ソフトバンクがまたも好業績! 金の卵を産むガチョウに?
はじめに
2017年5月10日にソフトバンクの決算が発表されました。前期にはARMを巨額買収し話題になりましたが、今回の決算でもまた世間を賑わせました。
今回はそのソフトバンクグループの概要と、好業績をたたき出した背景を解説していきます。
ソフトバンクグループの概要
ソフトバンクグループは、ソフトバンクグループ株式会社を純粋持ち株会社とする企業グループで、国内通信事業を中心に、アメリカの通信会社であるスプリントの事業、ヤフージャパンの事業、昨年買収したARMの事業、その他事業投資など、様々な事業を行っております。
①国内通信事業
・日本国内での通信サービスや携帯端末の販売など
②スプリント事業・アクセサリーの販売など
・米国の通信事業子会社Sprint Communications, Inc.(以下、スプリント)による米国での通信サービスや携帯端末の販売、リース
③ヤフー事業・イーコマース(ヤフオク)など
・ヤフージャパンのインターネット上の広告事業
④流通事業・携帯端末アクセサリーの販売など
・日本国内でのパソコン向けソフトウエア、周辺機器の販売
⑤アーム事業
・マイクロプロセッサ―に係るIPおよび関連テクノロジーのデザイン
・ソフトウェアツールの販売
⑥その他の事業
・福岡ソフトバンクホークス株式会社(以下、ソフトバンクホークス)の保有と運営
・太陽光や風力発電などのエネルギー事業
・Pepperなどのロボット製品、サービス提供を行うソフトバンクロボティクスホールディングス株式会社(以下、ソフトバンクロボティクスHD)とソフトバンクロボティクス株式会社(以下、ソフトバンクロボティクス)の保有と運営
・電子商取引サイト「Alibaba.com」などを運営するAlibaba Group Holding Limited(以下、アリババHD)への出資
・中国の配車サービス会社、滴滴出行(以下、滴滴)への出資など
上記からわかるように、ソフトバンクグループがその他の事業と位置付けているところに、今後の成長産業が溢れていることがわかります。ソフトバンクグループは、様々な新規事業に積極的に投資を行っているのです。
感情エンジンとクラウドAIを搭載した世界初の感情認識ロボット「Pepper」の製造、販売、レンタル、事後サービスの提供や、中国版Uberともいえる配車サービス運営会社、滴滴への出資。
最近では、ガンホーやアリババHDなどへの出資を一部引き揚げて、英ARMを巨額買収(約3.3兆円)したことが記憶に新しいと思います。
このように、ソフトバンクグループは、通信事業にのみに依存せず、事業ポートフォリオを戦略的に構築していることがわかります。
ソフトバンクグループの財務情報
ここではソフトバンクグループの財務情報を見ていきましょう。ちなみにソフトバンクグループはIFRS(国際会計基準)を採用しておりますので、その点、ご留意下さい。
今期の売上高はドルベースで820億ドル、円ベースで8兆9,010億円。前期からはドルベースで11%増、円ベースで0.2%増となっています。
さらに衝撃的なのは、営業利益です。下記が営業利益の推移を表したグラフになります。
前期から比べてドルベースでは27%増で、なんと円ベースで、1兆円260億円に到達しました。
ソフトバンクの決算資料によると、営業利益が1兆円を超える国内企業はNTTグループとトヨタ、そして今回のソフトバンクグループ、3社だそうです。
また、営業利益が1兆円に到達するまでにかかった年数は、NTTグループで118年、トヨタで65年で、ソフトバンクグループはなんと36年という圧倒的な速さでした。
また、当期純利益に関しても、1.4兆円という好業績をたたき出しています。
ソフトバンクグループ好業績の背景
国内通信事業については、国内通信サービス売上げの増加、物販等売上の増加により、売上高が増加しています。
またコスト削減が寄与し、営業利益も増加しています。
また、問題の事業であったスプリント事業に関しても、ポストペイド携帯電話の増加による売上高増加、2年で34億ドル削減したコストの減少などが寄与し、前年度は初の営業利益黒字を実現し、今回は前年度の営業利益を6倍増加させました。
また調整後FCFは初めて、プラスに転換しました。
当期純利益については、ARM買収のためにガンホーやアリババの株式を売却し、資金調達した際に生じた、関連会社株式売却益が多く発生しているため、今回は1兆円を突破したと考えられます。
ソフトバンクグループの今後
国内の移動通信サービス契約数は1億5,859万件、人口普及率は125.1%になり、今後の国内市場の成長はあまり見込めないようです。
東南アジアなどの新興国にも進出していますが、そこでもすでにスマホの普及率が高いのが現状です。
よって、今後は通信事業以外の新規事業への変革が求められており、その他の事業の重要性は今後高くなってくると考えられます。そこで、ソフトバンクグループは感情を持ったロボット「Pepper」や、ARMの買収、サウジアラビアPIFとのファンド設立など、新規領域での成長を模索しています。
決算短信
決算説明会プレゼン資料
執筆者:パイルズガレージ編集部
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
■エスネットワークスのサイトはこちら
株式会社エスネットワークス
■mannakaのサイトはこちら
株式会社mannaka
■PILES GARAGEのサイトはこちら
PILES GARAGE