知っているようで知らない、GDPの意味とは? 図式で分かりやすく解説!
目次
GDPの構成要素を説明できるか
トランプの大統領就任で荒れに荒れている米国。2017年1月28日の日本経済新聞朝刊でも米国の実質国内総生産(実質GDP)速報値が発表され、話題となっています。
ところで、GDPの意味は国内総生産ですが、その構成要素を説明できる人は以外に少ないのではないでしょうか。今回は米国の経済指標をもとに、そんなGDPの意味を深掘りしていきます。
GDPとは?
GDPの定義とは?
GDP(Gross Domestic Product、国内総生産)とは、「ある地域で、ある一定期間(例えば1年間)に生み出された付加価値の総額」を指します。
GDPは売上額の合計ではない
ここで注意して頂きたいのは、GDPは付加価値の総計であって、売上金額の合計ではないという点です。売上金額の合計では付加価値が二重三重と計算されるため、経済の実力を正確に示すことは出来ないためです。ビジネスで言えば、「売上から仕入れを引いた金額」が企業が新たに生み出した価値となります。
実質GDPとは?
GDPの中でも今回、アメリカが発表したGDP速報値は実質GDPと呼ばれるものです。
実質GDPとは、ある期間のGDPを基準として、それ以降のインフレやデフレなどの物価変動の影響を除いたGDPです。
名目GDPとは?
名目GDPは物価変動を考慮しないものとなっているため、物価変動による影響を受け変動しやすい指標になっています。(因みに、GDPは速報値、改定値、確報値と3段階に分けて発表されます。 )
GDPとGNPの違い
GDPは在外邦人が生み出した付加価値を含めない
GDPとは国内において生み出された付加価値合計です。そのため、海外で働いている日本人が生み出した付加価値は含まれず、また日本国内で働いている外国人の生み出した付加価値は含まれます。
GNPはグローバル化が進む現状に即しない
過去にはGDPではなくGNP(Gross National Product、国民総生産)という指標がGDPよりも重視されていた時期がありました。しかしこの指標では、海外で働いている日本人の生み出した付加価値は含まれますが、日本では働いている外国人の生み出した付加価値は含まれないというものになり、グローバル化が進む現代にはそぐわない指標になってしまい、GDPが重視されるようになりました。
GDPランキング
以下で、GDPのランキングを示しています。
Table 世界のGDPランキング (2015年の名目GDP、単位:10億US$)
[http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpd.html]
GDPの内訳とは?
では、下記に示した2015年度の米国の実質GDPのChartを参考例として、内訳を見ていきます。
GDPは国内総生産のため、製品やサービスを生産する側から見た指標と言えます。
一方、作ったものを買う側がいることを考えれば、GDPは国内の支出の総計「国内総支出」(GDE)とも言い換えることが出来ます。家計の支出である「個人消費」(C)と企業による「投資」(I)は民間である私たちが支払っていると言えるので「民需」と言います。対して、政府もGDPの買い手であるため「政府支出」(G)と言います。また、もう一つの買い手は海外で「輸出」(X)ですが、「輸入」(M)で海外からの製品も買っているため、その分を差し引く必要があります。差し引いたものを「純輸出」(X−M)と言い、まとめると以下の式になります。
国内総生産(GDP)=国内総支出(GDE)=個人消費(C)+投資(I)+政府支出(G)+純輸出(X−M)
Chart 米国の実質国内総生産内訳 2015年度
参考データ Kimberly Amadeo
[https://www.thebalance.com/components-of-gdp-explanation-formula-and-chart-3306015]
GDPを図式化して明確に把握する
2017年1月12日 の日本経済新聞でも、トランプ大統領が記者会見で米国の貿易赤字に強い不満を示したことが掲載されていました。貿易赤字とは、先のChartで示したようにX−Mで純輸出がマイナスになることを意味します。
このように経済指標を図式化して考えることで、漠然としたイメージをそれぞれの成分に視覚化して捉え直すことが出来るのです。
執筆者:パイルズガレージ編集部
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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