監査等委員会設置会社とは? メリットとは? 図で従来の会社の機関設計とを比較

監査等委員会設置会社とは? メリットとは? 図で従来の会社の機関設計とを比較

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新たな機関設計、監査等委員会設置会社

2017年2月6日(月)の日本経済新聞で、監査等委員会設置会社というワードが登場していました。2014年の会社法改正で新たに可能となった機関設計である監査等委員会設置会社。

 

今回は、その監査等委員会設置会社と従来の会社の機関設計の基本的な部分を解説していきます。

 

会社の機関とは?

会社は、所有と経営の分離により多数の零細な株主から経営を委任された取締役が、その多数の株主に代わり経営を行います。

 

また、公開会社や大会社のような社会的に影響力の大きな会社になってくると、ガバナンスの質を向上させるために監査役や監査役会の設置が義務付けられる場合があります。

 

このような、会社を活動させていく上で法により会社の意思決定や監査などを任されている自然人または会議体を会社法上、機関と呼んでいます。期間には取締役や取締役会、株主総会、監査役などが代表例として挙げられます。

 

監査等委員会設置会社、移行までの道のり

一般的な機関設計、監査役(会)設置会社とは?

企業統治を行っていく上での一般的な機関設計として、監査役(会)設置会社が挙げられます。以下のChart 1は、監査役(会)設置会社を表したものです。

 

監査役(会)設置会社は業務執行を行う取締役に違法行為や任務懈怠が無いかどうかなどを監査する役割を担っています。会社法では、監査役の条件として、業務を行う取締役との兼任などを禁止してはいるものの、社外の者である必要がないため、通常、社内での昇進ルートの一つとされ、監査役になるのは社内の者であることがほとんどです。そのため、取締役を監査しなければいけないはずの監査役とその対象である取締役との間には、過去の上司、部下関係などが存在するケースが少なくなく、馴れ合いが生じやすいのです。そのため、監査役(会)設置会社ではガバナンスの仕組みが上手く機能しないことがデメリットとして挙げられていました。

 

Chart 1 監査役会設置会社の図

 

ガバナンスを強化するためのアメリカ型の機関設計、指名委員会等設置会社(旧委員会設置会社)とは?

監査役(会)設置会社では上記で説明したデメリットが存在しました。そこで会社のガバナンスを強化していくため、新たに注目された機関設計が、指名委員会等設置会社(2014年の会社法改正で監査等委員会設置会社ができるまでは、委員会設置会社という名称でした。)です。指名委員会等設置会社は取締役会内に3つの委員会(指名委員会報酬委員会監査委員会)を持ち、今まで業務執行を行っていた取締役とは別に、執行役という業務執行機関を設け、今までの取締役は監督機能に専念するという、業務執行機関と監督機関を明確に分離(執行と監督の分離)した機関設計です。以下のChart 2は指名委員会等設置会社を表したものです。また、各委員会は取締役3人以上で組織され、その過半数は社外取締役でなければいけないという要件があります。よって会社の重要な意思決定を行う際には、社外の者が何らかの形で関与することになるので、指名委員会等設置会社はガバナンスが強化された機関設計であるというメリットがあります。

 

しかし、この指名委員会を設置する際に、大きな問題をクリアする必要があります。それは社外取締役の選任です。各委員会は必ず2人以上の社外取締役で構成されなければなりません。しかし、社外取締役は希少な人材で、簡単に雇うことはできません。また社外取締役を雇うことによるコスト負担や、昇進コースがなくなることでの会社従業員の士気の低下などもデメリットとなり、結果的に、指名委員会等設置会社は2016年12月19日の時点で、上場企業の中でも70社しか存在していない状態です。

 

Chart 2 指名委員会等設置会社の図

 

監査役(会)設置会社と指名委員会等設置会社の折衷? 監査等委員会設置会社とは?

指名委員会等設置会社には上記のようなデメリットがあったため、従来の監査役(会)設置会社と指名委員会等設置会社の間をとる形で、2014年の会社法の改正で、新たに監査等委員会設置会社という機関設計が可能となりました。監査等委員会設置会社は従来の指名委員会等設置会社に近い形をとります。以下の図Chart 3は監査等委員会設置会社を表しました。取締役会に取締役3人以上(過半数は社外)で構成される監査等委員会を設置し、取締役の業務執行の監査を担当します。この監査等委員会設置会社によれば、社外取締役を2人に抑えることができ、会社の実務的な負担を軽減しながら、ガバナンスの強化を図ることが出来るというメリットがあります。

 

Chart 3 監査等委員会設置会社の図

 

監査等委員会設置会社はCFOの必須知識

昨今、会社のガバナンス強化が話題になっています。2014年の会社法改正では、監査等委員会設置会社の他、社外役員の要件の緩和などが行われました。このような世の中の流れの中で、CFOとして会社の法務、ガバナンスに関することも知らなければならないと言えるでしょう。

 

執筆者:パイルズガレージ編集部 牧野成譲

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス


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