ドラッグストア業界1位のウエルシア 独自の店舗モデルで地域支配
目次
はじめに
M&A(合併・買収)によって規模を拡大してきたウエルシアホールディングス株式会社(以下、ウエルシア)。
2016年度の連結売上高で株式会社マツモトキヨシ(以下、マツキヨ)を抜きドラッグストア業界の首位となりました。ドラッグストア業界の首位交代は1994年度にマツキヨが株式会社コクミンを抜いた時以来で、実に22年ぶりとなります。
また、ドラッグストア業界は競合が多く、上記2社に加え株式会社ツルハホールディングス、株式会社サンドラックが売上高5,000億円を超えており、ウエルシアとしても気が抜けません。
今回は、インバウンド(訪日客)への化粧品の販売や調剤事業が好調で成長産業とされるドラッグストア業界で首位のウエルシアをみていきましょう。
ウエルシアの沿革
1959年12月 東京都府中市において「十字薬局」を個人創業
2001年10月 ジャスダック上場
2004年9月 東証2部上場
2008年9月 高田薬局と株式移転により、共同持ち株会社「グローウェルホールディングス株式会社」設立
2012年4月 東証1部上場
2012年9月 ウエルシアホールディングス株式会社に社名変更
2014年11月 イオン株式会社によるTOBによりイオン株式会社の連結子会社化
上記の年表には示していませんが、ウエルシアはM&Aによって業績拡大してきた会社です。
また、イオングループに属しているため、食料品や日用品の一部がPB(プライベートブランド)のトップバリュとして置かれています。これはM&Aの結果の一部といえます。また、日用品を中心として、ウエルシア独自のPBのウェルマーク(welmark)も置かれています。
ウエルシアの事業内容
ウエルシア、ドラッグストアが主な事業
ウエルシアはドラッグストアを基本として、医薬品・衛生介護品・ベビー用品、健康食品、調剤、化粧品、家庭用雑貨及び食品等の販売を主たる事業とする小売業を主な事業としています。
ウエルシア、独自のドラッグストアモデル
ウエルシアの運営するドラッグストアのビジネスモデルは競合他社と違い「ドラッグ&調剤・カウンセリング・深夜営業・介護」を行なっています。ウエルシアは様々なニーズに応えるため、「かかりつけ薬局」のコンセプトを掲げ、調剤併設型ドラッグストアの店舗増加を進めています。ウエルシアはこれをドミナント戦略として捉え経営活動をしています。
ウエルシアの運営する店舗の特徴は、やはり約6割の店舗で調剤薬局を併設している点です。加えて、在宅への訪問服薬指導なども積極的に行っています。
ウエルシアの経営戦略
ウエルシア、独自のビジネスモデルで売上高増加
既存店の売上高増加要因として、既存店の改装などウエルシアモデルの積極的な推進、24時間営業店舗の拡大、調剤併設率の向上による調剤売上の伸長等があるようです。
2017年度2月期の品目別売上高の状況としては、全てが前期比を上回っています。中でも、調剤が127.5%と伸び率がもっとも高い結果となっています。
ウエルシアの新たな取り組みで拡大、効率化
また、新たな取り組みとして、都市型ドラッグストアを出店しています。さらに、事業の効率化を目的として、2016年9月1日付で連結子会社のウエルシア薬局が連結子会社の株式会社CFSコーポレーションを吸収合併しました。
ウエルシア、店舗数増加で売上高8,000億円へ
次年度以降の見通しとしては、中期経営戦略で2017年2月期(実績)の店舗数1,535、売上高6,231億円から、2020年2月期までに、店舗数1,850、売上高8,000億円にする計画となっています。
ウエルシアの最近の動向
ウエルシア、丸大サクラヰ薬局を子会社化
青森県、岩手県、秋田県でドラッグストアを展開する丸大サクラヰ薬局の全株式を2017年9月1日に取得し、子会社とする予定です。ウエルシア自体の東北における出店状況は、宮城、山形、福島の3県で、北東北への出店は未だありませんでした。中期経営計画にある店舗数の拡大を達成するためには、北東北への進出はキーとなりそうです。
ウエルシア、産学連携で芳醇グリーンティーチョコレートを開発
ウエルシアは小売り事業を営むだけでなく、産官学連携した商品開発にも取り組んでいます。静岡県島田市、横浜薬科大学総合健康メディカルセンターと共同で島田市産のお茶を使ったチョコレートを開発しました。
ウエルシアのまとめ
インバウンド、例えば中国の観光客によって医薬・化粧品が大量に買われていると言われていますが、その需要が頭打ちになったときには、ドラッグストア業界全体としてどう対処していくのかが問われてくると思います。
海外言語に対応し、全世界的に利用されるECのシステムを構築することや、流通、ウエルシアのように店舗形態を新たなモデルにする等、課題はたくさんあるでしょう。今後は、ウエルシアだけでなく業界全体の動向に要注目です。
執筆者:パイルズガレージ編集部
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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