「シナジー効果」の意味や種類とは? シナジー効果を狙ったM&Aの事例とは?
目次
はじめに
M&A(合併と買収、英語はMerger & Acquisition)の際、企業はシナジー効果を求めています。企業財務のトップに立つCFOにとっては、他社との合併や買収で創出することができるシナジー効果とその最大化を見通し、M&A戦略について適宜に経営者に助言する能力も大事な素質の一つでしょう。
2017年1月17日の日本経済新聞朝刊では、RIZAPグループはカジュアル衣料専門店のジーンズメイトを子会社にすることによって、シナジー効果の創出を目指し、コスト削減も進めることが報じられています。
今回は、具体的な事例などを交えながら、シナジー効果の基本を簡潔に説明いたします。
なお、今回説明するシナジー効果はM&Aにおいて買い手側が狙う効果です。M&Aの売り手側の目的や、買い手側のシナジー効果以外の目的について知りたい方は、以下の記事も読むのをおすすめします。
シナジー効果とは?
シナジーとは、「共同作用」「相乗作用」のことです。M&Aにおけるシナジー効果では、複数の事業の連携により、元来の各事業が単独で事業をしている場合より価値が大きくなることが特徴です。
言い換えれば、既存事業同士の価値を足し合わせた1+1=2というわけでなく、価値の合計が1+1=2以上になるということです。
シナジー効果の種類とは?
シナジー効果の種類「事業シナジー」
事業シナジーには3種類ある
シナジー効果の種類は、おおむね事業シナジーと財務シナジーに大別できます。
事業シナジーには、さらに、以下の三つの部分に分けられます。
事業シナジー①「コストの削減」
元来、競争している各事業体の重複部門のカットや重複投資の削減を指すことです。
事業シナジー②「スケールメリット」
単独で存在している事業体より、複合体の生産量のほうが大きくなり、一商品あたりの費用が減少するため、総利益が増加していくこと。
事業シナジー③「人材の獲得」
大企業が中小企業をM&Aすることによって、個性的な人材を吸収し、人事面の新陳代謝を活発化することです。
シナジー効果の種類「財務シナジー」
財務シナジー①「余剰資金の活用」
財務シナジーについては、M&Aした企業の余剰資金を活用している場合があります。
財務シナジー②「節税効果」
M&Aした企業の繰越欠損金や債務を承継することによって節税効果を求める場合がよく見られます。
シナジー効果が目的のM&A事例 大塚製薬のケース
2016年12月、大正製薬HD株式会社(以下、大正製薬HD)の連結子会社である大正製薬株式会社は、キョーリン製薬HD株式会社の100%子会社であるドクタープログラム株式会社(以下、ドクタープログラム)を全株式取得で買収したことがありました。
ドクタープログラムは、機能性基礎化粧品「トリニティーライン」を中心としたスキンケア領域を主軸に事業展開している会社であり、大正製薬HDにとっては、M&Aにより以下のシナジー効果を求めているのが読み取れます。
①ドクタープログラムが強みを持つ通販事業を自社の事業に組み合わせ、新たな販売ルートで自社のシェアの拡大を図ること。
②自社のブランド戦略等のノウハウを活用して、「時間を買って」、素早くスキンケア領域においても拡張していくこと。
執筆者:パイルズガレージ編集部
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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