日本の借金はなぜ増え続けているのか
目次
はじめに
2017年5月11日(木)の日本経済新聞朝刊に、「国の借金最高、3月末1071兆円」という記事が掲載されました。同紙によると、5月10日に財務省が、国の借金の残高が過去最高の1,071兆5,594億円にのぼると発表しました。これは、国民1人当たり845万円の借金を背負っている計算になるという内容です。(日経新聞より引用:http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170511&ng=DGKKASFS10H41_Q7A510C1EE8000)
今回は、国の借金とは何なのか、そしてその借金が何に使われているのかを調べていきます。
国の借金とは
国家予算とは何か
まず、国はなぜ借金をするのでしょうか?
これを説明するには、最初に国家予算について説明する必要があります。
国家予算とは、国(政府)が国を運営する際の歳入(収入)と歳出(支出)に関する計画のことを言います。通常、これを「予算」と呼びます。年度は4月〜翌年3月までの一年間となっています。
国家予算が成立するまでのスケジュール
予算が決定されるまでのスケジュールは以下のようになっています。
8月末まで・・・各省庁が翌年度に必要な予算額を「概算要求」という形で財務省に提出。
8〜12月・・・財務省が「概算要求」を基に査定、調整を行う。
12月下旬・・・財務大臣が「政府案」として閣議に提出し閣議決定される。
翌1〜3月・・・政府が国会に「政府案」を提出し衆参両院で過半数の支持を得て予算成立。
翌4月・・・予算の執行とそれに基づく政策の実施。
国が借金をする理由
国会において採決された予算案において、歳入と歳出がイコールなら何ら問題はありません。しかし、実際は国の運営のために必要な資金である歳出を全部賄えるほどの税収が日本にはなく、その差額を借金で補っているということになっています。
国の借金の種類
借金の種類には、国債(短期、中期、長期など)、借入金や政府短期証券があり、現在借金のほとんどは国債で構成されています。
国の借金の増加
国の借金は年々増加している
そして、冒頭でも述べたように国の借金は年々積み上がっています。
以下のグラフは、政府の累計借金額の推移を表しています。
参考資料:財務省資料及びホームページ(http://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/suii.xls)
(http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9850043/www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/data.htm)
H8年~H23年間は3年間隔、H23年~H29年間は1年間隔で表示。
国の借金が過去に急激に増えた原因
最近では、増加傾向が緩やかになっているように見えます。しかし、平成8年辺りから平成17年辺りの急激な伸びが気になります。
何があったのでしょうか。
原因としては次が考えられています。
・税収が減少し特例国債が発行された(景気悪化のため)
・社会保障費が増加し賄うために特例国債が発行された(高齢化のため)
・公共事業を賄うため建設国債が大量に発行された(景気悪化を支えるため)
*特例公債・・・国の歳入不足を補うための国債。特例公債法案が国会の審議を経て可決されれば発行可能。
*建設国債・・・公共事業のために発行される国債。国会の承認を受ければ発行可能。
特に平成2年度末から平成26年度末の間で公債の残高は603兆円増加しているそうなのですが、そのうち約198兆円は税収が減少した結果、そして約210兆円は社会保障関係費が増大した結果であると言われています。
(参考:日本経済の正しい見方・考え方(南部経済研究所))
国の借金は何に使われているのか
では、一体何に使われるためのお金が、予算に計上されているのでしょうか。
以下で示すのは、平成28年度と平成10年度の予算です。
平成28年度の予算総額は96兆7,218億円でした。(平成29年度は97兆4,547億円)
やはり社会保障費が多いのが分かります。平成10年度と比べても、平成28年度の方が社会保障費の占める割合が大きいのが分かります。
また、平成10年度は公共事業費が高いです。あまり大きな変動は見られませんが、確実に変動しているのが分かります。
*平成10年度の国債費は債務償還費と利払い費を合わせたもの
財務省 日本の財政関係資料:http://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/201704_00.pdf
日本経済新聞「政府予算の変遷を見る」 http://www.nikkei.com/edit/interactive/budget2015/
さいごに
今回は、国の借金について見てきました。
その過程で、国家予算や借金の理由について触れ、また借金の推移や内訳についての現状を過去と比較しつつ、国の借金の実態についておおまかに説明してみました。
次の機会には、もう一歩踏み込み、国の借金の解決策について論じてみたいと思います。
執筆者:パイルズガレージ編集部
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
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