丸亀製麺で有名なトリドール、競合他社と徹底比較 高利益、高回転率が明らかに

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はじめに

2017年5月15日(月)の日本経済新聞に、株式会社トリドールホールディングス(以下、トリドール)が香港の中華麺店チェーンを約150億円で買収する予定であると報じられました。

 

トリドールといえば、安くてお手軽な丸亀製麺で有名です。日本には、500円以下で手軽に素早く食事ができる全国チェーン店がたくさんあります。

 

今日はそんなチェーン店とトリドールを比較し、解説していきます。

 

トリドールの競合他社との比較

トリドールと競合他社の利益分析

大衆向けのチェーン店は日々の来客数が多く、売上が伸びやすいのですが、客単価が低いため利益率が低くなるのが特徴です。特に牛丼業界では、2014年頃の円安による輸入品の価格の高騰、消費税の引き上げなどにより、価格を従来通りの300円以下に保ったまま黒字を計上するのが困難な状況となりました。価格設定の低い大衆向けチェーン店の利益率が低いのは、やむを得ないことなのかもしれません。

 

そんな中、売上の90%が大衆向けのうどんで有名な丸亀製麺で占めるトリドールの特徴は、営業利益率の高さです。

 

Figure 1にトリドール、吉野家HD、ゼンショーHDの売上に占める売上原価、販売管理費、営業利益の割合を示します。吉野家HD、ゼンショーHDの営業利益率がそれぞれ1%, 3%であるのに対し、トリドールは9%の営業利益率を示しています。

 

営業利益率が高い理由が、売上原価の低さです。米国産牛肉の価格が10年前に比べ約1.5倍になった影響で(吉野家HDは米国産牛肉を扱う牛丼の売上が約50%を占め、吉野家HDのグループの一つのアークミールも米国産牛肉を扱います)、売上の伸びに比例する売上原価が36%、すき家やなか卯を運営するゼンショーHDは43%あるのに対し、トリドールは25%と競合に比べて低い値となっております。

 

売上原価が低いため、販売管理費にコストがかかっても、牛丼に比べれば利益を創出できる仕組みです。

 

Figure 1 大衆向け飲食企業の売上に占める項目の比較

(出典:決算短信トリドールは2016年3月期、その他は2017年2,3月期)

 

トリドールと競合他社の回転率・効率性・売上高分析

続いて各社の在庫の回転率、固定資産の効率性、売上高の比較をFigure 2に示します。

 

Figure 2 各社の回転率、効率性、売上高の比較(横軸は単位が日)

(出典:決算短信のデータをもとに筆者が作成)

 

円の大きさが売上高を示すのですが、様々なブランドを運営するゼンショーHDの売上が5,440億円、牛丼チェーンや京樽、アークミール等を運営する吉野家HDが1,886億円であるのに対し、うどんが主力のトリドールは956億円です。売上高は3社の中で最低ですが、トリドールは在庫の回転率や固定資産の有効活用の観点から、良好な経営をしていることがわかります。

 

横軸が、売上高を期末の在庫で割った在庫の回転率を示しており、店舗にある在庫額を1日の売上でどの程度回収するかを示します。吉野家HDは回転率が0.2日-1であるため、在庫額の回収に5日かかり、ゼンショーHDは回転率が0.35であるため約3日かかることがわかります。しかしトリドールは1日で回収できるため、在庫を抱え込むリスクが低いことがわかります。

 

縦軸は営業利益を期末の有形固定資産額で割ったもので、有形固定資産は店舗がほとんどであるため、おおよそ1店舗から生み出される営業利益の大きさを比較することが可能です。これを見ても吉野家HDが0.04, ゼンショーHDが0.14であるのに対し、トリドールはずっと高い0.36という値であり、1店舗あたりから生み出される営業利益が高いことがわかります。

 

トリドールのまとめ

世界各地に1,000店舗を展開するトリドール。香港の企業を買収することにより、うどん以外の中華麺にも進出しました。海外展開を見据えた買収なのでしょう。

 

大衆向けチェーンでありながら、利益率や回転率を高く保ち続けるというトリドールの特徴を生かして、世界に羽ばたいてほしいですね。

 

 

※執筆時にトリドールの2017年3月期の決算が公表されていなかったため、今回は2016年3月期のデータを用いた。

 

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 

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