形骸化する経団連指針、新卒採用前倒しの懸念とは?

形骸化する経団連指針、新卒採用前倒しの懸念とは?

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はじめに

大学を2018年春に卒業する学生に対し、内定を出している会社が増えています。選考解禁日とされている6月1日からわずか一週間で63%の学生の内定が決まりました。

 

今回はその驚きの事実の背景と、その憂慮すべき点をご紹介いたします。

 

選考活動解禁日とは

一般社団法人の日本経済団体連合会(以下、経団連)は「採用選考に関する指針」を出しています。この指針によると新卒採用における広報活動は3月1日より開始であり、選考活動は6月1日からとなっています。

 

この時期に設けている理由は、学生の本分である学業に専念できるように配慮がなされているからです。したがって、経団連が定めた開始時期より前倒しで新卒採用を行うことを慎むようにとの指針が出されています。

 

ちなみに、過去2年間はどうなっていたのでしょうか。2015年度の広報活動開始日は3月1日、選考活動は8月1日でした。その翌年の2016年度は、広報活動開始日がやはり3月1日、選考活動は6月1日と今年と同じでした。

 

企業が選考活動解禁日を遵守しない事情

企業は優秀な学生獲得に焦っている

上記のように経団連が就職活動の解禁日を設けており、さらにそれ以前に行わないように指導しておりますが、実際は、企業は解禁日前に「面談」と称して実質的な面接を行い、「内々定」と称して実質的な内定を出し新卒者の確保に奔走してます。

 

そうした企業の事情についてご紹介いたします。

 

企業は経団連の指針を重視しなければならない

選考時期を実質的に早めている経団連所属の企業は、経団連の指針を重んじなければなりません。しかし、実際の就活市場では、外資系などの企業が早々に優秀な学生に内定を出し、他社に流れないように囲い込みを行っています。そのため、経団連の指針を重視すればするほど、優秀な学生を確保しにくくなります。また、同じ経団連所属のライバル企業が前倒しで採用を始めると、ライバル企業に学生を取られることになるかも知れません。

 

したがって、企業が優秀な学生の確保に焦る思いと、経団連の指針に則りたい思いの二面が相対して、現在のような3月に広報を開始して、その後すぐに実質的な面接を始める企業が増えていると言えます。

 

企業は新卒採用の数値目標を設けている

多くの企業では毎年採用ノルマという「何人採用を目指す」という目標があります。特に上場企業はそのノルマを有している割合が高くなります。

 

そして、ここにも採用を焦る大きな要因があります。それは、学生母数の減少です。少子化が進み、学生自体の確保が難しくなっているのです。優秀な学生の争奪に加え、各企業の採用数値目標の達成が、企業の採用活動の前倒しに拍車をかけています。

 

新卒採用を前倒しにする懸念事項

企業が採用活動を前倒しにすることで起こりうる憂慮すべき点とは、学生と企業のミスマッチングです。本来優秀な学生を獲得し、長く働いてもらうことが各企業にとっての最大の利益になります。

 

採用を前倒しにすると、その分選定期間は短くなり、ミスマッチングの可能性は増えます。

 

また、経団連に所属する企業は指針を重んじています。6月より前に実施する実質的な面接も、あからさまに採用面接とは称さず、「面談」と称して行うことになります。また、場合によっては、インターンを選考活動の場にしていることもあるでしょう。当然ながら、広報活動のような周知されやすい活動は発覚しやすいので、前倒しをしにくいと考えられます。

 

そうなりますと、面接時期だけが早まり、結果実質的な面接期間も短くなります。採用する側は十分な情報提供ができず、採用される側も十分な情報を得られず、これがミスマッチングしやすくなる原因になると考えられます。

 

新卒採用前倒しのまとめ

経団連は学生の本分を考慮したく、採用企業は時期を早めたいと考えています。この二つがどこかで妥協点を見つけない限り、内定を急ぐ事態が起こり、そのため、ミスマッチングが増えることにも繋がりやすくなります。

 

新卒採用のジレンマは、いつまで続くのでしょうか。上手い解決策が見いだせるといいですね。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
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