お米をきっかけのツールに。FAUN AGRI LIFE代表 今井泉氏が第一次産業で挑戦する理由

お米をきっかけのツールに。FAUN AGRI LIFE代表 今井泉氏が第一次産業で挑戦する理由

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「欲しがられる人材になりたい人が集まるプラットフォーム」である、『PILES GARAGE』。企業を”個”の力で支える、「杭(PILES)」のような人材を育てる「場所(GARAGE)」として、「欲しがられる人材」とはどのような人材であるのか、様々な人のお話を聞くことで改めて考えてみようと立ち上げたこの対談企画。

 

今回は、株式会社FAUN AGRI LIFE代表の今井泉氏にお話を伺いました。今井氏は新潟県南魚沼産コシヒカリ特別栽培米「あまいずみ」のプロモーションをビジネスとして手がけています。起業の背景には、日本が誇る美味しいお米の味や違いを多くの人に知ってほしいという思いや、日本人の農業に対する意識を変えたいという思い、日本の生産者が少なくなっている現状への危機感など様々な思いが重なり合っていたようです。
あなたは日本の農業の現状に対して、どのように考えていますか? 本記事が今の日本の農業について改めて考えるきっかけになるかもしれません。

 

以下

今井:株式会社FAUN AGRI LIFE  代表 今井 泉

柴田:株式会社mannaka 代表取締役 柴田 雄平

 

第1次産業に対する考えを見直したいと思った

柴田

FAUN AGRI LIFE について教えてください。

 

今井

まず、私の実家は代々、兼業農家でお米を作っていまして、父が「鶴齢」というお酒の杜氏をしているんですけど…

 

柴田

え、お父さん「鶴齢」の杜氏なの? まじで「鶴齢」超大好きなんだけど。お父さんもインタビューしたい!

 

今井

(笑) 近年、父の本業が忙しくなってきたため、お米作りは一部委託をしているのですが、実家では元々特別栽培米を作っていて。私はずっとその美味しいお米だけを食べて育ってきたので、他のお米と比べた時に、「うちのお米と他のお米はこんなに違うんだ」って改めて感じたことがあったんです。人は皆生きていくためには「食」が絶対に必要なのに、「食」に対して関心を持つ人が少ないと感じて、第一次産業について見直しをしたいと思い、農業のビジネスを始めたんです。

 

柴田

なぜ、泉(今井)は、この事業を自分の会社として始めたの?

 

今井

一番のきっかけは小学校の頃のことでした。夏休みの自由研究で、友達が調べてきた「食品添加物や着色料について」の発表を聞き、なぜそんな無意味なことをしているんだろうと思ったのが最初のきっかけです。実家では野菜も作っているので、自分の家で食べるものには農薬とか添加物がほとんど入っていないのに対して、世の中に出回っている野菜の多くには、お金と労力をかけて体に悪いことをしていて、それはなぜなんだろうと不思議に思っていたんです。

 

その当時は、純粋におかしなことをしているなと思ったんですけど、後々にちゃんといろいろ調べてみると、やっぱり流通の過程で腐らないようにしないといけないとか、見栄えがよくないと買わない消費者も多いので、そういう仕組みになっているんだということを知りました。

 

自分や自分の周りの人が安心して食べられて、かつ身体に良いものを食べたいと、当然誰もが思うことだと思うんですけど、それを実現していくのはすごく難しいことだとは思ったのですが、まず自分自身が動いてみようと思ったんです。

 

 

幼い頃から農業に対して楽しいイメージがあった。だから農業をビジネスとして始めた

柴田

俺は飲食店も経営しているけど、「東京で飲食やるなんてアホか」と言われたことはたくさんある。泉も、「今時、第一次産業はやるもんじゃない」なんて言われることもあるんじゃないかと思うんだけど、そのあたりはどう?

 

今井

そうですね。やっぱり、「なんで農業なの?」と言われることはあります。皆さん、農業は大変なことだという意識があるので。私自身も、小さい頃から農業に携わっていて、大変なことだというイメージはありましたが、私には農業に対して楽しいイメージもあったんですよね。むしろ私には、楽しいイメージの方が大きかったです。実際に改めて農業をやり始めた時には、重労働だし大変だなと思いましたけれど、やっぱり楽しかったんです。最初は、両親にも「本当に農業やるの?」と言われましたが、小さい頃から両親からはやりたいことをやりなさいと言われて育ってきたので、やりたいことだからやるんだと言ったら応援をしてくれて、私は事業をスタートさせることができました。

 

今井

でも、農業をやりたいという気持ちはずっとあったんですけど、私は百姓になりたいのではなくて、農業をビジネスとしてやりたいというのがあったので、ビジネスのことを学びたいと思って大学では経済・会計等について学びました。そしてその後は、中小企業支援をしている会社に就職をしました。その会社ではアジアへの進出支援なども行なっていて、ベトナムにも拠点があり、私はそちらに赴任させてもらったこともあります。その時に思ったのは、やっぱり日本の良いものをアジアを始め世界に広めていきたいということでしたね。その時の経験が今とても活きています。

 

柴田

今は法人化してまだ数ヶ月だと思うけど、従業員はまだ自分だけ?

 

今井

はい、一人です。生産の部分については、私の実家の田んぼの面積だけだとどうしても足りないので、専業農家でJAに卸していた農家さんに、「JAに卸している分をぜひうちにください。」と言いました。そして農法も慣行栽培から特別栽培に変えてもらいました。

 

食と農業に関心を向けてもらうきっかけにしたい

今井

今後、生産量を増やしていくつもりではいるんですけど、まずは個人の方や飲食店さんの定期購入でしっかりリピートしてもらう仕組みを作りたいと思っています。今はお米だけなんですけど、それはきっかけでいいと思っていて「同じお米でもこんなに味が違うんだ」ということを、まずは知ってもらいたいんです。

 

この前、柴田さんにも食べて頂きましたけれども、「こんなに味が違うんだ」というところから「なんでこんなにお米の味が違うんだろう」、「このお米は誰が作っているんだろう」となって、食や農業に対して、もっと関心を向けてもらうきっかけになってくれたらいいなと思っているんです。

 

そこに気づいてくれた方は、きっと他にも「このお米に合う食材はこれですよ」というご提案をしていけると思っていて、その基盤づくりやお客さんづくりを今年は主にやっていこうと思っています。

 

 

柴田

会社を立ち上げてから6ヶ月の間に苦労したことはありますか?

 

今井

農家さんとのやり取りやイベントの準備、そして発送など、時間がかかる部分は大変だなと思うことはありますが、形さえ整ってくれば従業員を雇うなどできる部分だと思っているので、ここは踏ん張りどころですね。

 

柴田

農家さんたちとのコミュニケーションって大変じゃない?

 

今井

そうですね。今、繋がりがある私の地元の方達は、私が小さい頃から顔が見えている方達で、私は10年近く地元を離れていましたが、「こんなことがやりたいので地元に戻ってきたんだ」と言うと、話は聞いてくれましたね。ただやっぱり、ずっと田舎にいるとイメージできないこともたくさんあるとは感じていて、「そんなこと本当にできるの? 売れなかったらどうするの?」と聞かれることはたくさんありました。
農家さんからすれば、今まで自分たちが代々受け継いできた土地で作った農作物をJAに卸し続けてきたので、「この娘は一体、お米をどこに売りに行くんだろう?」と思っている部分はあると思います。「売れなかったら、その時は全部買い取ります。」と言いましたけど。なので、これからはいかにそれができることだと思っていただける信頼を作っていくことが大切だと思っています。

 

今、農業体験等のイベントもやっているんですけど、実際に20名近くの方に来て頂いたりすると、農家さんも楽しんでくれます。「初めて田んぼに入った」とか、「初めて稲刈りをした」という方がたくさんいて、そういうことを提供できる側になれるのは嬉しいことだと、農家さんたちと一緒にやっていく中で感じました。

 

 

柴田

あまいずみを今後どのように売っていこうと思ってる?

 

今井

とにかく今は、イベントをたくさん開催しようと思っています。まず知ってもらわないと食べてもらう機会すらないので、いかにイベントの数をこなせるか、というところかなと思います。食べてもらえれば、魅力を分かってもらえるので、そこから春以降にリピートをしてもらえるようにしたいです。

 

柴田

今後、農業はこのままいくと衰退していってしまうと思うんだけど、そのあたりについてどう考えてる?

 

今井

これもまずは働き方や現状の問題点を多くの人に知ってもらうことだと思っています。今、農家さんの平均年齢は70歳くらいで、このままだと作り手がどんどん減っていってしまいます。お米も野菜も作り手がいないと食べられないはずなのに、そのことを考えられていない人が多いなと感じています。

 

たしかに、海外からもたくさんの農作物が入ってきていますが、もし海外からのものがストップした時に、日本は食べていけなくなると思っているんです。これまでの日本は農業が盛んな国だったので、作りさえすれば食べていけるのに、現状は農業従事者が減っています。その原因の一つは農業が3Kだと言われたり、稼げないと思われていることが問題だと思うんです。でも、今の時代、やり方はいくらでもあるんです。

 

柴田

それはただ単にお米を作って売っているだけだったら衰退するけど、泉がやっているみたいにお米に対して付加価値をつけたり、販路を広げていくということ?

 

今井

そうですね。やっぱり、一番のお米の価値は味だと思っているんですが、例えば、自分がお米を植えたという経験によってそのお米がすごく特別なものになるんですよ。だから、ただお米を売るということだけではなくて、そういう体験をつけるということもしていきたいと思っています。

 

体験に来てもらった方々とは一緒に作業をすることによって、楽しさを分かち合えて仲良くなったりするので、そうすると農業に対する見方も変えてもらえるんです。さらにこういう体験というのは、普段の生活からちょっと離れるので、リフレッシュしてもらうこともできますよね。なので、ただお米を買って食べるということだけではなくて、こういうことをもっと広げていき、農業について考える人を増やしたいと思っています。

 

FAUN AGRI LIFE代表の今井泉氏の今後の挑戦

柴田

今後、FAUN AGRI LIFEをどのようにしていくかというビジョンはありますか?

 

今井

ビジョンとは違うかもしれませんが、やっぱりまずお米を食べてもらって違いを知ってもらうということが一番大事だと思っています。今はイベントなどをやって、参加してくれた方から注文を頂いたりしていますが、そういう機会を今後はさらに増やしていきたいと思っているので、年明け以降にはキッチンカーを作ったり、どんどんチャレンジしていきます。

 

柴田

最後の質問です。今後、泉が挑戦していきたいことを教えてください。

 

今井

人が集まるコミュニティをもっと作っていきます。人が集まるところには、大抵の場合、食べ物とお酒があると思うんですよね。そして、当然それが美味しいものであるということは、とても重要なことなので、まずは人が集まるコミュニティ作りをして、そこで良い食べ物と良いお酒を提供していければ今後の展開が見えてくるだろうなと思っています。

 

柴田

なるほどね。ありがとうございました。

 

今井

こちらこそありがとうございました。

 

ーーーー

今回は、株式会社FAUN AGRI LIFE代表の今井泉氏の起業の背景にあった、日本が誇る美味しいお米の味や違いを多くの人に知ってほしいという思いや、日本人の農業に対する意識を変えたいという思い、日本の生産者が少なくなっている現状への危機感など様々な思いを伺っていきました。本記事を読んで、あなたの日本の農業の現状についての理解はどう変わったでしょうか? 本記事があなたにとって、大切な日本の農業、美味しいお米のことについて考えるきっかけになり、新しい行動に繋がれば幸いです。

 

▶︎株式会社FAUN AGRI LIFE
あまいずみ
”いつもより、ちょっといいモノを選ぶ。一食一食を大切に。”
良質なミネラル分をたっぷりと含む、美しくおいしい水で育まれた安心安全のお米です。
http://amaizumi.com/

 
記事:PILES GARAGE

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