東芝メモリ売却へ 「日の丸連合」技術流出を阻止できるか 技術流出の問題とは?

東芝メモリ売却へ 「日の丸連合」技術流出を阻止できるか 技術流出の問題とは?

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はじめに

以前、「危機に瀕する東芝 半導体事業の分社化」(https://piles-garage.com/article/603)という記事で、東芝の半導体事業の分社化と株式売却が取り上げられました。2017年4月8日の日本経済新聞朝刊で、官民連合による東芝の半導体事業への出資案が計画されていることが分かりましたが、そこには海外への技術流出を止めたいという背景があります。今回はM&Aと技術流出について解説したいと思います。

 

技術流出とは?

技術流出」という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか。工場の海外移転、ライバル企業による技術責任者の引き抜き、これらは確かに技術流出を引き起こす要因ですが、事業の一部に関するものに過ぎません。

 

事業もしくは企業全体の技術が流出する恐れがあるのが、M&Aです。もちろん、事業や企業を売却した側にとって、もはや技術流出のデメリットはありません。国内企業同士のM&Aであれば問題はないでしょう。

 

しかし、海外企業との取引(クロスボーダー)になると話は別です。国外への技術流出は、日本の産業競争力低下に繋がります。

 

東芝の半導体事業売却の経緯

東芝は、2006年に米国の原子炉メーカー大手のウエスチングハウスを買収しました。今問題となっているのは、2016年末に発覚したウエスチングハウスの多額な損失です。これにより東芝は債務超過に転落してしまうため、損失補てんとして半導体事業の売却が行われることになりました。

 

2017年3月末に半導体事業は分社化され、同時に1次入札も締め切られました。米国の半導体大手ブロードコムや台湾の鴻海精密工業などが応札しましたが、日本企業は参加を見送っています。

 

経団連(日本経済団体連合会)の榊原会長が、海外へ技術が流出することに強い懸念を示していましたが、日本でもトップレベルの半導体技術が海外企業に奪われることは、日本としても国際競争力の低下に繋がる恐れがあります。

 

そこで今回、二次入札に向けて、官民で資金を負担する「日の丸連合」を組み、半導体事業に出資する計画が浮上しました。具体的には、富士通株式会社や富士フィルムホールディングス株式会社等の日本企業が経済産業省と連携して共同出資を行います。

 

官民連合は東芝メモリ買収に成功するのか

過去にも半導体大手のルネサスエレクトロニクス株式会社が経営危機に陥った際に、官民の共同出資が行われました。産業革新機構が約1,400億円、トヨタ自動車やパナソニックなど大手メーカーが数十億円を出資しています。

 

東芝側は、今回の官民連合の出資提案も受け入れる方針で動いており、5月に二次入札が行われる予定です。その後、6月下旬の定時株主総会で売却先を選びます。

 

半導体事業の行方も気になりますが、今後の東芝には目が離せません。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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