年間1,000人以上の経営者に会う世話人 杉浦佳浩氏から見た「社会に『欲しがられる経営者』とは?」【後編】

年間1,000人以上の経営者に会う世話人 杉浦佳浩氏から見た「社会に『欲しがられる経営者』とは?」【後編】

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「欲しがられる人材になりたい人が集まるプラットフォーム」である、『PILES GARAGE』。
企業を”個”の力で支える、「杭(PILES)」のような人材を育てる「場所(GARAGE)」として、「欲しがられる人材」とはどのような人材であるのか、様々な人のお話を聞くことで改めて考えてみようと立ち上げたこの対談企画。
 
今回のテーマは、「年間1,000人以上の経営者に会う世話人から見た、社会に『欲しがられる経営者』とは?」です。代表世話人株式会社 代表取締役の杉浦佳浩氏に、『PILES GARAGE』を運営する、株式会社mannaka 代表取締役社長 柴田雄平が、お話を伺います。
 
【後編】の今回は、「社会から真に必要とされる経営者像」や「経営者を目指す若者が身につけるべき力」、「世話人がこれからの若い世代へ送りたいメッセージ」などについてお話を伺いました。

 

以下

杉浦:代表世話人株式会社 代表取締役 杉浦 佳浩

柴田:株式会社mannaka 代表取締役 柴田 雄平

 

社会から真に必要とされる経営者像

柴田

杉浦さんから見た、社会に欲しがられる経営者像を教えて頂けませんか?

 

杉浦

まずお客さんを大事にするっていうのはもちろんあると思うんですけど、それ以前に従業員を大事にする経営者かなと思いますね。従業員を変に甘やかすとか、お客さん扱いするという意味ではなくて、彼らが生き生きしているかどうか、ということに相当大きな意味があると思っています。私がたくさんの人とお会いする中で最近一番多いなと思う経営課題は、人材の定着がしづらい職場環境とかですからね。とにかくいろんな課題を毎日山のように聞いていて、複雑怪奇になっていってる感じはしますね。

 

柴田

従業員が生き生きしているかどうかって、大事ですよね。でも、今の時代、フリーランスがすごく増えてきているじゃないですか? けれど、突出したスキルがあるという人を除いては、スキルを中途半端に磨いてフリーランスになっちゃったみたいな人が多くて、その人たちがなかなか稼げていないと感じているんですね。今後、もっとフリーランスが増えていくと言われていますが、杉浦さんからみて、会社を作るということとフリーランスでやっていくということについてはどうお考えになっていますか?

 

杉浦

フリーランスと事業家は全く違いますよね。事業家というのはやっぱり組織化しないといけません。私が言うには、フリーランスの人ほど、事業家を目指していないし、これでいいやと思っている人が多いです。フリーランスと事業家のどちらの方が良いということはないですが、私がお会いするのは事業家が多いですね。彼らには、雇用を目指したいとか、社員に良い影響を与えたいとか、社員の家族を守りたい、という思いがあって、だから事業家になっていますね。
 
ただ、繰り返しですがどっちがいいと言っているわけではありません。ただ、こういう拡大意欲的なものがあるからこそ、事業家になるので、うまくいくケースが多いですよね。フリーランスは自分だけ食べればいいやと思っている人が多いから、実は自分ひとりもしんどくなる、みたいなのはある気がします。

 

 

肩書なんてどうでもいい

柴田

杉浦さんから見て、僕らの会社のように、20代と30代のメンバーしかいないような若い会社へのアドバイスを頂けませんか?

 

杉浦

うーん、難しいですね(苦笑) そう言われると何か無責任なことを言ってしまうような気もします。
というのも、私が20代、30代の時に比べれば、皆さんはものすごい大人だし、すごい頑張っておられるから、私からこうした方がいいですよ、みたいなことを言うことは、逆に恥ずかしいくらいだと思っているんです。ただ、そう思っているからこそ、ある意味対等な関係だとも思っています。だから、上から目線なことは多分言ってないと思うんですよ。
 
一方で、50代ぐらいのちょっと偉そうなおじさんって、いっぱいいると思うんですけど、そういう人って「ITよく分かりません」なんて人が多かったりするんです。「俺が世の中を支えてきました。」みたいなことを言っている人がいますけど、そういう人たちって、実はバブルのお陰で、何もしていない人が多いんですよね。
で、「何をしてきたんですか?」って聞くと、「どこどこの会社の部長です」って言うんですけど、いやそれ実績じゃなくて、ただの肩書ですよって話なんですよ。そういう人と話してても、面白くもなんともないんです。こういう面白いことをやってきたってことが大事だし、そういう面白い話やワクワクするような話こそ若い人たちにしないといけないのにね。
 

 

柴田

そうですよね。僕は20代の時、初めて会う人なのに、いきなり上下関係を作られているような関係で話をする人たちが多かったなという感覚はあります。杉浦さんの年代の人たちって、若い者を敬遠しがちみたいなところがあるのかなと感じてしまっているんですが、そういう風になってしまうのはなぜなんでしょうか?

 

杉浦

きっと、その世代感を埋める必要はないと思っているし、楽だからだと思っているんでしょうね。だけど、それが自分の首を絞めていることに気づいていないんだと思います。
 
自分が20代、30代の時は、50代、60代、70代の人と一生懸命喋ろうとしていました。で、頑張ってそういう人たちと話をしていると、良い大人の人たちが、「杉浦くん、こうした方がいいよ」と教えてくれたものです。それは、世代間をものすごく埋めてくれました。良い経験を聞けたし、そういう人の経験を共有できるという形のコミュニケーションが取れていたので、私自身は、結構早い段階で、たくさんの経営者の人たちとも、普通に会話できるようになれたと思うんですよね。
 
で、今はどうかというと、逆に20代、30代の若い方々と意識的に話そうとしています。これができると、多分どこの年代に対しても、会話が成立すると思うんです。
でも、そこの努力をしない人たちは多いですね。だから、一定の年齢層がまばらにいるような会社の場合だと、社員間コミュニケーションは取れていないでしょうね。結局、お互いに努力が必要だと思います。

 

柴田

大企業だけがそうだというわけではないんですけど、若い人たちの提案や企画を、いきなり最初から切っちゃう人がいる会社が多いなという印象を僕は持っています。杉浦さんはポジティブに人の話を聞いてくれますけど、ネガティブに人の話を聞く人っていっぱいいますが、その違いって何だと思いますか?
 
僕は、大きい組織を動かすためには、もちろん否定的な意見もある一定は大事だと思っているんですけど、基本はポジティブの中に否定をいれておけばいいんじゃないかなと思っています。否定の中に、ちょっとポジティブがあるみたいな感じだと、物事が全然進まないです。

 

杉浦

さっきの世代間のコミュニケーションの話と本質は同じことだと思うんですけど、ルールを変えられると思っていない人が安易にその変えない方向に流されていくんですよね。その方が楽ですから。
で、そこで閉塞感がどんどん出てきて、組織がダメになっていく。「ルールは変えるもんですよ」とかね、「決まりごとって世の中が変化したら、変えられるもんなんですよ」みたいなことが分かっていない。時代の進化とともに、ツールも情報もどんどん変わっていくから、組織は柔軟でないとね。社長も柔軟でないといけないし、社員も柔軟でないといけないです。
 

 

経営者を目指す若者が身につけるべき力

柴田

今、10代とか20代前半の若い人たちが、これから起業や経営者を目指すにあたって、これは学んでおいた方がいいぞとか、こういう人に会った方がいいよということはありますか? これは人からの受け売りなんですけど、「学生の時はお金はないけど時間はあるから、その時間をいかに有効性のあるものにするには、どうしたらいいかである」と。このあたりも含めて、杉浦さんのご意見お聞かせいただきたいです。

 

杉浦

私の拙い経験ではありますが、自分は学生時代にアルバイトをたくさんしていましたね。数えたことはないんですけど、多分40種類くらいはアルバイトをやっていたんじゃないかと思います。それくらいたくさんの経験をしたので、いろんな業界のことを知ることができました。
もちろん、それで全部分かったなんてことはないと思いますけど、こんな会社もあるんだとか、こんなこともできるんだとか、そういうことをたくさん経験することは無駄じゃなかったなと思いますね。

 

柴田

40種類もアルバイトをやったら結構いろんなことを知れるし、きっとその時の経験って役に立っていくんですよね。そうすると、若い時はとにかくいろんな経験をすべきで、専門的なスキルは、それほど突き詰めて磨かなくてもいい、という感じになりますか?

 

杉浦

そこはですね、やっぱり最初(前編)にお話しした、機会提供をきちんと受けられたら、その中でいろんな広がりも出てくると思うんですよね。それが多分、自分は多い方だったのかなと思います。

 

柴田

杉浦さんが目指すチームやトップ(経営者像)についてお伺いしたいと思います。
例えば、スキルがめちゃくちゃある専門家集団みたいな感じなのか、それともプログラミングができる人もいれば、マーケティングができる人もいて、企画ができるみたいな人もいるというような横に広い組織と、縦に高い組織だと、どっちの方が伸びやすい傾向にありますか?
 
ちなみに、僕はマーケティングという面だと、突出したスキルがあると自分では思っています。ただ、正直それ以外のスキルはあんまりありません。だから、僕はビジョンを示して、あとはスキルある人たちに任せています。そういう風に組織図を作っている会社ほど、組織が順応する気がするからです。トップがあまりにもスキルが高すぎると、下がついてこないことってよくあるなと思っています。

 

杉浦

運とかタイミングとか、色んな要素があるので、絶対こっちが良いと言い切るのは難しいですね。この人は伸びるなって思った会社がうまくいかなかったりもしますし、成功パターンって多分ないんでしょうね。
 
そんな中で、私が経営者に会って伝えていることというのは、課題がない会社はないと思っているので、課題に関して話をするんです。すると、他人事が自分事になっていくので、自分事になった瞬間に、やっぱり前のめりになっていきますよね。
そこに、私が色んな解決策とか、こういう方法があるんじゃないかとか、他業界のこういうことで解決したことがあるよっていうことをお伝えすると、ぐっと信頼関係が増してくるんです。つまり、胸襟を開いて話しているかどうかだけで、解決策って変わってくるんですよ。そこはすごく大事ですよね。

 

 

世話人がこれからの若い世代へ送るメッセージ

柴田

これから経営者を目指したり、今の僕らみたいなまだ設立5年以内の若いベンチャーの会社の人に、これから先の時代も踏まえた上でメッセージを伝えるとしたら、杉浦さんはどういう言葉を送りますか?

 

杉浦

当事者意識と問題意識をちゃんと捉えよってことですかね。
世の中、当事者じゃないって言う人が多いじゃないですか? 問題意識についても、そもそも問題を見間違えていたりする。この2つをきちんと捉えて、ちゃんとそこに腰を据えて、手足を動かしていくことって、すごく大事だと思います。とにかく自分は当事者じゃない人って多いですからね。

 

柴田

そうですよね。特に資金調達をしてると、お金が先に来ちゃうから、とりあえず黒転するまではお金を使い切る、みたいな感じがありますけど、それは僕はダメだと思うんですよ。自己資金でいく人と、資金調達でいく人の違いって、そこだと思っていて。スケールのやり方とか、目指してる期間も違ったりするので、別に資金調達自体が良くないとは言ってないんですけど、むやみやたらな調達っていうのはあんまりいいことではないと思っています。簡単に言ったら、バランスシートの負債と一緒じゃないですか。
 
ところで、そもそも杉浦さんとしては、起業をすることって賛成ですか? これだけ起業しやすい世の中なので、20代の時に1回くらい失敗してもいいかなと僕は思っているんですけど。

 

杉浦

そうですね。1回くらい起業した方がいいんじゃないですかね? 成功するにしても、たとえ失敗するにしても。チャレンジですね。

 

柴田

大企業に勤めたけど、3年とかで辞めちゃう人も多い時代じゃないですか。せっかく入った企業なのに、もったいないなという思いとか、自分のやりたいことと違ったなとか、思うことっていっぱいあると思うんですけど、杉浦さんだったらどうしますか? 昔の時代と今の時代は違うと思うんですけど。杉浦さんたちの時代は、終身雇用は当たり前みたいな感じだったと思うんですけど、今はいろんな選択肢があって、フリーランスの選択肢もあったり、大企業だけじゃなくベンチャー企業みたいなちっちゃなところに入るとか選択肢がいっぱいあるじゃないですか?

 

杉浦

企業を辞めるということに関しては、そもそも自分が辞めているので、反対はできる立場にないと思っています。
 
実は、自分は最初に入った会社で、入社して1週間で辞表を出しているんですよ(笑)そうしたら当然上司は、「は? 何言ってんの? 入社して何したのきみ?」みたいな感じでした(苦笑)そりゃそうですよね。ただ、もう辞めたかったんですよね。
 
でも、その時の上司がとてもいい人で、こんなことを言ってくれたんです。僕は、旅行が好きだったので、「毎日、会社に旅行に来てると思えばいいじゃん。」って言ってくれたんです。そうしたら、「おっ、確かに。」と思っちゃって(笑)考え方をその一言で変えられましたね。「確かにそうだ、会ったことのない人に毎日会えるし、それでお金ももらえる。じゃあ頑張ってみようかな。」と。そういう発想の転換ができたら、楽しくなっていったんですよね。それで結局2年半、その会社で仕事をしました。
 

柴田

すごいですね、1週間で辞めようとしてたのに、結局2年半に延びたんですね。

 

杉浦

人生何がどうなるか分からないですね。

 

柴田

これからの杉浦さんの事業のビジョンがあったら教えて頂けませんか?

 

杉浦

僕が至るところで言っているのは、世の中から必要とされる人になり続けないといけないということです。
それが僕のやりたいことなんです。そのための努力は惜しまないです。
僕が、103歳、104歳になっても、「杉浦さん、ちょっと相談があるんですけど…」と言われる人になりたいです。この話の時にいつも、103歳のサラリーマンの福井福太郎さんの話をするんです。福井さんは、97歳で会社に辞表を出したんですが、会社から必要とされていたので、「辞めないでくれ」と言われたんですよ。97歳でそう言われるっていうのはすごいですよね。しかも、福井さんは65歳の時に転職をして、人生で一番長くいるのが今の会社で、その会社に40年近くいるんですよね。そして、今は104歳。すごいですよね、憧れます。

 

柴田

すごいお話をありがとうございました。杉浦さんは、これからもいろんな経営者の方たちの聞き役とか、顧問になられたりすると思うんですけれども、そういう関係性の会社さんが増えていけば、いつしかもっと大きな価値が生まれたりとかするって思っています。例えば、このインタビューを読んで、杉浦さんみたいになりたいという人だったり、僕らのような若い世代も刺激を受けて成長していってくれたら、日本の経済が少しでも良くなるんじゃないかと思っています。改めて、貴重なお時間を頂きありがとうございました。

 

杉浦

ありがとうございました。

 

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年間1,000人以上の経営者に会う世話人の杉浦氏から見る、「社会から真に必要とされる経営者像」や「経営者を目指す若者が身につけるべき力」、「世話人がこれからの若い世代へ送りたいメッセージ」などにについてお話を頂きました。いかがでしたでしょうか? あなたが社会から欲しがられる人材になるためのヒントが得られれば幸いです。このインタビューを読んだことをきっかけに、ぜひ一歩踏み出してみてください。

 

前編はこちら

 

 

▶︎代表世話人株式会社
「人と人をつなげる人でありたい」という言葉を胸に、人と人、企業と企業を繋ぐ活動をしています。経営者目線とモノづくり目線、両方を体感、経験して、人をつなげたら、新たな付加価値が創造されます。これからも多くの人の繋がりから新たなことを生み出して、微力ながら大阪を、日本を元気にしていきたいと考えております。
HP:https://sites.google.com/a/100-dream.jp/top/
杉浦佳浩 official website:http://100-dream.jp/

 

記事:PILES GARAGE

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