ベーシックインカムとは? メリットとデメリットとは? 新たな社会の幕開け、AIの失業問題を解決か? 

ベーシックインカムとは? メリットとデメリットとは? 新たな社会の幕開け、AIの失業問題を解決か? 

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はじめに

今日は近未来の話をしましょう。

 

最近、人工知能(Artificial Intelligence、以下AI)の話題で持ちきりですね。「数十年後には現在の仕事の約半分がAIに奪われる」といった話を聞いたことがあると思います。

 

信憑性については様々な議論があると思いますが、スタンフォード大学が発表した「ARTIFICIAL INTELLIGENCE AND LIFE IN 2030」を読むと絵空事でもない気がしてきます。(https://ai100.stanford.edu/sites/default/files/ai_100_report_0831fnl.pdf

 

また、AIの話題に伴い、AIによる社会変革の将来的因子として、「ベーシックインカム」という考えに注目が集まっています。

 

今回は、AIについて簡単に触れ、ベーシックインカムについて少し考えてみたいと思います。

 

AIの社会について考えてみましょう

AIの社会を描いた映画

イメージをしやすくするため、映画で描かれるAI社会を紹介します。

 

  • 「アンドリューNDR114」(1999米)ではドロイドが芝刈り、掃除といった肉体労働を担っています。

 

  • 「アイアンマン」(2008米)ではAI(ジャービスと呼ばれる)が執事となり、戸締りや空調の管理、健康診断、スケジュールチェックなどを行っていました。(これはマークザッカーバーグ氏が実現に向けて開発を進めています)

 

  • 「エリジウム」(2013米)では医療が全て自動化しました。なんと医療ポッド(日焼けマシンに似てる)に入るだけで診察から治療までやってくれる!

 

  • 「Her/世界でひとつの彼女」(2013米)ではメールの返信、書類作成、店の予約といった雑務をすべてAIがこなしていました。

 

  • 「チャッピー」(2015米)ではドロイドが警察官になりました。

 

映画は極端な例ですが、仮に我々が今やっている仕事(書類作成、メール電話対応、決済、運転、情報収集、分析、執筆、面接などなど)の多くをAIがこなせる社会になったらどうでしょう。我々はそれらの仕事をしなくて済むわけです。

 

AIがもたらす我々の運命は2パターン

そんな社会で我々を待ち受ける運命は2パターン考えられます。

 

Aパターン:我々人間が労働から自由になるパターンです。Xという仕事がAIに取って代わられるとしたらXの仕事をしていた人が働かなくても社会は維持されます。つまり少ない労働力で社会を維持できるわけです。「テクノロジーが我々を自由にします」という期待に沿ったパターンでしょう。

 

Bパターン:格差が広がるパターンです。AIが多くの仕事を担うようになり、その収益はAIの所有者に集中するというものです。Xという仕事がAIに取って代わられるとしたらXの仕事をしていた人は失業し、今まで彼らがもらっていた給料は実質AIの所有者に回るという構図です。

 

Aパターンを実現させるために最近注目されているのが「ベーシックインカム」という考え方です。

 

ベーシックインカムとは

ベーシックインカムとは、定期的に、全ての個人に、無条件で、現金を(米の配給などではありません)、支給するシステムのことです。

 

たとえば、「全国民一人ひとりに毎月8万円支給する」といった具合です。

 

年齢、職業、収入、世帯人数などで条件を設定することなく、全ての国民に一律に支給するという点で、従来の社会保障とは異質な概念となっています。

 

ベーシックインカムのメリットとは

ベーシックインカムのメリット①「生活のための労働から解放される」

「生活のために働かなくていいなら毎日何をして過ごす?」私もこんな話をしてよくワクワク感に浸ります。

 

もっとお金が必要なら働くのも手ですし、純粋にやりたいことだけをやって毎日過ごすのも手です。

 

ベーシックインカムのメリット②「労働環境が改善される」

支給されたお金である程度生活できるようになれば、不当な労働をする必要がなくなります。

 

すなわち、生活に必要なお金が既にある状況でも、更に働きたくなるような優良な労働環境以外は淘汰されていくと考えられます。

 

ベーシックインカムのデメリットとは

ベーシックインカムのデメリット①「財源の確保が困難」

例えば日本で毎月全国民に8万円支給するとしたら、年間約120兆円かかる計算になります。(1.27億人×96万円)。

 

当然財源の確保が課題となります。

 

ベーシックインカムのデメリット②「インフレのリスク」

キャッシュフローが急激に増加することが見込まれ、インフレが起こる可能性があります。

 

ベーシックインカムのデメリット③「深刻な人手不足」

無条件で生活費を受け取れるなら、働くインセンティブは下がりますよね。

 

「AIなどが十分に人間の労働力をカバーできる」という前提で実行しないと、単に働き手がいなくなり補完できない状況に陥ります。

 

ベーシックインカム「フィンランドの社会実験」

ベーシックインカム「フィンランドの社会実験」 概要

2017年1月1日から2018年12月31日までの2年間にわたり、Kela(フィンランド社会保険機構)が毎月560ユーロ(7万3000円相当)を被験者に対し支給する社会実験を開始しました。

 

被験者は失業中の国民からランダムに選ばれた2000人で年齢層は25~58歳だそうです。

 

ベーシックインカム「フィンランドの社会実験」 進捗状況

残念ながらKelaは実験が終わる2年後まで一切の結果発表を控えるそうです。それは、実験途中でのインタビューや調査報告が被験者に影響を及ぼす可能性があるからとのことです。

 

しかし、WNYCのインタビューに対しKelaの職員は「ある被験者の女性はストレスから解放された」とコメントしています。

また被験者の男性がThe Economistに対し、「現在はストレスなく積極的に職探しをしている」と回答しています。

 

まだ1年以上続く実験。2019年になりKelaからの公式調査発表が出るまで結論は出ないでしょう。

 

参考

http://basicincome.org/news/2017/05/finland-first-results-basic-income-pilot-not-exactly/

https://futurism.com/finlands-universal-basic-income-program-is-already-reducing-stress-for-recipients/

 

ベーシックインカム「フィンランドの社会実験」 実験の目的

Kelaによると、実験の主な目的は、福祉国家としてのフィンランドの社会保障制度の改善でありますが、実験後の分析研究の中には、ベーシックインカムを支給された人とされていない人の就業率の比較が含まれており、ベーシックインカム導入後の社会における人々の労働意欲や、就業実態を比較考察することになっております。上述したAパターンが実現した場合の人々の勤労意欲を推察することもできそうです。ただし、個々人の健康や幸福度といった潜在的効果について、Kelaが公式調査する予定はないようです。

 

参考

http://www.kela.fi/web/en/experimental-study-on-a-universal-basic-income

http://www.kela.fi/web/en/basic-income-objectives-and-implementation

http://basicincome.org/news/2017/05/finland-first-results-basic-income-pilot-not-exactly/

 

AIとベーシックインカムのまとめ

今回は、AIとベーシックインカムについて考察してみました。

 

近未来に起こるであろうAIによる労働環境の変革は、ベーシックインカムの導入に至るのではないかといった予測をもたらし、労働意欲や労働意義といったこれまで普遍的とされてきたような社会的価値観に疑問を呈するに至っています。

 

このような大きな変革は、一個人の私生活のみならず、企業にとっても、大きな影響をもたらすことは間違いありません。CFOを目指される方は今から、注視していく必要があるでしょう。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部 友善伊笛

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。

ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。

「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。

エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 
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