ヤマト、アマゾン即日配送から撤退した理由とは 原因を分析
はじめに
年が明けてから4月にかけて、よく目にするようになるあの方々。
緑・黄・黒色の慣れ親しんだあのカラーイメージでおなじみの、ヤマトホールディングス株式会社(以下、ヤマトHD)傘下のヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)の配達員の方々です。もちろん、私もよくお世話になっております。
そのようなヤマト運輸ですが、Amazonの当日配送サービスの受託から撤退するという記事が2017年4月7日の日本経済新聞に掲載され話題になっています。
今回はヤマト運輸を企業として捉えた情報と共に、なぜ即日配送から撤退するのかといったところまで幅広くお伝えします。
値上げによる料金の変化
ヤマト運輸は2017年3月7日にも9月末までに個人顧客分の配送料金の値上げ、法人顧客分については繁忙期の割増料金の追加なども検討しているという内容の報道がありました。この値上げですが、消費税増税時を除いて27年ぶりのようで、この動きには様々な背景があります。例としては以下のようなものがあります。
- ネット通販の普及拡大により、荷物個数の増加
- ドライバー等の人手不足の深刻化
- 長時間労働やサービス残業の常態化
- 昨夏にはドライバーへの残業代の未払いの問題によって、横浜北労働基準監督署から是正勧告を受けるなど問題が山積み
- 繁忙期には外部委託することもあり、そのコストが増加
- 再配達のコストが増加
再配達問題を解決か 便利ツール紹介
ヤマト運輸には、意外と知られていない様々な便利ツールが多数存在しています。以下に挙げるツールによって、再配達などの手間が省けるようになるとの声があります。
- Myカレンダーサービス
あらかじめ荷物を受け取れる時間を曜日ごとに指定登録しておくと、その時間に荷物を配達してもらえます。また配達の前には、時間帯の確認のメールが届き、登録しておいた時間に受け取れなければ、時間変更してもらえるというサービスです。
- 荷物お問い合わせシステム
伝票番号を入力すると荷物の配達状況が分かるというサービスです。
他にも便利なサービスがあるようですが、これらのツールが広く認知され、有効活用されると、再配達などの手間が省けるようになります。物流業界の課題解決の一歩はこういったサービスの告知にもありそうです。
ヤマトの事業内容
では、ここでヤマトHD自体の事業内容をみていきましょう。
- デリバリー事業
言わずもがな、宅急便等の事業のことです。ヤマト運輸はここに位置付けられています。
- BIZ-ロジ事業
効率的・発展的な「モノ」の流れと保管に関する業務
- ホームコンビニエンス事業
引越や家財の配達・セッティングなど、「生活空間」に踏み込んだサービス
- e-ビジネス事業
情報システムの開発・システムパッケージの販売を担っています。
- フィナンシャル事業
ヤマトグループの物流における商品配達時の代金回収事業や総合リース事業、クレジットファイナンス事業を展開
- オートワークス事業
ヤマトグループ4万台の車両管理及び、運送事業者やバス事業者の車両の保守、整備等
ヤマトの財務情報
Table ヤマトの損益計算書
(企業HP決算短信より筆者が集計作成)
[http://www.yamato-hd.co.jp/investors/financials/results/index.html]
ご覧の通り、各項目で微増から横ばいで推移といった具合です。人件費がネット通販の拡大の影響からか徐々に増加している様子です。
当然業種によって見方は異なりますが、営業利益率は5%を超えると上場している有名企業並みに優良といわれているので、1~3%くらいが標準となります。それを踏まえて考えると、ヤマトは5%前後で推移しているため、中々良いといえるでしょう。
ヤマトのまとめ
今回みてきたヤマト運輸に関わらず、運送・配送関連の事業を営んでいる会社にとって、上記の問題はどこも抱えているでしょう。これらは、ネット通販が拡大し商品がすぐに届くといった環境の今、真剣に取り組むべき問題でしょう。料金の値上げの件についてもヤマトの動きは注目です。
執筆者:パイルズガレージ編集部
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
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