何が起きた 日本郵政、大規模な減損を計上

何が起きた 日本郵政、大規模な減損を計上

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はじめに

2017年4月22日の日本経済新聞電子版の速報記事で、「日本郵政、買収戦略に甘さ 豪子会社の改善見通せず」という記事が掲載されました。

 

日本郵政グループの持ち株会社である、日本郵政株式会社(以下、日本郵政)が、過去に買収したオーストラリアの物流子会社トール・ホールディングスに関して、2017年3月期決算に、巨額の「のれん代」を一括で減損処理することに関する内容でした。そして、2017年4月26日の日本経済新聞で日本郵政が4000億円の減損を計上し、結果2017年3月期の連結最終損益が400億円の赤字になったという記事が掲載されました。

 

今回は、減損に至った経緯、そしてそれが及ぼす影響にまで触れていきたいと思います。

 

日本郵政が大規模な減損を計上

2017年4月20日に日本郵政が業績低迷しているオーストラリアの物流子会社トール・ホールディングスに関し数千億円規模の減損を検討していることが判明しました。減損の対象は2015年2月にトール・ホールディングスを6200億円で買収した際に計上されたのれん代(2016年末には3,860億円の残高)。想定ではこののれんを毎年約200億円、20年間にわたって均等に償却する予定でした。

 

しかし、資源安の影響でオーストラリア経済が低迷し業績が悪化したことや、日本郵政の低水準な収益では200億円規模の償却費が重荷になっていたこともあり、毎年償却費が発生して収益を長期的に圧迫するよりは、短期間で処理する方が投資家にもメリットがあると判断したとみられます。

 

日本郵政グループ全体の17年3月期の最終利益は3,200億円の見込みであり、最大4,000億円規模の損失を計上すると、郵政民営化以降で初めてグループで連結最終赤字になる可能性もあります。これにより、日本政府が計画する日本郵政株の追加売却にも影響が出そうだということです。

 

日本郵政が買収した背景

2015年2月18日、日本郵政が総額約6,200億円(65億豪州ドル)でトール・ホールディングスを買収すると発表しました。

 

海外の物流企業を直接傘下に収め、2015年11月4日の株式上場への弾みとしました。

 

また、国際物流の世界で、欧米ビッグ3(ドイツポスト、フェデックス、UPS)の集約が進んでおり、出遅れていた海外物流事業に本格参入するための戦略でもありました。(当時の物流業務を担う日本郵便の海外拠点は上海のみであり、トール・ホールディングスはアジア、欧州、北米などを中心に世界55カ国・地域に1200以上の拠点を持っていました。)

 

ただ、当時からトール・ホールディングスの企業価値算定については、「割高」との指摘がある買収でありました。

 

日本郵政はなぜ大規模な減損を計上したのか

日本郵政の投資判断の甘さが大規模な減損計上を招いた

主原因は投資判断の甘さだと言われています。

 

トール・ホールディングスの買収により本格的な海外進出の足掛かりにしようと画策していた日本郵政でしたが、その期待は大いに裏切られる結果となりました。

 

中国経済の減速などで資源価格が低迷し、本拠地である豪経済の回復が鈍く、結果トール・ホールディングスの営業利益は16年4~12月期で66億円と前年同期の230億円を大幅に下回るものになってしまいました。トール・ホールディングスの経営陣を1月に刷新する施策を行ったものの、短期間で業績改善に繋げるのは難しいと思われます。

 

日本郵政の財務上、大規模な減損は問題ない

もっとも、日本郵政の財務面においてこの減損計上は問題ないものとも考えられます。なぜならば、資本から負債を差し引いた純資産は日本郵政単体で約8兆円、グループでは約15兆円に上るからです。

 

また、以下の表は日本企業の売上高および総資産額のランキングを表しています。如何に日本郵政の規模が大きいかが分かるかと思います。

 

Table 1 企業売上高ランキング(百万円)

 

Table 2 企業総資産ランキング(百万円)

 

*共に2016年9月現在のもの データ出所:日本経済新聞:マーケット:総資産ランキング、売上高ランキング
総資産ランキング:http://www.nikkei.com/markets/ranking/page/?bd=shisan
売上高ランキング:http://www.nikkei.com/markets/ranking/page/?bd=uriage

 

日本郵政株の追加売却への影響

日本政府は日本郵政株の追加売却を計画していました。

 

この売却収入は東日本大震災の復興財源に充てることが決まっています。財務省は3月29日までに、郵政株の追加売却の事務を担当する主幹事証券6社を選定しており、株価が堅調に推移した場合には、早ければ7月にも売却できる見通しでありました。

 

しかし、今回の減損で追加売却のスケジュールが遅れれば、財源確保の痛手にもなると考えられています。

 

日本郵政のまとめ

さて、今回は日本郵政を見てきました。

 

2015年11月に上場した日本郵政ですが、このトール・ホールディングスの問題があった以前までも、あまり株価に堅調な動きは見られていませんでした。

 

今回の問題で、株価の上昇はさらに遠のいてしまうのかもしれません。

 

 

【参考】
日本郵政の減損計上、2つのリスク浮き彫り(2017/4/21)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21IIG_R20C17A4000000/
日本郵政が巨額減損検討 豪子会社巡り、数千億円規模か(2017/4/21付)
http://www.nikkei.com/article/DGXKASFS20H5F_Q7A420C1EE8000/
日本郵政、買収戦略に甘さ 豪子会社の改善見通せず(2017/4/22)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15635520S7A420C1EA4000/
日本郵政、減損最大4000億円を一括償却(2017/4/22)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15636680S7A420C1MM8000/
日本郵政、国際物流で成長へ 豪大手の買収発表(2015/2/19)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS18H3V_Y5A210C1EA2000/
郵政、初の赤字転落 前期最終400億円
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170426&ng=DGKKASDC25H1P_V20C17A4EA2000

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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