CVCの目的、メリットやデメリットとは? 大企業の投資事例まとめ

CVCの目的、メリットやデメリットとは? 大企業の投資事例まとめ

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大企業のVB投資が活発

2016年12月9日(金)の日本経済新聞の朝刊にJTBがクールジャパン機構などと、ベンチャー企業育成ファンドに出資するとの記事が掲載されました。さらに同日付の同紙で、資生堂がベンチャー企業に投資する専門の社内組織を設立したとの記事もありました。

 

今回は大企業によるベンチャー企業への投資が相次ぐ背景を解説していきたいと思います。これはCFOの経営活動とも密接に関係してくるため、確認しておきましょう。

 

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)とは?

コーポレートベンチャーキャピタルとは、事業会社が主に未上場のベンチャー企業に出資や支援、買収などの投資活動を行う組織のことをさします。英語ではCorporate Venture Capitalと表記され、CVC(以下、CVC)と略して用いられることが多いです。

 

CVCの投資形態とは?

CVCの投資形態としては、

 

  • 事業会社本体が直接投資をするケース

 

  • 子会社としてベンチャー投資会社を設立して間接的に投資をするケース

 

  • 外部のベンチャーキャピタルに運用を委託するケース

 

というように、大きく分けてこの3つがあります。

 

CVCとベンチャーキャピタルとの違い

ベンチャーキャピタルが設立するファンドは、複数の機関投資家・事業会社・個人などから資金を集め、投資領域は広範囲に設定することが多いです。なかには投資領域を限定するファンドも存在しますが、主目的はあくまでも財務的なリターンを追求することです。

 

その一方でCVCはそのようなベンチャーキャピタルとは異なり、投資領域は限定的であくまで自社の事業内容と関連性があることが求められます。すなわち、シナジーによって本業の収益につながると思われるベンチャー企業に投資するということになります。

 

CVC設立の目的とは?

CVCファンドの多くは、

 

  • 既存事業とのシナジーによる事業強化

 

  • 新規事業への投資(R&D)

 

  • 関連性のある事業の早期事業化

 

  • 新規事業の社内リソース不足をカバー

 

  • 投資したベンチャー企業がIPOまたは買収されることにより発生するキャピタルゲイン

 

などを目的として投資活動を行っています。

 

CVCのメリット、デメリットとは?

CVCのメリット 「情報収集ができる」

CVCを設立するメリットとして、投資前の段階で、ベンチャー企業に投資をするかどうかをデューデリジェンスすることによって、ベンチャー企業の情報を大まかに掴むことができます。

 

ベンチャー企業に投資中の段階では、投資した会社の人材がベンチャー企業に取締役等に派遣されることで、ベンチャー企業の技術やビジネスモデルに関する深い情報を得ることができます。

 

ベンチャー企業への投資後の段階では、投資先のベンチャー企業の業績から事業・マーケットの将来を予測することが可能になります。仮に事業が失敗したとしても、その失敗からマーケットの将来性について学習することができるでしょう。

 

 CVCのデメリット 「コストがかかる」

しかしながら、CVCを設立するデメリットとしては、上昇気流にあるベンチャー企業を調査することには人件費や時間がかかります。

また、そのベンチャー企業への投資が失敗に終わるなどの場合では、実際の投資の他にもコストがかかってしまいます。

 

近年のCVCの動向

2000年代初頭〜2008年のCVCブーム

2000年代初頭から一時期、CVC設立の動きが活発となりました。けん引役となった企業には、富士通、パナソニック、日立製作所、NEC等の家電メーカーが目立ちます。中心となった考え方は、自社の埋もれている人材をスピンアウトさせることで独立させて、それを出資企業が支援し、優れた事業を創設、推進するというものでした。

 

しかし当時は、主要な出資企業が必要とするような技術や人材を所有するベンチャー企業は少なく、また、その後のリーマンショックのあおりを受けてCVC熱は下火となりました。

 

2010年以降〜のCVCブーム

しかし、2010年以降に再びCVCファンドが注目を浴びるようになりました。その理由として、ベンチャー企業のかつてない増加と、ベンチャーキャピタルの拡大があげられます。

 

CVCに参入している企業も富士通等以前からの企業もありますが、他にも、大手通信キャリア、テレビ放送局、製造関連、ITサービス等多岐にわたります。形態も従来の戦略的リターンを重視するものから、ファイナンシャルリターンを鮮明に打ち出すものもあり、求める内容も変わってきているようです。

 

(参考:コーポレートベンチャーキャピタルの組織とパフォーマンスに関する研究:同志社大学総合政策科学研究科 技術・革新的経営専攻 一貫性博士課程 2011年度1002番、pp79-81

 

CVCの事例と実施企業

CVCの具体的事例

実際に大企業がベンチャー企業を出資や買収、つまりCVCを実施した具体的事例を紹介します。

 

  • Facebook, Inc.が約190億ドルでWhatsApp Inc.を買収

 

  • 楽天株式会社がViber Media Incを9億ドルで買収

 

  • KDDI株式会社が株式会社Gunosyに出資

 

  • 株式会社講談社がNewsPicksを運営している株式会社ユーザベースに出資

 

  • Google Inc.がYouTube, LLCを16億5000万ドルで買収

 

このようにCVCの事例は意外と多く、Google Inc.が2004年に上場し、当時できたばかりのYouTube, LLCを2006年に16億5000万ドルで買収したのはCVCの代表例です。

 

CVCの実施企業

有名なCVCの実施企業は、

 

  • インテルのCVC部門であるIntel Capital

 

  • GV

 

  • DisneyのSteamboat Ventures

 

  • 株式会社リクルートインキュベーションパートナーズ

 

  • GREE Ventures株式会社

 

  • KDDI Open Innovation Fund

 

  • ドコモ・イノベーションファンド

 

などが挙げられるでしょう。

 

CVCは事業戦略やトレンドを掴む方法として重要

CFOはもちろんの事、経営幹部にとって事業拡大と強化、新規事業への投資やそれを早期に軌道に乗せることについての情報は必要不可欠です。そして現在の世界でトレンドである経営手法を掴み、それらを咀嚼しながら自社の経営へ生かすことが大切です。

 

今回取り上げたCVCもそれらの要素の一つといえるので、CFOや経営幹部、及びそれらを目指される方は押さえておきましょう。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部 宮川拓也

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 
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