世の中に時間革命を 株式会社BearTail黒﨑氏のビジネスにおける原動力【前編】

世の中に時間革命を 株式会社BearTail黒﨑氏のビジネスにおける原動力【前編】

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「欲しがられる人材になりたい人が集まるプラットフォーム」である『PILES GARAGE』。企業を“個”の力で支える、「杭(PILES)」のような人材を育てる「場所(GARAGE)」として、「欲しがられる人材」とはどのような人材であるのか、様々な人のお話を聞くことで改めて考えてみようと立ち上げたこの対談企画。

 

今回は、株式会社BearTailの代表取締役・黒﨑 賢一氏にお話を伺いました。株式会社BearTail(以下、ベアテイル)は、「無駄な時間を省けるか、または今までより豊かに変えられるか」を価値の定義とし、その価値ある時間の総量が世界の人々を動かしていることの証明でありやりがいであるという理念のもと、事業を展開しています。
家計簿アプリDr.Wallet、経費計算アプリDr.経費精算の開発運営を手がける同社の代表である黒﨑氏に、ビジネスの原動力となっているスキルや起業にいたるまでの道のりを伺いました。株式会社Mi6の川元との対談をぜひ、お楽しみください。

 

以下
黒﨑:株式会社BearTailの代表取締役 黒﨑 賢一
川元:株式会社Mi6 代表取締役社長 川元 浩嗣

 

ビジネスの原動力となっている“思い込み力”

川元
まずはベアテイルの事業について教えていただけますか。

 

黒﨑
株式会社ベアテイルは、2012年に筑波大学のメンバーが集まって創業した会社です。“無駄な時間を減らして豊かな時間を作る”というビジョンで、世の中に時間革命を起こすという軸で事業展開をしています。一つ目の事業が個人向けの家計簿アプリDr.Walletで、現在150万人ぐらいの方に使っていただいていいます。二つ目の事業が、Dr.経費精算という経費精算のシステム。こちらは約300社に提供しています。

 

川元
家計簿アプリ、すごく増えてますよね。

 

黒﨑
はい。着々と増えています。

 

川元
Dr.Walletの利用者はコマーシャルなしで増加している感じですか。

 

黒﨑
オーガニックで毎月ちょっとずつ入ってきているという感じです。なんだかんだもう4年ぐらいやってますので。

 

川元
素晴らしいですね。以前お聞きした時よりも増えてますね。

 

黒﨑
実は、ほとんど力かけてないんですけどね。

 

川元
質がいいから、着実に伸びているということなんですね。黒﨑さんは、確か学生時代から起業されているんですよね。

 

黒﨑
はい。20歳で創業しました。大学3年のときです。

 

 

川元
黒﨑さんがビジネスで培ってこられた一番重要なスキルは何でしょうか。

 

黒﨑
なかなか思いつかないんですけど(笑)。僕、結構思い込みが強いので、“思い込み力”みたいなものかなと思っていて。

 

川元
面白いですね、思い込み力。

 

黒﨑
「未来、絶対こうなるでしょ」と思ったり、「これ、絶対いいでしょ」って思い込んだら離さないというか。それを諦めずにやり続ける、そういう力が割とあるかもしれないです。

 

川元
その“思い込み力”について、今の事業を行う上でどういう思い込みがあったのか教えていただいていいですか。

 

黒﨑
家計簿アプリDr.Walletのときは、「OCRではレシートを正確に読み込めないだろう」という思い込みがあって。次に「人の手でコストをかけてもデータ化すれば、ユーザーに支持されるだろう」という思い込みがありました。そして「ユニークな購買データが価値を持つので、そのデータに資産性があるだろう」という思い込みもありました。

 

また、Dr.経費精算のときは、ちょうど1年後から法律が変わるというアナウンスがあったんです。「スマートフォンでレシートを撮影できますよ、それが合法化されます」と。そこで「数年後の日本は、スマホベースの経費精算がスタンダードになる」という思い込みがありました。合わせて、スピードでは勝てるんじゃないかという思い込みも。私はもともとBtoCをやっていたので、法人向け、BtoBの開発のスピードは勝てるんじゃないかと。

 

川元
黒﨑さんのおっしゃる思い込みを、もうちょっと分解していくと、特にスマホでの経費精算が当たり前になるっていうのは、洞察に近いのかなと。それと、家計簿アプリで面白いなと思ったのが、「OCRではレシートを正確には読み込めないだろう」という発想。これはどちらかというと、知見に基づいた洞察ですよね。

 

黒﨑
そうかもしれない。もともと、情報学部の中で画像処理の研究室にいたので、OCRについての情報は入りやすかったというのはありました。それもあって、無理かなと思って。

 

川元
積み重ねられてきたテクノロジーの知見をもとにする洞察が、コップからあふれるように出てくる感じがします。

デバイスの可能性を予見した高校時代

川元
黒﨑さんの“思い込み力”、昔からそういう力はあったんですか。

 

黒﨑
そうですね。中学3年か高校1年のときに、PSP(プレイステーション・ポータブル)を年間数百台販売したことがありまして(笑)。まだスマホが登場する前の時代です。PSPのような液晶のデバイスがあれば、カフェみたいな場所でもWiFiでインターネットができるようになるんじゃないかと。「これが未来の情報端末になることは間違いない。これを普及させなければいけない」という思い込みから、壊れてるPSPとかをヤフオクで大量に買いまくって、それを安価に流通する形で、高校では同級生中心に数十台売りました。その勢いでオフ会とか開いて、3000人ぐらいのPSPコミュニティーを作って、そこで「売ります」みたいな。うわーって一気に売って「とにかくPSPを普及させなければ」っていう思い込みで、2年間ぐらいずっと売ってましたね。

 

川元
今サラッとおっしゃいましたけど、3000人のコミュニティーって…

 

黒﨑
ミクシィでコミュニティーを作ったんです。「とにかくPSPを普及させるコミュニティー」みたいな。

 

川元
原動力としては、お小遣い稼ぎとか、お金じゃなかったってことですよね。

 

黒﨑
そうです。このデバイスが社会に普及したらすごいことになると思って。私自身はPSPでゲームとかはほとんどやらなかったんですけど。

 

川元
やらなかったんですか(笑)。PSPはあんまり使わなかった?

 

黒﨑
PSPでインターネット見たり、ちょっとゲームすることはあっても、そこでハマったりというのは全くなかった。それよりも、デバイスの可能性をすごく感じていたんです。

 

川元
その視点を持っていること、ただのユーザーじゃなく「これは世の中に来るな」という“思い込み力”を持っていたところが、黒﨑さんの本質的な力のはしりだったと思います。それって、ちょっと俯瞰した視点ですよね。「これが来る」って思う感覚は、どこに原点があると思いますか。

 

黒﨑
家庭の環境が厳しくて、テレビ1日30分まで、ゲームは1週間で1時間までとか。もちろんゲーム機も1台も買ってもらえませんでしたし、中1か2まで、ニンテンドウ64とかもなかった。中3でお小遣い全額はたいて初めてPSPを買いました。それからお年玉とか足してパソコンを自分で買って。とにかくいろいろ新鮮で、めっちゃ知りたくなった。抑圧からの発奮というか、解放みたいな。今まで制限されてたからがゆえに、知りたくなっちゃったんです。それが原点かもしれないですね。

 

 

川元
今までの反動と「知りたくなっちゃった」という好奇心が、端末にとどまらず、その背景への興味にも動いたんですね。

 

黒﨑
「ゲームってどうやって動いてるんだろう」とか、「そのゲーム、俺、作れないかな」とか。

 

川元
それだけの反動があって前に進むということは、抑圧されてた期間って相当苦しかった?

 

黒﨑
僕、中学受験をしていて、中学受験をするにあたって、ゲームとかはよくないと親が認識してたので一切駄目になった。一方で、完全に教育方針なんですけど、週に1回は軽井沢とか長野とかいろんなところに家族旅行に行って、川で釣った魚をスケッチして、解剖して、それぞれの骨とか内臓とか、食べてる中身、川虫の種類とかを調べるみたいなのをやったり。

 

川元
めちゃくちゃ独創的な家庭ですね。

 

黒﨑
そうなんです。親の方針で始めたんですけど、途中から楽しくなって、自分でもあらゆるもの、ミミズをいろんなところから拾ってきて、大量に集めて並べて、油で揚げてみたり。

 

川元
半端ない子どもですね(笑)。

 

黒﨑
そういう探求心をくすぐるような教育があったような気はします。

 

川元
今までのお話で伺った“思い込み力”について、未来に転じてお聞きしたいなと思うんですけど、5年後、その黒﨑さんの力ってどうなってると思いますか。

 

黒﨑
僕の思い込み力のようなものが、他の人に乗り移ってるといいですよね。経営チームとか会社のメンバーとかに、一部移転されてるといいなと思います。そして、より強いパワーになってるといい。思い込んだものを実現する実行部隊みたいなものが、100人とか1000人の単位になるとすごいかなって。僕の思い込み力も、精度を上げるというよりは、n数を増やしていくというか。

 

 

川元
数を増やして、矢印を太くするイメージですか。

 

黒﨑
鋭くするというよりは、太くドーンと、折れないみたいな、そういうふうになってるといいかなと思います。答え方としては変かもしれないですけど。

 

川元
十分面白いです。逆に言うと、今は黒﨑さんの力によるところが、会社としては大きい?

 

黒﨑
そうですね。ただ、発案はして思い込むものの、細かな部分まで詰め切ることはできないので、みんなに支えてもらってなんとかやっている状況です。すでに始まっていますが、「これをやるべきだと思います」みたいな提案がたくさん出て、じゃあ一緒にやっていこうみたいな流れが今後加速していくといいなと。

 

川元
5年後までにそういう流れが増えると、また面白いことがどんどん生まれていきそうですね。

 

ーーーーー
今回の対談の前編では「事業の原動力となった思い込み力」という、黒﨑氏がビジネスでも活かされてきた“思い込み力”についてのお話と、「デバイスの可能性を予見した高校時代」という、黒﨑氏の学生時代のエピソードを伺いました。テクノロジーの未来を予見し、こうと思い込んだら突き進む黒﨑氏の行動力とその力の源流について、ユニークな思い出話を交えながら語っていただきました。後編では、事業を展開していく上での苦労や今後の展望についてお話を伺っています。

 

後編は「“諦めの悪さ”が逆境を乗り越える」「思いを共有する仲間を大切にしたい」というお話を伺いました。後編もぜひご覧ください。

 

▶︎ 株式会社 BearTail
無駄な時間を省き、豊かな時間を作る。
北極星のように社会の道標となろう。
HP:https://beartail.jp/

 

記事:PILES GARAGE

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