営業利益を圧迫、多角化事業も育たず業績低迷で限界か 牛丼の吉野家HDを財務分析

営業利益を圧迫、多角化事業も育たず業績低迷で限界か 牛丼の吉野家HDを財務分析

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はじめに

“吉野家「牛丼一筋」モー限界?”という記事が2017年3月7日(火)の日本経済新聞朝刊に掲載されていました。他の飲食チェーンがメニューの充実を武器にするなか、牛丼を中心に勝負する吉野家のビジネスモデルが成り立たなくなっているという内容でした。

 

日経新聞にしては珍しい見出しに目を引かれたというのもあり、今回は株式会社吉野家(以下、吉野家)について見ていきたいと思います。

 

「うまい、やすい、はやい」 吉野家の概要

吉野家の起源

吉野家と言えば、このキャッチフレーズが有名ですね。

 

吉野家の歴史は古く1899年に東京・日本橋にあった魚市場で吉野家は誕生しました。この時から牛丼を販売していました。そして、1958年に牛丼店から現在の株式会社吉野家が設立されました。

 

吉野家HDの構成企業

今では吉野家は吉野家ホールディングス(以下、吉野家HD)を構成する1つの企業という位置にいます。

 

吉野家HDを構成する企業は、他に以下のようなものがあります。

 

株式会社はなまる(うどん)

株式会社アークミール(ステーキのフォルクス、しゃぶしゃぶなど)

株式会社京樽(鮨) など

 

うどんで有名な株式会社はなまるうどん(以下、はなまるうどん)が吉野家HDの一部だったとは驚きです。(はなまるうどんは2006年に子会社化されました。)飲食業界ではこういう驚きは多いと感じます。

 

吉野家と競合牛丼チェーンを比較

さて、ここで吉野家の基本情報を他の牛丼チェーンと比較しながら押さえておきたいと思います。

 

Table 1 吉野家と競合牛丼チェーン企業の比較表
*情報は2016年決算を基に作成。

*すき家、なか卯の店舗数は海外を含む店舗数です。

*松屋の単体売上は「牛めし定食事業」の販売実績です。

 

「吉野家HDの数字を見る!」 財務分析

吉野HDのセグメント分析 「売上高」

次は、吉野家HDの財務情報を見ていきましょう。普段は食べるだけでこういったことを気にすることは中々ないですよね。

 

まずは、売上高推移をセグメント別で表してみました。

 

これを見ると、圧倒的に吉野家の占める売上が大きいことがわかります。

 

吉野家の業績が伸び悩んでいることを考えると、この状況は厳しいのかもしれません。

 

Chart 1 吉野家HD売上高推移(セグメント別)

 

Table 2 吉野家HD売上構成比

両参考:株式会社吉野家ホールディングス決算短信

 

吉野家HDのセグメント分析 「営業利益」

次は吉野家HDの各セグメントの稼ぐ力、つまり営業利益を見ていきましょう。

 

下記の円グラフChart 2は、2016年2月決算時の営業利益構成比を、Table 3は各セグメントの営業利益率を2011年と2016年で比較したものです。

 

まずChart 2を見ると、こちらでも吉野家が半分以上を占めていることが分かります。その次にはなまるうどんとなっています。

 

しかし、吉野家HDのセグメント別営業利益率で見ると(2011年と2016年の比較)、一番高いのははなまるうどんとなっています。5%というのは高い数字ですね。吉野家は2011年に比べると利益率は下っていますが3%をキープしているのでまずまずではないのでしょうか。(吉野家は原材料の高騰が響いたのかもしれません。)

 

吉野家HD全体で見ると、2016年の営業利益率は2011年に比べ大幅に下っていることがわかります。

 

吉野家、はなまるうどん以外の業績が不調なことに加えて、吉野家HDが買収により事業を多角化したことで全体的な管理が複雑化し、費用がかさんでしまったのではないかとも考えられます。

 

Table 3 2011年と2016年の吉野家HD営業利益率構成比の比較

 

Chart 2 吉野家HD営業利益構成比

参考:株式会社吉野家ホールディングス決算短信

 

吉野家のまとめ

さて、今回は吉野家を見ていきました。

 

まとめると、吉野家HD全体売上の半分を占める牛丼一筋がビジネスモデルである吉野家HDは業績が低迷しつつあり、多角化を狙った事業も上手く育たず、さらに多角化により全社的な管理費用もかさんでしまっているという状況でありました。今後、吉野家HDはどういう経営戦略を打ち出し、実行していくのか注目していきたいと思います。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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