ファーストリテイリング、売上減少に歯止め 急成長するGUと海外ユニクロを柱に売上高3兆円へ

ファーストリテイリング、売上減少に歯止め 急成長するGUと海外ユニクロを柱に売上高3兆円へ

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はじめに

みなさんは服にどのくらいお金を使っていますか?

 

2016年12月1日の日本経済新聞朝刊の企業総合欄に「衣料 値下げの冬」という記事が掲載されました。これによると、家計の衣類に対する節約志向は強まっており衣料品の値下げ傾向が高まるそうです。

 

低価格の衣料品販売店といえば、ユニクロですよね。そんなユニクロよりも安いジーユー(GU)はご存知でしょうか?

 

さて、今回はユニクロとジーユーを擁する株式会社ファーストリテイリング(以下、ファーストリテイリング)を見ていきます。

 

ファーストリテイリングの概要

ファーストリテイリングの会社概要

まずは、ファーストリテイリングの基本的な部分から見ていきます。

 

会社名 株式会社 ファーストリテイリング  FAST RETAILING CO., LTD.

創業 1963年5月1日

本社 〒754-0894 山口県山口市佐山 717-1

従業員数 43,639名(2016年8月31日現在)

店舗数 国内ユニクロ837店舗、海外ユニクロ958店舗、グローバル・ブランド事業1,365店舗(2016年8月31日現在)

 

ファーストリテイリングの事業内容

ファーストリテイリングの事業としては、以下の事業を展開しています。

 

・ユニクロ事業 皆さんがよく知っているユニクロです。

 

・グローバル・ブランド事業

  ジーユー事業 ユニクロよりも低価格で最旬のトレンドを揃えた商品展開を行っています。

  セオリー事業 1997年にニューヨークで誕生した現代的なファッションブランドです。

  コントワー・デ・コトニエ事業 1995年にパリから出発した婦人服のブランドです。

  プリンセス タム・タム事業 1983年にできたフランス生まれのランジェリーブランドです。

  J Brand事業 2005年に米国のロサンゼルスで設立されたブランドです。

 

このようにファーストリテイリングの事業はユニクロ事業(国内&海外)とグローバル・ブランド事業に分けられており、そのグローバル・ブランドの中の1つとしてジーユーが位置しています。

 

また、ジーユー以外のグローバル・ブランドは高価格帯であるという特徴を持っています。

 

ファーストリテイリング、先行きが暗い国内市場

ファーストリテイリング、値上げによる顧客離れに配慮

では、次にファーストリテイリングの経営状態を見ていきます。

 

まずは、売上高と営業利益の推移です。

 

グラフのChart 1を見ると、前年度比較で、2016年の営業利益が、震災のあった2011年のそれを下回る下げ幅を見せています。

2016年8月期の売上高は1兆7,864億(前期比6.2%増)、営業利益は1,272億円(前期比22.6%減)でありました。

この減益の要因は、ユニクロでの2014、15年にかけて2度に渡って実施された実質510%の値上げによる顧客離れによるものが大きいと言われています

 

しかし、2016年に入りユニクロでの値下げを行ったことで値上げの影響は上期のみに留まり、下期6ヶ月間の営業利益は前年同期比94.3%増と大幅な増益に転じました。

 

このことは、衣料品業界において価格設定がとても重要だということが分かる良い事例ですね。

 

Chart 1 ファーストリテイリングの売上高及び営業利益の推移(単位:億円)

2015年以降の数値は国際会計基準の下での数値。

 

ファーストリテイリングの事業別売上高 海外ユニクロとジーユーが好調

ファーストリテイリングの売上高を事業別で見てみますと、以下のようになります。

 

2016年の売上高の構成比は、ユニクロ(国内)が45%、ユニクロ(海外)が37%、グローバル・ブランド(ジーユー除く)が8%、ジーユーが10%となっていました。

 

事業別売上高推移のグラフChart 2からも分かる通り、国内ユニクロの売上が伸び悩む一方で海外ユニクロとジーユーが伸びているのが分かります。

 

Chart 2 ファーストリテイリングの事業別売上高推移

株式会社ファーストリテイリングの有価証券報告書を基に作成。

 

ファーストリテイリングの事業別店舗数 ユニクロ減少、ジーユーと海外ユニクロは増加

では、ジーユーと海外ユニクロが伸びてきた理由はどこにあるのでしょうか。

 

ファーストリテイリングの事業別店舗数の推移を見ていきます。

 

2016年8月現在のそれぞれの店舗数は、国内ユニクロは837店、海外ユニクロは958店、グローバル・ブランド(GU除く)は1,015店、ジーユーは350(国内340、海外10)店となっています。

 

これを見ると、ユニクロの強みがよく分かりますね。

高価格で店舗数も多いグローバル・ブランドに対して、ユニクロは高い知名度と低価格を武器に大型店に一気に集客することで低価格でも大きな収益をあげていることが分かります。

 

しかし、国内ユニクロの店舗数は2013年をピークに減少しつつあります。

 

その代わりに、ジーユーと海外ユニクロは着実に店舗数を増やしており、これは国内ではあまり通用しなくなったユニクロブランドを伸びしろの多い海外で、または違ったコンセプトで展開したことがうまく作用しているのかもしれません。

 

Chart 3 ジーユーの店舗数推移

株式会社ファーストリテイリングの有価証券報告書及び公式サイトを基に作成

 

ファーストリテイリング、海外ユニクロとジーユーを柱へ

ファーストリテイリング、ジーユーを売上高1兆円へ

さて、これまで見てきたようにファーストリテイリングにおいて海外ユニクロとジーユーの存在は大きくなってきています。

 

実際、ジーユーはユニクロに次ぐ第2の柱になるため、中期的に売上高1兆円を目指す方針を立てています。

 

ファーストリテイリング、ジーユーの課題 ユニクロとの食い合いを避けられるか

しかし、ジーユーを大きくしていく中で「ユニクロとジーユーは競合しないのか?」という懸念が挙げられています。

 

ジーユーは、海外の「H&M」などのような低価格ファッションブランドを日本でも普及させる狙いで、ユニクロの低価格版そしてトレンドのあるブランドとして始まりました。

 

2009年に990円ジーンズがヒットしたことで話題になり始め、その後は話題の女優さんを使ったCMなどで若い女性をターゲットにしたことで、ここまで成長してきました。

 

しかし、今後もジーユーが成長していくには、若い女性以外も視野に入れなければならないことは確実です。この点で、ジーユーは、値下げをしてくるユニクロとどうターゲット層を被らないようにしていくのかが、今後のカギとなるのではないかと思います。

 

ファーストリテイリングのまとめ

さて、今回はファーストリテイリングを見てきました。

停滞しつつある事業と、これから伸びつつある事業が共存する良い例だと思います。

 

意思決定の速さが求められる昨今においては、CFOにおける事業の転換期を見極める力はより重要なのではないでしょうか。

 

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「2020年の売上高目標3兆円」と設定しています。今後この目標に向かいどのような戦略を取っていくのか、注目していきましょう。

 
 

執筆者:パイルズガレージ編集部 久保謙太郎

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス

 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 

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