好景気だから人手不足は短絡的 人手不足の真の原因は?

好景気だから人手不足は短絡的 人手不足の真の原因は?

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はじめに

近頃、日本経済において人手不足が騒がれています。これにより、ヤマト運輸株式会社がサービスの削減に動き、他にはファミリーレストランのロイヤルホストが営業時間を短縮するなどの変化が起こりました。

 

2017年4月4日(火)の日本経済新聞朝刊に「非製造業、人手不足に苦慮」という記事が掲載されていました。日本銀行が4月3日に公表した全国企業短期経済観測調査(以下、日銀短観)で人手不足の実情が浮かび上がったというものです。

 

今回は、人手不足の実情、そしてその背景を探っていきたいと思います。

 

非製造業が人手不足に陥っている

Table 1 雇用状況を示す指標一覧

 

まず前述した日銀短観とは、全国の企業動向を的確に把握するために日本銀行が四半期ごとに行う統計調査です。この中の1つの項目として日本経済全体の雇用状況を示す雇用判断DIという統計データがあります。また、雇用状況を示す他の指標としては厚生労働省が調査する有効求人倍率というのもあります。

 

下のグラフ、Chart 1は2005年〜2017年の雇用判断DIを表しています。(値が大きければ人員過剰の会社が多い、小さければ人手不足の会社が多いということになります。)

 

これを見ると、大企業、中小企業共に非製造業の方が低い値であることが分かりますね。そして、全体的に減少傾向にあるということも分かります。

 

Chart 1 雇用判断DIの推移

出所:全国企業短期経済観測調査から筆者作成

 

では、なぜ人手不足に陥るのでしょうか、それを探っていきましょう。

 

人手不足の原因とは?

では、人手不足の原因としては何が考えられるのでしょうか。原因としては以下が考えられます。

 

  •  少子高齢化でそもそも労働者人口が減少傾向にある。
  • 経済が好景気にある。(需要が増加している)
  • 技術を持つ人材の不足(人手不足ではなく人材不足)
  • 賃金のミスマッチ(賃金の低い仕事には人が集まらない)
  • 経済のサービス化に雇用が追いついていない。(介護など)

 

では、これらを検討していきましょう。

 

そもそも労働者人口が減っている

これがまず人手不足の原因として一番に思いつくのではないかと思います。

 

結論から言いますと、労働者人口は減っています。それゆえ、人手不足の一因として考えられるのではないでしょうか。

 

下の図、Chart 2は各年齢層の構成を表しています。これを見ると、日本が少子高齢化になりつつあり、その結果労働力が減少していることが確認できます。

 

ちなみに、15〜64歳人口の割合は最高値が1990年の69.5%、そして予想では2060年に50.9%まで下落するとされています。(2015年は60.7%)

 

Chart 2 日本の年齢別人口比率推移

出典:総務省 情報通信白書「我が国の労働力人口における課題」より

 

好景気で労働供給が足りない?

また、経済の好景気に労働供給が追いついていない。こちらも場合にもよりますが、人手不足の一因として考えられるのではないでしょうか。

 

先の2005年〜2017年の雇用判断DIのグラフを見ると、2008年までは雇用判断DIは人手不足に推移していました。これは好景気で余裕のあった企業が着実に設備投資を進め、それに伴い人員の確保を要していたためです。

 

しかし、2008年以後急速に雇用判断DIが増加しました(人員過剰な企業が増加しました)。これはリーマンショックにより不況に陥り企業が人員を保持する余裕がなくなってしまったためです。

 

このように景気の循環に沿って雇用判断DIは変動します。ただここで注意する点として、一見すると好景気だから雇用判断DIは低い(=人手不足)と短絡的に考えてはいけないことです。以下に詳述するように、これに該当しない場合も考えられるからです。

 

特定の業種のみが人手不足に陥っている

「好景気だから人手不足」に必ずしも該当しない場合がこのケースです。

 

実は、雇用判断DIは企業規模や業種に関わらず、調査対象となる企業全てに1票が与えられています。そのため企業数の多い産業や、中小企業の回答結果が反映されやすい性質を持つのです。

 

そして、2017年3月期において非製造業の中でも雇用判断DIが低い(人手不足が深刻)業種として以下が並びます。

 

Table 2 2017年3月期の雇用判断DI が低い業種一覧

*2017年3月版全国企業短期経済観測調査から筆者作成

 

大企業の非製造業全体の雇用判断DIが−22、中小企業が−34なのでこれらの業種が雇用判断DIを押し下げていると判断できるかと思います。

 

また、これらの業種には先に述べた人手不足の考えられ得る原因がまさしく当てはまります。

 

  • 技術を持つ人材の不足→建設
  • 賃金のミスマッチ→介護、保育など
  • 経済のサービス化に雇用が追いついていない→介護、小売など

 

ここでは詳しく触れませんが、この3つの原因が雇用判断DIを低下させている、言い換えればこの3つを非製造業において改善することが人手不足解消の近道になることは間違いないと言えます。

 

人手不足のまとめ

今回は人手不足というテーマに触れてきました。

 

次回は上述した人手不足の3つの主要原因にも触れたいと思います。また、人手不足の原因には他にも考えられることが多々あります。

 

皆さんもこれを機会に新聞を読むときに意識してみてはいかがでしょうか。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部 澤田勇平

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
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