社会に突き刺さる杭特集vol.2【経営者対談:「仕事と家庭」の未来を考える 前編】
「社会に突き刺さる杭」となる未来の人材を考える対談企画、第三回目のテーマは「『仕事と家庭』の未来を考える」。「中小企業の課題解決を支援する」をミッションに、クラウド型バックオフィスサービスBizerを提供するBizer株式会社 畠山 友一さん、「みんなのまんなかにインターフェイスの役割を」をテーマに、マーケティング、メディア運営事業に取り組む株式会社mannaka柴田 雄平の経営者対談です。
それぞれの会社のメンバーの家庭に対する価値観や、家庭を大切にできる会社の文化について、お話を伺います。
以下
畠山:Bizer株式会社 代表取締役 畠山 友一
柴田:株式会社mannaka代表取締役 柴田 雄平
モデレーター:株式会社ドットライフ代表取締役 新條隼人
保育園の送り迎えをしながら働く
ーお二人の会社は家族持ちの社員の方が多いですか?
畠山
うちの社員は7人中6人が、35歳以上・子持ちです。僕以外の社員の子どもたちは全員保育園児なので、保育園に送ってから出勤して10時始業、退勤もお迎え時間に合わせてるので16時。制度を決めたというよりも、自然な流れで出来上がった感じです。
柴田
うちも社員が9割既婚なんですけど、今すごいことが起こってて。10人いる女性社員の内、3人が妊娠中なんですよ。
畠山
すごい!みんな、お腹大きくなっていきますね。
柴田
大きいお腹3人いたら狭くなっちゃいそうだからオフィスなくて良かったね、なんて言って(笑)うちオフィスレスで完全リモートにしてるので。
「あの会社なら産める」という安心感
ー家庭を持っている人をあえて採用してるんですか?
畠山
最初からそういう狙いで始めたわけではなかったんです。単純に、ベンチャーで知名度がないから良い人材が採用できなくて。若くて有能な人は有名な企業に行ってしまうから、スカウトメールとか送っても全然返ってこなかったんですよ。
ところが、ある時35歳以上の人限定でスカウトを送ってみたら、すごい勢いでレスが返ってきて。こっちの返信が追いつかないくらい。面接に来てもらって、理由を聞いてみたら、35歳以上ってスカウトメールがあんまり来ないらしいんです。
この方針でもっとエッジを効かせればもっと返信来るんじゃないかと思って、「パパママ採用」っていうのを加えてみたんです。子供の送り迎えしながら働けますよって。そしたら採用が上手く回り始めたので、結果オーライって感じですね。
柴田
うちも最初から、結婚してる人とか子持ちの人とかを狙って採用してたわけじゃなくて、入社してからたまたま結婚していった。でも、うちの会社は家族を大切にできる会社ってブランディングをしてきてるので、入社してきた人は「あの会社でなら産める」っていう安心感があったのが大きいのかも。
畠山
それすごいわかります。うちの女性社員でも、ずっと子どもを欲しがってた人がいて。やっぱり激務のストレスと戦いながらの子作りって、なかなか難しい。
だったら、うちの会社来て、子ども作りゃいいじゃんって言ったんです。うちの会社だったら絶対ストレス無いから。そしたらうちに入社して、1ヶ月で子どもができたんです。で、妊娠中の満員電車はキツイから10時出勤で16時退勤になって、それが全体にハマりましたね。
柴田
コミットメントが上がるんでしょうね。
畠山
彼女が育休中に取締役になったので、メディアにも取材されました。女性に優しそうな会社に見えたと思いますが、本人は結構大変そうでした。0歳児のお母さんなんてろくに寝る時間も無いのに、貴重な自由時間に仕事追いかけるんですから。
色んな女性から「働きやすそうだ」って連絡があって、彼女の話を聞きに来るんですけど、実情を聞いたら驚いて自分には無理だって言いますから。相当な覚悟がないとできないと思います。柴田さんのところも、3人一気に妊娠となると、例えばつわりが重なったりしたら業務に影響出ますよね?
柴田
一応、カバーリングできる状態はできてるんです。仮にうちのメンバーが担当している業務が遅れたとしたら、「誰が」「いつまでに」カバーするっていう順番だけ最初に作ってあって。全体の仕事を常に共有して、リスクをヘッジしてるんです。穴が空いたときにカバーしやすいように、作業分担はめちゃくちゃ細かくやってます。
畠山
でも、分担した仕事もそれぞれ繋がってるから、そこの管理大変ですよね?
柴田
基本はチャットワークで共有、全体の進捗は週1回のミーティングで話し合ってます。それぞれのプロジェクトに責任者を置いてるんで、遅れを取った場合はそこで解決する形です。
畠山
頭では理解できるんですけど、これを実際にやるってすごいですよ(笑)
いつでも休める雰囲気をつくるために必要なこと
ー社員全員が家庭に重きをおくことで生まれるメリットって何ですか?
畠山
やっぱり、家族いるやつは守るものがあるから無茶もしないし、すぐ辞めたりしないんです。そういう意味で安心というか、信頼できるみたいなところはありますね。学歴と同じで、保証されるみたいな感覚ですね。まあ、それが全てではないですが、ある程度目安になるというか。家族という共通の話題が多いから、関係が構築しやすいのも良いですね。うちの子の場合はこうだったよ!とかね。
ーあえて困ることを挙げるとしたら、何かありますか?
畠山
強いて言うなら、子ども同士で風邪が移って、社員の休みが続いたりするときですかね。でも、そういうリスクも含めてやってるので、気にはしてないです。子どもが風邪のときに気兼ねなく休めるって、すごく大切だと思うんですよ。
柴田
それ、すごいわかります。暗黙の了解ができあがってるのが、すごく重要で。そういう雰囲気を作るために、休みの連絡には僕が一番最初にレスするようにしてるんですよ。「わかった〜OK!」みたいな。
畠山
うちも一緒です。「小娘対応で遅れます」みたいなのが毎回来て、スタンプで返しますね。
柴田
そういう文化が根付いてますよね。
畠山
でもこういう文化って、信頼関係が前提で成り立ってると思うんです。子どもの風邪とかリモートを理由にして、実はサボってました、って他のメンバーに思われたら、管理しないといけなくなる。
だから、この関係を崩さないために、普段オフィスにいるとき以上のアウトプットは徹底してますね。それがあって初めて、勤怠も有給も管理しないし、休みたいときに休めるって環境を提供できる。
同じ価値観を共有できるメンバーと、会社の文化をつくる
ーそのような文化も含めて、家庭を両立しやすい会社の条件ってなんでしょう?
柴田
女性はやっぱり年齢を考えますよね。2パターンあって、ひとつは何歳までに子どもを産みたいから、それまでにキャリアを積みたい人。もしくは、なるべく早く子どもを産んでキャリアはその後っていう人。出産を含めたキャリアパスを描ける会社の方が、子どもを産みやすいですよね。
例えばうちだったら、事業が多岐に渡ってるので、幅広く関わりたい人が集まってきますね。プランニングとか、ライティング、マーケティング、うちが扱ってる業務の中から自分のキャリアを選んでいく、みたいな。
畠山
女性がキャリアを描きやすいって意味だと、うちのメンバーはみんな仕事より家族を優先する人が集まってるから、メンバーを見ながらキャリアを考えていけるかもしれないです。うちの会社に「120%で仕事に全力投球したいです!」って人がたまに来るんですけど、合わないなって思いますもん。
柴田
仕事は辞められても、子どもを育てることは辞められないですもんね。
畠山
どっちが良い悪いではなく、価値観の違いだとは思うんですけどね。24時間仕事のこと考えたいです!って言われても、うちの社員が家族優先だから18時にはオフィスに誰もいないし16時には半分帰るので、多分ここじゃ面白くないですよ…って(笑)同じ文化を共有できないと、相手のためにも良くないじゃないですか。
柴田
仕事優先の人が一人入るだけでも、会社の環境とかバランスが変わっちゃいますよね。
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家族を優先できる環境づくりのために、リーダーとして積極的に雰囲気づくりをするお二人。後編ではこれからの会社と家族のあり方について伺っていきます。
次回
「仕事と家庭」の未来はどうなるのか?
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