中国でなぜアリペイやウィーチャットペイが大人気なのか

中国でなぜアリペイやウィーチャットペイが大人気なのか

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はじめに

近年、中国のアリペイを中心とするモバイル決済の取引額が急激に増長し、2016年度は約142兆円に上りました。そのうち、「支付宝(Alipay/アリペイ)」(以下、アリペイ)はシェアの約6割強、「微信支付(WeChat Payment/ウィーチャットペイ)」(以下、ウィーチャットペイ)が3割強を占めており、2社でほぼ市場を独占していることが分かります。

 

この数年間、アリペイとウィーチャットペイの国際化の試みが注目を集めています。ローソンが全国の約1万3000店舗で中華系モバイル決済サービスのアリペイを導入し始め、新たなインバウンド(訪日外国人客)の需要を掘り起こそうとすることが、2017年01月26日(木)の日本経済新聞夕刊に取り上げられました。

 

そもそも、アリペイとウィーチャットペイとはどういうものでしょうか。

 

今回は、中華系のモバイル決済サービスの代表といわれるアリペイとウィーチャットペイの詳細を解説いたします。

 

主要モバイル決済サービスの概要

アリペイは、インターネットショッピングモールの淘宝網(タオバオ)を運営しているアリババ・グループ・ホールディング(以下、アリババ)が提供している電子決済サービスであり、近年、利用登録者は約8億人に達しており、アリババ自社のインターネット通販サイト以外でも幅広く利用できるようになりました。

 

ウィーチャットペイは、騰訊控股(テンセント)が運営しているコミュニケーションアプリのWeChat(微信/ウィーチャット)に内蔵された電子決済サービスです。この数年間、利用者数が急拡大しており、アリペイを追いかけています。

 

実店舗における普及を俯瞰すると、百貨店はもちろん、路上の雑貨店にまで導入され、モバイル決済が可能な店舗が急速に拡大しており、今はもはや、中国人の決済方法の定番になりつつあります。

 

では、実際に店舗において、アリペイとウィーチャットペイはどのように利用されているのでしょうか。以下にまとめてみました。

 

モバイル決済サービスの利用とその仕組み

アリペイとウィーチャットペイは、まず、事前に専用アプリで、クレジットカードもしくはデビットカードとの紐付け、或いは、アプリ内の口座へのチャージが必要です。また、支払いの際には、スマートフォン内蔵のカメラを使ってQRコードを読んで決済します。そこで、クレジットカードまたはデビットカードとの紐付けの場合は、登録したカードの口座から消費額が引き落とされ、結果的にはクレジットカード若しくはデビットカードの利用と変わらない仕組みとなっています。一方、アプリ内の口座にチャージした場合は、前払い式のサービスであり、プリペイドカードのように使われています。

 

しかし、クレジットカード、プリペイドカード及びQRコードは、いずれも何十年前から知られていた仕組みです。上記のようなモバイル決済サービスには、必ずしも革命的なイノベーションがあるとは言えないのにもかかわらず、なぜそれほど流行してきたのでしょうか。

 

モバイル決済サービスのメリット

まず、店舗側にとっては、モバイル決済サービスにより、POSレジとクレジットカード決済端末など、バーコードを読み取る端末を設置する必要がなくなります。また、既存の携帯・スマホ・タブレットを改造せずに、決済端末として利用でき、経営コストを抑える効果が大きいと言われます。

 

次に、消費者側にとっても、種々のカードを持つ煩わしさから解放され、偽造カードや盗難カードによる被害の恐れがなくなり、暗証番号の入力という手間もなく(中国では必要なことが多々ある)、支払いの際には、自分の端末の情報を読み込んでもらうだけで決済できます。

 

モバイル決済サービスの最大の利点といえば、手数料が無料という点です。そのため、友人への送金や飲み会での割り勘などの場面でもよく使われています。

 

では、なぜクレジットカードと違い手数料が無料で決済できるのでしょうか。

 

モバイル決済サービスのメリットの原因分析

クレジットカード決済から、モバイル決済サービスへの変化は、技術革新による革命とも言えると考えられます。

 

クレジットカード決済システムは、第二次産業革命の電気分野での技術革新に基づいて構築され、従来の現金や切手より、消費者と小売店を低コストでつなぎます。具体的には、クレジットカードの利益構造には、カード組織を中心に、アクワイアラー機関やカード発行機関も含めて、取引関係にある消費者と店舗双方以外にも、複雑な利益関係があり、手数料も比較的高くなります。

 

それに対して、モバイル決済サービスの構造には、銀行又は決済サービス提供側、消費者と店舗しかなく、取引コストを抑えることができ、それにより効率も確実に高くなりました。

(「中国決済市場の発展動向について~モバイル決済に注目」BTMU(China)経済週報第281期第7頁)

 

モバイル決済サービスまとめ

日本の様々な地方を訪れる中国人観光客は、さらに増加していくことが見込まれており、アリペイを導入したローソンのようなインバウンドの対応がますます重要になってきます。

 

もっとも、世界レベルにおいて、今後、いかにクレジットカード決済システムからモバイル決済に切り替えるかも注目を集めています。

 

執筆者:パイルズガレージ編集部 羅譲

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス


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「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
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