日経平均株価とは?相関のある経済指標とは? 投資初心者にも分かりやすく解説
目次
日経平均株価とは
資産運用の場面で、しばしば耳にする「日経平均株価」。何となく目にすることも多い用語ですので、本日は日経平均株価について少し解説をしていきます。
日経平均株価(Nikkei Stock Average、Nikkei225)は、日本の株式市場の代表的な株価指標の一つです。1960年4月の株価の基準値を1000としたダウ式平均株価であり、東京証券取引所第一部に上場する約1700銘柄の株式のうち225銘柄を対象にしています。
また、日経平均株価は日本経済新聞社が知的財産権を保有し、銘柄を選定、15秒毎(2010年以降)に算出し公表しております。日経平均株価は、日本の株価指標としては東証株価指数 (TOPIX) と並んで普及している最も知名度の高い株式指標であるため、純粋に民間が作成している経済指標でありながら、日本国政府の経済統計としても使われている指標です。
景気指数を使って日経平均株価を予想
景気指数を使って経済を読み解く
経済の動きは見えにくく、先行きを判断するのは簡単ではありません。しかし、その手がかりは様々な数値に表れています。景気指数は、そうした手がかりを読み取るためのツールです。
景気指数には「先行指数」、「一致指数」、「遅行指数」の3種類の指数があります。下記では先行指数、一致指数、遅行指数の説明と具体例を示していますが、こちらの記事「景気動向指数(CI、DI)とは? 先行、一致、遅行指数とは? 分かりやすく解説」では景気調査に関する報道でよく目にする景気動向指数(DI、CI)との関係性などを詳しく説明しています。
投資判断に直接役立つのは先行指数ですが、経済を正しく把握するためには、一致指数および遅行指数を知っておくことも大切です。
上記の景気指数と日経平均株価の関係について理解を深めていくことで、実際に株式市場の動向を読み解くとき、値動きの展開を予想することができるようになります。
先行指数とは
「先行指数」と呼ばれるのは、経済の動向に先んじて変化する指数で、将来の経済の動向を予測する際に判断材料となる指標です。
先行指数の例
- 雇用統計(景気後退時)
- 中古住宅販売件数
- 日銀短観
- ISM製造業景況指数
- LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)
- フィラデルフィア連銀景況指数
- 実質金利
- イールドカーブ
- 金価格
- クレジットスプレッド
一致指数とは
「一致指数」は現在の状態を示す景気指標です。
一致指数の例
- ベージュブック(地区連銀経済報告)
- GDPデフレーター
- 鉱工業生産指数
遅行指数とは
また「遅行指数」は、経済動向より少し遅れて現れてくる指数で、過去に始まった経済トレンドを判断するのに使われたりする指標です。
遅行指数の例
- 雇用統計(景気回復時)
日経平均株価の値動き推移
日経平均株価の値動きを追っていくことで、日本株の相場観を養うことができます。
読者の方には、特に日本経済新聞の金融面を毎日チェックすることをお勧めします。日々のあらゆる情報や出来事に対して、市場が敏感に反応しているのを感じ取ることができるからです。普段の報道にも、経済との関連が読み取れて、きっと視野が広がると思います。
Chart 過去3年分の日経平均株価の時系列グラフ(参考資料:Yahooファイナンスの2014年1月~2017年7月のデータをもとに時系列グラフを作成 縦軸は円、横軸は時間)
実際の日経平均株価相場を分析
鉱工業生産指数と日経平均株価の間に相関関係が認められる
次に実際の日経平均株価の相場を分析してみたいと思います。
まず参考として、2017年1月頃の日経平均株価を展望してみます。2017年1月頃の日経平均株価を分析する際に注目すべき点として、2月28日に1月分の鉱工業生産指数(速報値)が経済産業省より発表されたことを挙げます。鉱工業生産指数とは、鉱業および製造業において、月々どれだけの量のものが生産されたかを測る指標です。鉱工業生産物には様々なものが含まれています。医薬品や携帯電話、テレビのような製品はもちろんのこと、金塊や鋼、木の板なども全てこの指標に含まれる生産物です。鉱工業生産指数は経済の変化に先立つこともなければ遅れることも無い一致指数ですので、日経平均株価も似たような動きをした可能性があります。実際、この時の鉱工業生産指数が減少したのに対し、日経平均株価は伸び悩んでいます。
GDPと日経平均株価の間に相関関係が認められる
また、内閣府発表のGDP統計によると、10-12月期の実質設備投資は前期比+0.9%と増加し、輸出増に触発された景気回復が波及しつつあることが示されました。また法人企業統計季報はGDPの2次速報における設備投資の算出に用いられます。GDPと株価は関係しており、実際にこの頃の日経平均株価はグラフを見ると上昇しています。
米国の経済指標も日経平均株価に影響
一方、海外に目を向けると、米国では2月28日に10-12月期実質GDP成長率改定値が発表されました。
また、3月1日にも2月のISM製造業景況指数が米国で発表されました。1月は市場予想を上回り、2014年11月以来およそ2年ぶりの高水準となりました。ISM製造業景況感指数は、全米の製造業の購買担当役員にアンケート調査を行い、その結果を元に製造業の景況感を表したものです。この結果は日経平均株価に連動する指標であるダウ平均株価に影響がありますので注視する必要があります。
さらにベージュブック(地区連銀経済報告)も発表されます。
ベージュブックとは連邦準備制度委員会が発表している経済報告書であり、12分割したアメリカ全土の各地区の経済動向が記載されています。政策決定に関わる人間が読む資料ですから、彼らの経済に対する見解を読み取るのに役立ちます。
特に、FOMC(連邦公開市場委員会)で決定される金利政策について、この報告書から予想をすることができれば、あらゆる金融商品の投資判断に役立つことになるでしょう。また金利政策は経済に直接影響しますので、経営の意思決定の際の重要な判断材料となるでしょう。
日経平均株価から日本と世界の経済が見えてくる
日経平均株価は日本経済の動向を数字で示すだけでなく、他の指標との関係性について考察をすることで、世界経済の動向にまで目を向けることができるようになります。CFOを目指す人だけでなく、ビジネスマンならば、常に注視すべき指標ですので、日経平均株価を切り口に金融市場を日々観察してみてはいかがでしょうか。
執筆者:パイルズガレージ編集部
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
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