オリンピックで好業績の大成建設だが… 建設業界の仕組みが招く課題とは?

オリンピックで好業績の大成建設だが… 建設業界の仕組みが招く課題とは?

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建設業界の業績、オリンピック需要に沸くが…

2017年2月9日の日経新聞で大成建設株式会社(以下、大成建設)、鹿島建設株式会社(以下、鹿島建設)の4~12月における営業利益が過去最高であったことが報道されました。東京オリンピックに向けて盛り上がりを見せている建設業界。

 

今回は、建設業界の中でも、大手ゼネコン(大手の総合建設会社)の一角、大成建設について解説していきます。

 

大成建設の事業内容

大成建設は、大手ゼネコンとして日本における主要な建物などの建設に携わっています。横浜ランドマークタワーや、新江ノ島水族館、昨今ニュースなどでもよく話題になる新国立競技場を担当するのも大成建設です。

 

大成建設の事業内容は大きく以下の3つに分かれています。

 

土木事業

土木事業においては、公共工事、交通インフラなどの請負を中心に行っています。首都高速中央環状品川線や、神戸淡路鳴門自動車道明石海峡大橋の一部、関越自動車道関越トンネルなどが実績として挙げられます。

 

建築事業

建築事業においては、デヴェロッパーや特定顧客からの建物等の建築請負を中心に行っています。先ほど例に挙げた横浜ランドマークタワーや、成田国際空港第3旅客ターミナルビルなどの建築を担当しました。

 

開発事業

開発事業では、不動産の売買、宅地の開発・販売、保有不動産の賃貸等の開発事業を営んでいます。

 

その他事業

その他の事業として、受託研究や技術提供、グループ会社の中にゴルフ場を経営している子会社も存在しています。

 

建設業界の仕組み「重層下請構造」の問題点とは?

建設業界の仕組み「重層下請構造」とは?

建設業界の特徴として、重層下請構造(ピラミッド構造)という仕組みが挙げられます。ゼネコンが案件を受注し、その一部を何社かの第1次下請に、その第1次下請が請け負った業務を専門業者の第2次下請に依頼する、などの例を挙げることが出来ます。

 

建設業界の仕組み「重層下請構造」の問題点① 「欠陥工事を誘発しかねない」

このように、重層下請構造(ピラミッド構造)という建設業界の構造のため、下の階層の下請にコスト負担のしわ寄せが行き、最悪の場合、欠陥、手抜き工事につながってしまう問題点が挙げられます。

 

建設業界の仕組み「重層下請構造」の問題点② 「単位あたり固定費を下げられない」

また、この重層下請構造(ピラミッド構造)から、ゼネコンが抱えるコストの多くが下請けに依頼する際の外注費であることがわ分かります。実際に大成建設のHPによると、同社における建設コストの80%以上が外注されているということが記されています。

 

このように、ゼネコンの建設コストのほとんどが外注費だということは、ゼネコンのコスト構造は変動費が大半を占めることが分かります。変動費が多く固定費が少ないということは、大量受注などをしても、単位当たり固定費を大きく下げることが出来ないことを意味しています。

 

建設業界の課題と解決策とは? 「案件の質と変動費率が鍵」

上記で述べたように、重層下請構造(ピラミッド構造)に由来する二つの課題を抱える建設業界の解決策は、大量に案件を受注するのではなく採算のとれる案件を受注しつつ、重層下請構造(ピラミッド構造)を見直し、変動費率を下げることにあると考えられます。

 

つまり、こうした「量よりも質を重視して案件を受注すること」、「変動費率を下げること」によって「建設業界の利益率は上がる」と考えられます。

 

大成建設の課題 「約7割の高い変動費率」

大成建設の財務ハイライト

以下に大成建設の財務ハイライトを表にして示しています。(以下、金額の単位は百万)

 

Table 1 大成建設の損益計算書

 

大成建設の粗利率

今回は大成建設の粗利率から詳しく見ていきましょう。

 

Table 2 大成建設の損益計算書(粗利率)

 

大成建設の粗利率は、年々増加傾向にありますが、非常に低いことがわかります。これは、上記でも説明した変動費率が高いことが原因にあります。

 

大成建設の変動費率を推計 「変動費率は約7割」

ここで、過去5年間のデータから、大成建設の変動費率を推計してみましょう。

 

以下が過去5年間の売上高と総コスト(=売上-経常利益)をプロットし、そこからそれらを線形にしたグラフとその数値を示した表です。

 

Chart 大成建設の売上高と総コストの推移

※縦軸は総コスト、横軸は売上高

 

Table 3 大成建設の売上高と総コストの推移

 

ここから、変動費率を推計すると、74.69%という数値が出てきます。またこの数値から固定費額を推計すると、約311,318百万円という数値が出てきます。確かに総コストに占める固定費額の割合が低いことがわかります。

 

大成建設や建設業界の課題は利益率改善

大成建設などの建設会社は今後、新国立競技場の建設などのオリンピック関連の受注で収益の伸ばしていくと考えられています。2017年2月9日の日経新聞にも記載があったように、利益率の改善が最重要課題になります。

 

また、今回は固変分解などをしながら財務数値を分析していきました。このような業界の構造と財務数値を結び付けて分析する力も、CFOとして求められる力の一つになります。

 
 
 

執筆者:パイルズガレージ編集部 牧野成譲

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 
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