪日特需』 輸出が初めて輸入上回る」2017年5月20日https://www.nikkei.com/article/DGXLZO16655440Z10C17A5TJ1000/

内閣府「今週の指標No.1163 2017年2月27日」http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2017/0227/1163.html

梅本博史『化粧品業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(2016)

 

化粧品業界のKPI

業界KPI(key performance indicators)として、売上と広告宣伝費・販売促進費を掲載します。
理由としては、化粧品業界の特徴でも述べた通り、化粧品業界は競争が激しく、自社のブランド価値の向上を行い、消費者に認知してもらわねばなりません。認知があって購買となるために、広告費や販促費などが直接売上の増減に関わってくると考えられます。以下の図は参考までに掲載いたしました。完全に一致するとは限りませんが、そのような傾向があることは否定できないように思います。各社は自社のイメージを上げるために、テレビCMを、販売促進のために試供品、テスターなどを用いています。

 

資生堂のKPI

(出所)資生堂の有価証券報告書、決算短信、企業ホームページを基に筆者作成

 

コーセーのKPI

(出所)コーセーの有価証券報告書、決算短信、企業ホームページを基に筆者作成

花王(グループ全体)のKPI

(出所)花王の有価証券報告書、決算短信、企業ホームページを基に筆者作成

 

化粧品業界の主力企業分析・比較

それではここで、資生堂、花王、コーセー、ロレアルのSWOT分析をしてみたいと思います。SWOTとはStrength、Weakness、Opportunity、Threatの略です。以下に表にしてまとめてみました。

 

資生堂のSWOT

資生堂は、制度品販売を始めるなど、化粧品業界に大きな影響を与えてきた老舗です。

 

花王傘下のカネボウと同様にブランド力が強く、それゆえ、次に述べるようにに不測の事態の際のダメージは大きいです。一方で、資生堂はカネボウとともに、海外進出にも積極的です。

 

花王のSWOT

 

コーセーのSWOT

 

ロレアルのSWOT

ロレアルは世界中でよく知られていますが、トップの意思伝達が末端にまで届きにくいと言われています。

 

化粧品業界に新たな脅威 異業種参入のユーグレナ

新規参入が過熱している化粧品業界のベンチャー企業を1つ、ご紹介したいと思います。

 

株式会社ユーグレナは研究開発型バイオベンチャーで、ミドリムシ(英名:uglena)を利用した製品の研究開発で知られています。同社はミドリムシを利用した機能性食品や化粧品等の開発・販売を手掛けるとともに、水質浄化やバイオ燃料の生産に向けた研究も行なっています。将来が有望視されており、2012年12月に東証マザーズに上場したときは、株価が2倍以上で取引されました。

 

技術力が高く、同社設立の2005年には、世界で初めて食用ミドリムシの屋外大量培養に成功しております。ミドリムシには必須アミノ酸全種類にビタミン14種、さらにミネラル9種などを含んでおります。化粧品への応用として自社ブランドB.C.A.D.シリーズを製造販売しており、他にもoneの発売、又、OEMブランドとして、B.C.A.D技術を応用したeugaも製造しております。今後は中国を中心に海外展開も積極的に行うようです。

 

化粧品ではありませんが、株式会社ユーグレナはバイオジェット燃料やバイオディーゼル燃料の研究開発にも力を入れており、将来クリーンな燃料として、製造販売を行う計画を進めております。自由な社風で、ミドリムシの活用という視点から、様々な応用方法を模索しており、大きな成長の可能性を秘めているといってよいでしょう。

 

ユーグレナは利益を将来への投資という形で上手に活用しており、しかも他にない独自の技術とその高さから、今後も成長が期待できる有望企業といえそうです。

 

(出典)

株式会社ユーグレナホームページ http://www.euglena.jp/business/cosmetic/

日経ビジネスオンライン “ユーグレナ出雲社長、外部の知恵を徹底活用” 2017年7月11日  http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/040400128/070700008/

 

白斑騒動

この事件は、カネボウが開発した厚生労働省承認の医薬部外品「ロドデノール」を配合した美白化粧品に問題があり、当該商品を使用した消費者の肌がまだらに白くなったという事件で、株式会社カネボウによると、2013年5月に岡山県の大学病院の医師から問い合わせを受けたということです。これを受け、カネボウは7月4日にお詫びと化粧品の自主回収を開始しました。同社のホームページによると、2017年10月10日現在、白斑症状を確認したのは19,587人で和解合意をしたのは17,569人です。

 

当初、親会社である花王は白斑問題で89億円の損失を計上しました。事件は収束しつつあるようで、実際、最近でも京都地方裁判所による集団訴訟が和解で幕を閉じました。同社によると、重大な品質トラブル等が発生した場合はブランド全体の信用失墜の可能性もあり、財務状態や経営成績に影響を及ぼすリスクがあるとしております。これは花王に限らず、資生堂でも同じで、ブランド化粧品の弱みといえるでしょう。

 

花王、ネットで化粧品販売始める

2016年2月20日発行の日本経済新聞によると、花王がインターネット通販で日用品だけでなく、化粧品の取り扱いを始めたと報じられておりました。主力ブランドである「ソフィーナ」の化粧水や口紅などを売り出し、国内最大手で強みを持つ日用品とともに消費者のついで買いを促すとのことです。2020年のネット通販売上高を1000億円と現在の5倍に伸ばすとしています。自社で大量の顧客データを利用し、商品開発や効率的な販売につなげるとのことです。

 

インバウンドを追い風に花王の15年12月期売上高は1兆4718億円と前の期比約4.76%伸びましたが(2016年12月期は売上1兆4757億円で前期比約-1.00%)、主な日用品のネット通販比率は10%未満だったようです。花王は今後、中国アリババ集団など海外の通販モールでも販売を強化するとしております。

(https://www.nikkei.com/article/DGXLZO97501990Q6A220C1TI5000/)

 

資生堂、ドルチェ&ガッバーナのライセンス取得

資生堂ホームページによると資生堂は2016年6月30日、イタリアの高級ファッションブランド、DOLCE&GABBANA S.R.L.(ドルチェ&ガッバーナ、本社イタリア・ミラノ所在)とフレグランス、メーキャップ、スキンケア商品の開発、生産および販売に関する独占グローバルライセンス契約を締結したと発表しました。プレスリリースに記載されている通り、2016年10月より、ライセンス契約に基づく事業活動を開始しました。

 

資生堂は同年7月に、米国の高級化粧品ブランド「ローラ メルシエ」を取得しており、国内市場が伸び悩む中、海外進出の姿勢を鮮明にしております。アンニュアルレポートによると、今後、欧州市場では、需要の高いフレグランス化粧品を中心に「DOLCE&GABBANA」への投資による拡大成長を戦略の1つに位置づけて、2017年12月期は売上前期比34%増の1,110億円を目指します。

 

 

(出所)

株式会社カネボウホームページ http://www.kanebo-cosmetics.jp/information/report/index.html

花王株式会社 2014有価証券報告書

花王株式会社 2016有価証券報告書

株式会社資生堂 アニュアルレポート2016

株式会社資生堂 ニュースリリース 2016年7月1日 https://www.shiseidogroup.jp/news/detail.html?n=00000000001960

株式会社資生堂 2016有価証券報告書

日本経済新聞  「花王、化粧品もネット通販 日用品合わせ1000億円規模に」2016年2月20日  https://www.nikkei.com/article/DGXLZO97501990Q6A220C1TI5000/

赤堀勝彦「製造物責任法と企業のリスクマネジメント」  http://www.law-kobegakuin.jp/~jura/law/files/38-3_4-01.pdfa

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 

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