高収益のファナック、強さの理由は優れた「技術」と「人材」にあり

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工場自動化進展で伸びるファナックの需要

ファナック株式会社(以下、ファナック)と言う会社をご存知でしょうか。ファナックは、工作機械の制御装置や産業用ロボットを製造する世界的に有名なメーカーです。工場の自動化が進展する今、ファナックの製品の需要が伸びています。
今回は、ファナックの好調な売上収益とその要因を探ってみたいと思います。

 

ファナックの概要

ファナックの基本情報

会社名:ファナック株式会社

設立:1972年

資本金:690億円

本社:山梨県忍野村(おしのむら)

 

ファナックは、工作機械の制御装置を製造・販売している会社です。工作機械とは、機械部品を造るために金属を削ったり、穴をあけたり、磨いたりする機械です。つまり、ファナックは機械を造るための機械を造っているということです。

 

ファナックの事業内容

ファナックの事業内容は、大きく3つに分類できます。

 

  1. FA事業
  2. ロボット事業
  3. ロボマシン事業

 

ファナックのFA事業

まず、1つ目のFA事業について説明します。FAとはFactory Automationの略で、工場における生産工程の自動化を図るシステムを指します。ファナックのFA事業の柱となっているのが、次に述べる「CNC」と「サーボモータ」という2つの製品です。

 

CNCとサーボモータはファナックの根幹となる技術でもあり、これらの技術を応用して2つ目ののロボット事業と3つ目のロボマシン事業が成り立っています。

 

ファナックの根幹製品「CNC」とは 世界中の工作機械に搭載

「CNC」とは、Computerized Numerical Controlの略で、コンピュータ数値制御装置と呼ばれます。コンピュータを制御装置の中に組み込んで、数値データを用いて工作機械を自動制御することを指します。人間が手動制御する場合には熟練を要しますが、自動制御されれば高品質の製品を安定的に製造できます。ファナックのCNCは世界標準CNCとして、世界中の工作機械に搭載されています。

 

ファナックの根幹製品「サーボモータ」とは

「サーボモータ」は、指示した位置や速度に機械が対応するよう制御するために用いられるモータのことです。

 

ファナックのロボット事業 産業用ロボ世界シェア1位の黄色い腕

ファナックのロボットは腕のような形をしており、自動車工場などで金属の溶接や塗装などに用いられています。2016年7月時点で産業用ロボットの世界シェア第1位を記録しています。

 

ファナックのロボマシン事業

ロボマシンには様々な用途のものがあります。金属を削るドリルのような機械、ワイヤーで金属を切る機械、部品の成形ができる機械などです。

 

ファナックの業績 売上高復調&極めて高い営業利益率

ファナックの売上高 中国の自動化需要や新型iPhone需要で復調

図1 ファナックの連結売上高推移

 

上記の図1を見てみると、直近の2017年度上期売上高は3,476億円です。前年同期と比べると、35.2%も伸びています。2014年度下期をピークに近年は下降傾向でしたが、大幅に復調しました。復調の背景には、中国を中心に工場自動化の需要が拡大していることや、米アップルの新型iPhone発売に向けた需要拡大があるようです。

 

ファナックの営業利益率 驚愕の30.9%で高収益を誇る

図2 ファナックの連結営業利益率推移

 

驚くべきは、営業利益率の高さです。図2を見てみると、直近2017年度上期の営業利益率は30.9%です。東証1部上場企業の営業利益率の平均が7.1%であることを踏まえると、ファナックの営業利益率の高さが際立ちます。

 

ファナック、高収益の要因は? 技術力と人材に理由あり

では、なぜファナックはこれほど高収益なのでしょうか。その理由を2点挙げます。

 

ファナックの高収益要因① 高い技術力に裏打ちされた製品

 

ファナックの強みの一つは高性能な製品であり、それを支えているのが研究開発です。ファナックは、長期的な収益力獲得のために、多額の研究開発費を掛けています。全従業員の約3分の1にあたる研究者が、技術を創造する研究開発に取り組んでいると言われています。

 

ここでは、売上高対研究開発費を、同業他社である株式会社安川電機と比較してみます。実額だと、ファナックが約5,300憶円、安川電機が約4,000億円と1,300億円の差があります。売上高対研究開発費率は、ファナックが7.9%である一方、安川電機は4.6%です。

 

ファナックの高収益要因② 優秀な人材

ファナックは自社製品を用いて自社の工場をロボット化し、生産にかかる人件費を抑制している一方で、研究開発や営業など人の能力が重要な部門に優秀な人材を集中的に充てています。優秀な人材を高い給与で雇い、必要なところに重点的に充てることで、売上高の増加につながると思われます。人件費総額を従業員数で割り、従業員1人当り人件費を出してみると、ファナックが502万円であるのに対し、安川電機は394万円です。

 

ファナックの今後の動向 AI活用のIoTプラットホームに注目

製造業のIoT化が進むにつれ、ファナックの今後の動向としてAIの活用が注目されています。2017年10月2日、ファナックは「フィールドシステム」というサービスを開始しました。ファナックはこのシステムをIoTのプラットフォームと位置づけており、AIを活用することで、ネットワーク化した製造現場の様々なロボットや工作機械などを運用・管理するのに役立ちます。工作機械やロボット等が自ら学習し、最適に動くようになれば、工場の生産性がさらに上がると期待されており、導入企業が相次ぐのではないでしょうか。ファナックの今後の動向に目が離せません。

 

参考文献等

 

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 

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