国内最大の免税店ラオックス、飲食業に参入 その狙いはインバウンドの変化に鍵

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はじめに

2017年4月20日(木)の日本経済新聞に、ラオックス株式会社(以下、ラオックス)が飲食事業に参入したことが報じられました。ラオックスといえば家電量販店というイメージも強い中、インバウンド消費のために免税商品を数多く扱っていることでも有名です。

 

それではなぜ、飲食業に参入したのでしょうか?今日はラオックスについて解説していきます。

 

ラオックス、主要事業の変遷

ラオックスは2009年に中国の大手家電量販店の「蘇寧電器」に買収されており、家電量販店としてのイメージが強かったのですが、家電量販店はヤマダ電機やビックカメラなど大手の競合が多く、国内でシェアの拡大を進めるのが難しいため、2014年頃まで営業利益がマイナスでした。

 

しかし、2014年頃からの円安に伴う日本への外国人旅行者数の急増により、インバウンド消費が拡大しました。その流れに適応するようにラオックスは免税店事業にシフトしました。そのため多くの外国人、特に中国人観光客が免税店で時計、家電、カメラ、美容品など様々な商品を、ひとつの店舗で購入できるラオックスに足を運ぶようになりました。その成果もあり、中国の来訪者数が多かった2015年では、前年度に比べて約85%売上が増加し、80億円もの純利益を計上しました。

 

しかし、2016年には約30%も売上が減少し、営業利益、純利益ともに赤字となりました。一体ラオックスに何がおこったのでしょうか?

 

 

Table 1 ラオックスの財務情報(3期分)

(ラオックスの決算短信を参照)

 

ラオックス、爆買いブームと相関が低い飲食にターゲット

Figure 1の訪日中国人の平均購買単価とラオックスの国内での売上の推移をご覧ください。2015年から2016年にかけて訪日中国人の爆買いが落ち着いたため、訪日の中国人旅行者が買い物代に費やす平均単価が約25%も落ち込みました。それに伴い、旅行者向けの買い物品を主に扱うラオックスの国内売上高も同様に約30%減少しており、訪日中国人の購買意欲に大きく影響されることが分かります。

 

Figure 1 訪日中国人の平均購入単価とラオックスの国内売上高の推移

(売上は決算短信、平均単価は訪日外国人消費動向調査を参照[http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html]

 

一方、飲食費や宿泊料金の平均単価をご覧ください。これらは訪日中国人の爆買いなどのブームに大きく影響されず、飲食費には2016年に前年度の10%以下しか単価が減少していません。そこでラオックスは訪日中国人爆買いブームにあまり影響されない飲食業で、安定した収益を獲得するのを狙っているのです。

 

ラオックスのまとめ

以上、ラオックスについて解説しました。どの業界でも多くの企業がそれまで収益源となる事業を変更し、新たな事業に乗り出すことは良くあります。ラオックスが新たに乗り出した飲食業が収益源の一つとして活躍して欲しいですね。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 
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