ソニー、完全復活なるか コングロマリットの強みを生かす

ソニー、完全復活なるか コングロマリットの強みを生かす

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はじめに

ソニー株式会社(以下、ソニー)は1946年の創業以来人の「やらないことをやる」というチャレンジ精神の元、数々の日本初、世界初の製品を打ち出してきました。

 

特に、プレイステーションやウォークマンなど時代を象徴するような製品も数多く出しており、私たちの生活にも身近な企業として皆さんに認知されていると思います。

 

しかし、そんな企業でも長年経営を続けていると好調を維持しているとは限らなくなります。そこで今回は、近年のソニーの動向について解説していこうと思います。

 

ソニー、端を発した数年前の業績不振

ソニー、約1000億円の赤字

かつては、ウォークマンなどによるイノベーションを起こし続け、業績の好調を維持し続けていたソニーですが、2014年3月期はテレビ事業やパソコン事業、デバイス事業などが低迷したため約1000億円の赤字に転落してしまいました。

 

ソニーはそれまで自社で市場を作ってきたのが強みでした。これまでに無い商品を次々に生み出すことで、競争相手がいない状態で高い付加価値を打ち出し高い収益を得ることができました。

 

しかし、その地位をアップルに徐々に奪われてしまったようなイメージがあるのは、そのような開発力に陰りが見え、競争力を失ってしまったところに原因があると考えます。

 

ソニーを支えた金融事業

ですが一方で、ソニーには別の強みもありました。主力の事業が赤字になってしまった時に、業績を支える金融部門があったのです。

 

金融部門の中にはソニー銀行株式会社、ソニー生命株式会社(以下、ソニー生命)、ソニー損保株式会社がありますが、その中でも特に利益率が高いソニー生命がグループ全体の業績を主に支えていたということになります。

 

ソニーはこのように、コングロマリットのメリットであるリスクヘッジを生かすことができました。

 

コングロマリットとは何かついて解説した記事を以下に紹介します。

コングロマリットとは?

 

ソニーの復活戦略

以前にテレビ事業の副社長を務めていた平井社長は、社内の業績に影響を与えていた赤字のテレビ事業に特別な思いがあったようです。

 

そのため、平井社長は就任後すぐに既存事業にもイノベーションの余地があると判断し、業績不振の一端を担ったテレビ事業も縮小や撤廃をするのではなく、テレビ事業回復をはじめとする消費者向けエレクトロニクス事業の立て直しに着手しました。

 

その他にも、1万人の人員削減や、旧本社ビルなどの資産の売却、化学事業の売却など、痛みを伴う状況で選択と集中を進めた結果、2015年3月期には11期ぶりにテレビ事業の黒字化を達成しました。

 

そして、2015年中には第2次中期経営計画を発表して、これまでの売上至上主義から高収益体質の経営へと方向転換を図りました。

 

その後、2016年3月期にはスマートフォン事業も黒字化を達成し、2018年には消費者向けエレクトロニクス分野の全事業が黒字化する見込みです。

 

さらに、2017年度にはこれまで目標としてきたROE10%や営業利益5000億円を達成する見込みです。

 

ソニーの今後

ソニーは、黒字化したテレビ事業やエレクトロニクス関連事業などの利益率をさらに高めるだけでなく、同社が近年力を入れ始めている半導体事業の画像センサー事業にも注力していくとのことです。

 

半導体事業は典型的な輸出事業であるため、為替変動リスクが高いのが特徴ではありますが、ソニーは以下の対策で利益率の安定化を図っています。

 

新製品の歩留まりの改善やコストカットの実施、また、スマートフォン用だけでなく車載センサー用の需要を増やすことで、スマートフォン用の需要変動リスクをヘッジするなどの利益率安定化対策の実施をソニーは計画しています。

 

さらに、今後は医療分野にも力を注いでいくと平井社長は考えているようです。

 

ソニーのまとめ

このようにソニーは主力事業が傾いてもそれを支える金融事業があり、全社的には利益を確保できる体制があったという強みも今回のような危機的状況から分かりました。

 

また、事業が傾いても、それがコア事業であれば安易に事業の縮小やM&Aに走るのではなく、ノンコアの事業のリソースをコア事業に集中させるという手段を選択した平井社長の経営判断も適切なものであると感じました。

 

さらに、中期経営計画を達成した後は医療の分野などにも注力するなど、業績が好調なうちに多角化を始める点も含めて、これからのソニーの動向にも注目していきたいですね。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部 齋藤涼平

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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