信用格付けとは? 日本の信用格付け会社、メリット・デメリット、課題を解説

信用格付けとは? 日本の信用格付け会社、メリット・デメリット、課題を解説

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信用格付けの基本を解説

2016年12月14日(水)の日本経済新聞朝刊にソニーに関する信用格付けの記事が掲載されていました。信用格付けという言葉はよく見かけますが特に投資欄で見かけることが多いですね。

 

今回は「信用格付け」の基本的な部分をおさえていきます。

 

信用格付けとは?

簡単に言うと、債権の発行者(お金の借り手)の返済能力を簡略な記号で表すことで、投資家にそのリスク情報を伝える役割を果たしているものです。

 

債権の発行者とは、会社はもちろん国や都道府県も含めます。この債権の発行者に対してお金を貸す人(債権者)が最も悩むことは、貸したお金が返却されないということです。これを債権の発行者による債務不履行(デフォルト)と言います。

 

信用格付けはそういった債務不履行が起こる可能性がある発行者なのか、そうではないのかを債権者に伝えることで不安を取り除き社会にお金が回る役割を果たしているのです。(注:いい会社かどうかを示す指標ではありません)

 

以下では、もう少し信用格付けについて掘り下げていきましょう。

 

信用格付けの対象は会社から国まで多様

国が発行する国債、会社が発行する社債、地方自治体が発行する地方債、他には投資信託などの金融証券化商品などが信用格付けの対象になっています。(株式は信用格付けの対象外)

 

日本の信用格付け会社

信用格付けをしているのは国のような公的な機関ではなく民間の企業が行っています。

 

日本国内には金融庁の登録を受けた格付け会社、格付け機関が7つ存在しています。(2016年11月28日現在:金融庁 信用格付業者登録一覧参考)

 

大別すると、国内系2社、米国系3社(3グループ)に分けることができます。

Table 信用格付け業者一覧

 

外国の格付け機関としてムーディーズやスタンダード&プアーズ(S&P)は非常に有名なので、この二社の名前は頭に入れておくべきでしょう。

 

日本の格付け機関としては株式会社日本格付研究所(JCR)、株式会社格付投資情報センター(R&I)が存在しております。

 

信用格付けの方法とは?

信用格付けの方法は各社によって違い

格付け方法は各格付け機関によって違いますが、財務情報の他に事業の特性などを考慮して行われています。各格付け機関のHPの「格付方法」という項目をクリックすれば、形態別、産業別の格付方法を見ることができます。

 

信用格付けに使われる記号も各社によってまちまちですが、だいたいはAAA〜C(もしくはD)というようなランク、段階で表されます。

 

「依頼格付け」と「勝手格付け」とは?

そして、信用格付けの方法としては「依頼格付け」「勝手格付け」の2つが存在します。

 

前者の「依頼格付け」は債権を発行する側から格付け機関に依頼されるというもので、後者の「勝手格付け」は依頼なしで格付け機関が信用格付けをしてしまうというものです。

 

1970年以前の格付け機関の収入源は投資家の情報購読料のみでしたが、1970年代前半に収入源として格付け依頼料が加わり、その収入源を当て込んで現在では「依頼格付け」が主流となっています。

 

「依頼格付け」のメリット

「依頼格付け」の方が債権発行側からの情報が手に入りやすいため信用格付けの精度が高い複雑な金融商品の格付けにも対応できるといったメリットがあります。

 

「依頼格付け」のデメリット

その一方で予想されることですが、お金をもらってその相手を評価するというビジネスモデルであるために不具合をもたらすというデメリットがあります。

 

信用格付けのメリットとデメリット

信用格付けのメリット

以下では、信用格付けのメリットとデメリットに触れていきます。まず、信用格付けのメリットについて解説します。

 

あまり表には出てきませんが、社会は大いに信用格付けの恩恵にあずかっています。

 

冒頭でも述べたように信用格付けによって債権者の不安を取り除くことで、ようやく債権の発行に漕ぎ着けられるようになります。ここで債権の説明を加えますと、債権は銀行からの借入金ではなかなか難しい長期の資金調達を可能にする手段であるのです。

 

つまり信用格付けがあって社債の発行ができ、ようやく長期的かつ大規模な設備投資の資金を確保できるようになります。したがって、信用格付けがなければ経済の急速な発展はあり得ないのです。

 

また、信用格付けがなければ保険会社や年金機構などによる長期運用も難しいでしょう。

 

信用格付けのデメリット

対して信用格付けのデメリットは、先ほども述べましたようにお金を貰って相手を評価するというビジネスモデルであるが故に不正確な評価、あるいは過大な評価に度々繋がっているということです。

 

信用格付け制度の課題と解決策

メリットの面で述べたように信用格付けは経済の歯車であり、その歯車が狂ってしまったら経済全体に不具合が生じてしまいます。その結果が2001年のエンロン事件、2008年のリーマンショックなのです。リーマンショック以後、信用格付けへの規制は強化されています。

 

また、この規制強化に加えて何か公共性を確立させる仕組みが導入され、より良い信用格付け制度になることを期待したいものです。

 

信用格付けを信用するかは自己判断

さて、今回は信用格付けの大筋を見てきました。信用格付けが立派な経済システムの一部だということが少しでも分かって頂けたでしょうか?

 

最後になってしまいましたが、信用格付けを信用するかどうかは信用格付けの制度をよく知った上で、最後はご自身の判断にゆだねられています。

 

CFOにとっては、あらゆる資金調達の方法を把握しておくことは不可欠です。その1つとして社債が挙げられますね。この記事がその一助になれば幸いです。

 

 

執筆者:パイルズガレージ編集部 澤田勇平

編集者:株式会社mannaka

協賛 :株式会社エスネットワークス


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