今さら聞けない 「利率」と「利回り」とは?

今さら聞けない 「利率」と「利回り」とは?

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はじめに

新聞やニュースを見ていると時々出てくる「利率」と「利回り」という言葉。何となく似たような言葉ですが、経済の動向や企業の活動を正確に理解するためには、利率と利回りの違いや関係性を把握することが欠かせません。以下に詳しくみていきましょう。

 

利率と利回りの違い

利率と利回りの定義

利率とは「元本に対する1年間の利子の割合」、利回りとは「投資額に対する収益額を1年間に換算した割合」を指します。

 

利回りの解説

利回りの式は下記の通りです。

 

利回り = 利子 + (償還差益/年数) ÷ 投資元本 × 100

 

社債を例に説明していきます。

 

社債というのは企業による資金調達の方法の1つで、銀行からの借入とは異なり、不特定多数からお金を借りることができるのが特徴です。社債には通常、「額面金額」「償還期間」「利率(クーポン)」が設定されています。

 

例えば、額面金額10,000円、償還期間5年、利率2%の社債を考えてみましょう。

 

この社債を発行時に購入すると、毎年200円(=10,000円×2%)のクーポンが貰え、5年目に額面金額の10,000円が返ってきます。つまり、収益額は11,000円ということになります。

 

社債は額面金額で取得するとは限らないので、3パターンに分けて利回りを計算してみます。

 

1.額面金額以下で取得した場合(8,000円)

利回り = {200 + (10,000-8,000)/5年} ÷ 8,000 × 100 = 7.5%

 

2.額面金額で取得した場合 (10,000円)

利回り = {200 + (10,000-10,000)/5年} ÷ 10,000 × 100 = 2%

 

3.額面金額以上で取得した場合 (12,000円)

利回り = {200 + (10,000-12,000)/5年} ÷ 12,000 × 100 ≒ −1.67%

 

発行時に社債を購入した場合、1のように額面金額以下で取得すればするほど、利回りは高くなります。2のように、額面金額と同額で取得した場合は、利率と利回りは等しくなります。3はいわゆるマイナス利回りを指すもので、この場合償還期限まで社債を持っていると損をすることになります。

 

マイナス利回りが発生する理由

1~3の結果から、取得価格(投資額)が少なくなるほど利回りが高いことが分かります。しかし、ここで3のマイナス利回りは実現するのかという疑問が生まれます。持っていても、11,000円しか収益を得られない社債を12,000円で買うということは、1,000円の損失を受けることになります。

 

通常であればあり得ない状況ですが、実際に日本国債の利回りは一時的にマイナス利回りとなりました。これには、日銀が大規模な金融緩和を行ったことで国債の需要が高まったという背景があります。金融機関は、日銀が国債を買い取ってくれると確信しているため、マイナス利回りでも国債を積極的に買っていたのです。

 

利率・利回り・債券価格の関係

利回りと債券価格が負の相関関係にあることは、今まで説明したとおりです。これに、利率(金利)と利回りが正の相関関係にあることを加味すると、金利の変動は債券の価格に影響を及ぼすことになります。

 

例えば、アメリカの債券を持っていた場合、FRBによる利上げ等が起こると、その債券の価格は下落し、売却損が発生する可能性があります。実際、2016年11月のアメリカ大統領選挙後に米金利が急上昇した際に、外債を保有する金融機関などが損失を被っています。

 

利率と利回りのまとめ

利率と利回り、債券価格の関係性を把握することは、世の中で起きていることを正確に理解するためには欠かせません。利率と利回りの定義をしっかり抑えておきましょう。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部 久保謙太郎

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 
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