プライベートブランドの小売、メーカーのメリットやデメリットとは?

プライベートブランドの小売、メーカーのメリットやデメリットとは?

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プライベートブランドの代表例とは?

皆さんPBって知っていますか?

 

そう、プライベートブランドのことです。安くて品質も良いということでいつの間にか世間に普及し、今ではプライベートブランドを選ぶのが当たり前という方も多いと思います。

 

プライベートブランドで代表的なものがセブンイレブンなら「セブンプレミアム」、イオンなら「トップバリュー」、西友なら「みなさまのお墨付き」があります。このような大手流通業のみならず今では専門店やドラッグストアでもプライベートブランドは誕生しています。

 

1月11日(水)の日本経済新聞朝刊にABCマート、経常減益という記事が掲載され、内容の一部には「ABCマートのPB商品がナイキなどの海外ブランドに押されPBの売上構成比が低下した」とありました。

 

今ではプライベートブランドが当たり前になりすぎて見過ごしがちになりますが、プライベートブランド商品がメーカーや小売業者に与えるメリットは何なのかをここでは再確認したいと思います。

 

プライベートブランドの起源

日本で最初のプライベートブランドは、1959年に発売した大丸による紳士服ブランドでした。

 

1960年ごろから各流通業者がプライベートブランド商品に乗り出しましたが、当時はナショナルブランド(NB)商品(一般メーカーが企画・製造した商品)と比べて安いものの品質は劣っており、一時的なブームはあっても、いわゆるブランドとしては定着しませんでした。

 

1980年代半ばには、西友のプライベートブランド商品として始まった「無印良品」などである程度世間に普及し、転機としては、2006年ごろからの石油や原材料の高騰、リーマンショックによりナショナルブランド商品の価格が上昇したことと、消費者の節約志向の高まりからプライベートブランド商品が人気を集めました。

 

プライベートブランドとナショナルブランドの違いとは?

ここでプライベートブランドとナショナルブランドの違いを簡単にまとめます。

 

プライベートブランド(PB

小売業者や卸業者などが開発したブランドのことを言います。商品の企画・開発は小売業者が行い、製造はメーカーが担当します。

 

ナショナルブランド(NB

商品を製造するメーカーによる独自のブランドのことを言います。商品の企画から製造までをメーカーが行います。

 

小売側のプライベートブランドのメリットとデメリットとは?

消費者側にも嬉しいプライベートブランドのメリット

プライベートブランド商品は安くて品質も良く、消費者にとっては嬉しいものです。では、プライベートブランド商品を開発する側、つまり小売側としてはどうなのでしょうか?

 

ここでは、プライベートブランド商品に取り組むことの小売側メリットデメリットに触れます。

 

小売側のプライベートブランドのメリットとは?

プライベートブランド商品の仕入れ価格を安くできるので粗利益が高い

小売側がプライベートブランド商品を開発する1番のメリットはやはりこれですね。小売側はプライベートブランド商品を安く仕入れることができるので、粗利益を高くできるということです。

 

小売側は、消費者への宣伝や卸売業者への営業費用、そして独自の流通経路を確立することで安く抑えることができます。特に商社や代理店などの日本独特の複雑な流通経路をほぼ省略することでマージンが大幅に減らせることがナショナルブランド商品との違いです。

 

最近では質の高いプライベートブランド商品の製造が可能になっている

先にも触れましたが、1960年頃のプライベートブランド商品は安いが質が悪いというのが常識でした。理由は、ブランド力の強い大手メーカーではなく、ブランド力の弱い中小メーカーにプライベートブランド商品の製造を依頼していたためです。

 

しかし、昨今の商品を値上げせざるを得ない経済状態では、プライベートブランド商品に取り組む方がメーカー側にとっては売上が上がるので、経営的には効率が良く、今では大手メーカーも参画し、結果として質の良いプライベートブランド商品の製造が可能になりました。

 

小売側がプライベートブランド商品の仕様を容易に変更できる

プライベートブランド商品は小売業者が店頭販売するので、消費動向や製品評価は直ちに認知されます。これにより消費者の声を直接反映したプライベートブランド商品を企画・販売でき、また商品にオリジナリティのある付加価値をつけ易くなります。これは、製造を主体とし、店頭販売を行わないナショナルブランド商品メーカーには難しいかもしれない特徴です。

 

参考:向山雅夫、「プライベートブランド開発の新構図と商業者機能」、同志社商学、第53巻 第1号(2001年5月)

 

小売側のプライベートブランドのデメリットとは?

プライベートブランド商品の売れ残り

売れ残りのプライベートブランド商品は返品も転売もできず、当該小売業者が管理や処分をせねばならなくなり、余計なコストがかかることになります。

 

プライベートブランド商品の在庫や品質については小売側が管理を行う

従来はメーカー側が行っていた在庫管理や商品のアフターケアを小売側が担う必要があります。また、粗悪品等として返品があった場合は、小売業者が責任をとることになります。

 

メーカーは戦略的にプライベートブランド商品の製造を請け負う

メーカーがプライベートブランド商品の製造を請け負う理由とは?

さて、みなさん。ここまで読んでいて疑問が浮かんだ方もいるかと思います。

 

なぜメーカーは、ライバルとなり得る商品の製造を請け負うのでしょうか?

 

同じような品質の商品をより安い価格で売られてしまったら、元来あるメーカーの商品(ナショナルブランド商品)の売上が落ちると考えるのはごく普通のことです。しかし、今では大手メーカーがこぞってプライベートブランド商品の製造に懸命になっています。その理由は何なのでしょうか?

 

答えはメーカー側のプライペートブランドのメリットにあります。メーカー側はナショナルブランド商品の売上が下がるよりも、小売業者からプライベートブランド商品の製造を請け負う方が、以下にあげるメリットによってより効率よく利益を稼げると判断したからです。

 

メーカー側のプライベートブランドのメリットとは?

メーカーが製造したプライベートブランド商品は返品されることがない

メーカーにとっては、受注した商品は原則返品がなく、全て買い取りとなるので、製造した商品はそのまま売上になります。また、それゆえに生産計画が立てやすく経営効率が良いこともあげられます。

 

メーカー側は広告宣伝費が掛からない

メーカーは、従来掛かっていたナショナルブランド商品を宣伝するための莫大な広告宣伝費を節約することが可能になります。

 

プライベートブランド商品のブランドを用いることで同業他社との差別化が行いやすい

メーカーが製造を請け負ったプライベートブランド商品が好評であれば自社のイメージアップにも繋がり、またプライベートブランド商品に携わることから消費需要のヒントが得られます。

 

プライベートブランドは消費者、小売業者、メーカーの三方にメリット

さて、今回はプライベートブランド商品について見てきました。

 

以前と違いプライベートブランドはただ安いだけではなく、品質も高く、買い得感が出ています。

 

やはりプライベートブランドとナショナルブランドとの最大の違いは、プライベートブランド開発する小売業者は独自の広範囲な流通網を生かし、店頭販売というアンテナによって得られる消費者志向を敏感に感じ取り、オリジナリティーを打ち出したプライベートブランド商品を企画・販売できるということでしょう。

 

ナショナルブランドメーカーもこれまで見てきたように様々な理由や思惑があって、プライベートブランド商品の生産を行っています。

 

プライベートブランド商品は消費者だけでなく、プライベートブランド商品を製造する小売業者とプライベートブランド商品の製造を請け負うメーカーの間にもWin-Winの関係をもたらしています。プライベートブランドの隆盛はこれからも続きそうです。
 
 
 
執筆者:パイルズガレージ編集部 澤田勇平

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 
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