四年連続過去最高の配当額 日本企業の配当と株主構成の遷移を分析

四年連続過去最高の配当額 日本企業の配当と株主構成の遷移を分析

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はじめに

2017年5月29日(月)の日本経済新聞に、2017年度の上場企業の配当額が5年連続で過去最高となったと報じられました。前年度に比べ4%配当額が増加し、上場企業全体で12.4兆円の配当が実現しました。

今回は日本の上場企業の株主構成から、配当について解説していきます。

 

株主構成の変化

Figure 1、2に日本の上場企業の株主構成の遷移を示しました。
Figure 1には1990年からの長期的な推移を示しました。1990年頃は、金融機関や系列の事業会社が株主として圧倒的なシェアを誇っていました。多くの企業が長期的な安定と系列企業の結束から、資金調達を主に銀行に頼り、株の相互持合いが盛んでした。

 

しかし1990年代後半から株式の相互持合いが解消し、また金融機関の統合が進んだため、金融機関や事業法人の株式の割合は大きく減少しました。1990年に合計で73.1%も占めていたにもかかわらず、2015年には50.5%まで減少しました。Figure 2に2010年からの短期的な株主構成の推移を示しました。この5年では事業法人や金融機関の構成は大きくは変わっておりません。

 

1990年代から比べると外国法人等の株主構成が増加しました。1990年には5%以下しか占めていなかったのですが、2015年には約30%まで増加しました。2010年から比べても外国法人等の株主比率は3%ほど増加しており、現在も増加傾向にあります。

Figure 1 株主構成の長期的な推移

(出典 : 日本取引所グループ)

 

Figure 2 株主構成の短期的な推移

(出典 : 日本取引所グループ)

 

外国法人の株主の増加

日本の企業は、企業経営のグローバル化が進み、海外の企業との事業提携や外国企業に出資を求める事例が増えたため、外国法人の株主の構成が増加しました。

Figure 3 各業種の外国法人株主比率の推移

(出典 : 日本取引所グループ)

 

では、業種別ではどこの業界が外国法人の株主構成の変動が激しいのでしょうか?
Figure 3に各業種の外国法人の株主比率の推移を示しました。グラフを見て分かるとおり、情報通信の分野、すなわちIT産業で外国法人の株主比率がもっとも増加しており、2005年から8%ほど増加しています。ITの分野ではグローバル化が激しく、グローバルに技術のオープンソース化が進み、海外の企業との共同開発などに伴い、海外からの資本が流入したと考えられます。その他、食料品や建設業などで外国法人の株主の比率が高まっています。

 

配当額が増えた理由

では、これらの株主構成の変化に伴い、なぜ配当額が増加しているのでしょうか?

 

1990年代は、銀行が大口の株主であり、融資と性質が似ており、求められる配当額も小額でした。また系列企業による相互持合いが多く、その場合は相互に持ち合っているため多額の配当をする必要はありません。

 

しかし前述したように相互持合いの解消や外国法人株主の増加により、企業に意見出しをし、資本効率を高めることを要求する株主が増えました。そのため、企業は資本の維持のため、配当額を増やす傾向にあるのです。

 

また近年、スチュワードシップコードが制定されたことにより、株主が企業の都合を省みない短期的な成長を求めるのでなく、企業の長期的な成長を重視する投資を行う傾向が日本でも盛んになり、企業と投資化との間で良好な関係が築かれつつあることも背景に配当額が増加したと考えられます。

 

配当と株主構成のまとめ

以上、日本の株主構成の推移から、近年の高配当の原因を解説していきました。

 

現在でも日本の資本の収益性は欧米諸国に比べると低いといわれており、スチュワードシップコードの策定や、企業にとってプラスとなる投資化の参入によって、日本の企業の収益性がさらに向上して欲しいですね。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 

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